流れる星は生きている。
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●坪内祐三が『SPA!』で佐野眞一の盗作疑惑が業界では以前から有名だったと発言して(2012年11月4日の記事を参照)、それに対して荒井香織が『ノンフィクションの「巨人」佐野眞一が殺したジャーナリズム』(宝島社)の中で疑問を呈したことがあった。で、『本の雑誌』8月号で坪内が荒井に対して反論しているのだが、その反論がどうにもヘンだったので当ブログでも一応突っ込んでおこうかと思ったが、どうも近いうちに荒井が自ら坪内に対して反論するようなので、とりあえずは坪内の反論の中で興味深い点をひとつだけ紹介するにとどめておく。
反論の中で坪内は、佐野の盗作疑惑が業界で有名だったことを示す一例を挙げていて、『噂の眞相』の巻頭コラムや欄外の一行ゴシップ記事で佐野の疑惑が取り上げられていたとして、
(実はこの二つは業界で強い影響力を持っていた)
と書いている(『本の雑誌』P.97)。坪内の文章が本当なら、『噂の眞相』1998年4月号P.37欄外の
という一行ゴシップ記事も当時業界で話題になって、それによって何らかの影響が発生した、ということになりそうなものだが。もちろん、佐野の盗作疑惑=唐沢のバイセクシャル疑惑というわけではないとは思うものの。
●岡田斗司夫・田中公平・山本弘『封印』(音楽専科社)の「宮崎アニメ徹底大研究」から。P.170〜171より。
岡田 今日は宮崎駿さんに関して。せっかく引退すると言って金を稼いだと思ったら、引退はヤメたと言って外国で答えるという、ヒキョウなジジイですね。
田中 やっぱり引退しないのね。
田中 一応でも筒井さんは何年間か書かなかったから。
山本 あれは一応「断筆」と言ってるから。
田中 「やめた」とは言っとらんね。
岡田 でも「断筆解除になる時は日本の出版界を変えた時だ」って言ってたのに、「僕を特別扱いしてくれるから、新潮社には書く」という(笑)、ホントに心根のいやしい所を見せてくれたんですよ。俺、今月発売の『噂の眞相』に書いているんです、「19周年で一言お願いします」って、なんで19周年で一言かわかんないんだけど、お願いしますっていうから。で、『噂の眞相』は1999年で廃刊って昔から言ってるんですけども、この頃編集後記でね、「やはり2000年になってもやめられない使命を感じる」とか書いてるんです(笑)。「そういう筒井康隆のようにうすらみっともない真似はやらないでもらいたい」って書いたら、編集部から電話かかってきて「すいません、まず『うすらみっともない』がまずくて、うちは筒井さんといい関係でいたいから、ダブルでマズいんです」「じゃあ、僕とマズい関係になるんですか!? そのまま載せてください」ガチャ(笑)
宮崎駿の「引退」云々は『もののけ姫』公開時にそのような話があったとのこと。
さて、上で紹介した唐沢俊一の一行ゴシップ記事をチェックするために『噂の眞相』1998年4月号をチェックしていたら、その号の特集である「創刊19周年特別企画」に岡田斗司夫がコメントしているのを見つけた。そして、岡田のコメントは以下のように締め括られていた。P.152より。
もう思い残すことはありません。約束通り20世紀の終了と共に、美しく廃刊してください。筒井康隆氏のように、「一度辞めると言ったことを引っ込める」などというブッサイクな真似は、ファンのためにも勘弁してくださいね。
…というわけで、『噂眞』編集部はコメントをそのまま載せてくれたみたいです。それにしても、どうして筒井康隆の断筆解除にそこまで腹を立てたのか…。田中氏や山本会長の態度と比べても温度差がある。ちなみに、この号では他にも岡田が古物商免許取得に向けて動いているというゴシップも載っている(P.105)。
●少し前の唐沢俊一関連の話題をいくつか紹介。
ひとつめ。『ダ・ヴィンチ』4月号の「本読みたちの手放したくない一冊プレゼント!」というコーナーに唐沢俊一が登場し、ジョン・ブラックバーン『闇に葬れ』(論創社)を紹介していた(P.158)。余談だが、この号での唐沢の肩書は「評論家、舞台作家」となっていた。
ふたつめ。『日刊ゲンダイ』5月21日号11面の「週間読書日記」に唐沢俊一が登場し、島敏光『だいすき日本』(イーステージ出版)を紹介していた。島氏が唐沢の舞台に協力しているせいか、書評というよりはPRと言った方がいい内容。
●もうひとつ。『FLASH』3月5日号P.102〜103「「ロシア隕石爆発で千人超負傷」女性予言者を直撃」という記事に唐沢俊一がコメントを寄せていた。『FLASH』は『週刊プレイボーイ』『週刊新潮』と並んで現在でも唐沢にコメントを依頼することの多い雑誌である。
このコメントについては「つぶやき日記」2月15日分に記述がある。
光文社『FLASH!』から緊急取材、ロシアの隕石について。日本人にとって隕石(流れ星)のイメージとは、というのでハレー彗星騒動、ガラモン、サイボーグ009、コメットさん、真田風雲録まで引っ張り出して説明。『乱れからくり』はさすがにマニアックすぎて自己却下(笑)。
で、実際に記事に掲載された唐沢のコメントを見てみると…。
「日本人は隕石落下を不吉なことが起こる前兆ととらえる傾向がある。映画『真田風雲録』でも、主人公・猿飛佐助は、隕石が落下したときの放射能によってエスパーになった。先ほどのキングギドラもそうですが、地上に政変や戦争といったよくないことが起こる前触れとして、日本人は天空の異常を結びつける発想がある。今回も第三次世界大戦の前触れなどと騒ぐ人が出てくるかもしれませんね」
…これは編集者のまとめ方が悪いのか、それともまとめづらい話をする唐沢俊一が悪いのか。判断に苦しむところだ。映画の話ばかりしているように読めてしまうもの。それに『真田風雲録』での隕石の扱われ方は「不吉」なわけでもないのでは。最近だと『ウルトラマンギンガ』の隕石も別に「不吉」ではなかった。また、「流れ星に向かって願い事を3回唱えると願いがかなう」といったロマンチックなイメージもあるから、必ずしも「不吉」なばかりでもないと思う。そういえば、昔、『お願いお星さま』というエロゲがあって…ゲフンゲフン!
あと、「日本人にとって隕石(流れ星)のイメージ」を語っている割りに取り上げているネタがマニアック寄りなのも気になる。傾向を変えて『枕草子』の「よばひ星」などを取り上げても良かったのでは?と思ったが、唐沢さんにとって週刊誌からの取材はテーマに関するトリビアを知っているだけあらいざらい話せる楽しい時間なのかもしれず、それならばネタがマニアック寄りになるのも無理はないのかもしれない。もしかして、意外にもふだんはトリビアを披露する機会がなかなかないのだろうか。
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