ニセ天皇に似せてんの?
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●「唐沢俊一検証blog」、ついに5周年を迎えました…。我ながら時間をかけすぎたと思っていますが、大きめのネタをあと2つ書けば終わるのでいくらか気分はラクです。
●『コミックビーム』最新号に掲載されている唐沢なをき『まんが極道』に登場する女性編集者が可愛かったので速報。唐沢先生(本物)の描かれる女の子は良い。
「人間は無用な知識が増えることで快感を感じることのできる唯一の動物である」ってアシモフが言っている
……って
『トリビアの泉』で言ってたけど
アシモフそんなこと言ってない!!
そうなんですよー。そして、そのガセビアは唐沢俊一に由来している(「トンデモない一行知識の世界OLD」を参照)。『バーナード嬢曰く。』ではグレッグ・イーガンのくだりと「新しいじゃんけん 銃・病原菌・鉄」で笑った。
●「つぶやき日記」6月25日分で書かれているのは、もしかすると声優のインタビューの商業出版の話なのではないか?と推測。「南青山のA社」というのは青二プロで、唐沢俊一の同人誌『僕らを育てた声』に登場した青野武、大塚周夫、田の中勇の各氏はみんな青二の所属。
個人で趣味みたいにチマチマやっていたことが、いきなりスケールアップする
というのも同人誌から商業出版になるということなのでは。まあ、もともと商業出版にならないのがおかしい話なので、俺の憶測が当たっていることを祈りたいなあと。…あ、でも、唐沢の舞台にも青二プロは協力しているので、舞台方面の話の可能性もあるのかも。
※追記 唐沢の公式サイトの情報を見る限り、この「つぶやき日記」の記述は芸能事務所に所属する話だったようだ。憶測が外れていたことをお詫びいたします。
●原田実『トンデモニセ天皇の世界』(文芸社)の巻末対談に原田氏の相手役として唐沢俊一が登場していた。原田氏は唐沢俊一を対談の相手役に起用するにあたって唐沢にまつわる諸問題に関する見解を述べられていた(4月1日の記事を参照)。
興味深かったのは、唐沢俊一が皇室に対して終始好意的なところ。原田氏もわりと好意的だからそれに合わせたのかもしれないが、「それでも日本の皇室に尊敬の念がありますよ」と言っているし(同書P.244)、対談の締め括りにはこんなことを言っている。P.246〜247より。
世界と外交をしていくときに、王族という古い血筋の人たちは、そういうフックになっていく。僕は決して右翼的、あるいは天皇陛下万歳ではなくて、いかに天皇というのがいまの日本人にとって便利かつ有効なシステムか、ということをみんなもっと考えるべきだと思っています。そのシステムが本当代々いろいろ洗練されてきて、周辺のいろんなエピソードを生んでいる。
そういう話も絶対関心を持ってもらえるし、世界の国々と渡り合うときに、「うち(日本)はそこら辺のポッと出の国ではないんだよ」というハッタリもきく(笑)。その血筋がいるということが証明なんだから、ということになっているわけです。
天皇家というシステムがあまりに有能だから、それに似たものを作れば、あるいは自称すれば、そのシステムに乗って自分たちも動き出せるのではないかと考えたのが、僕はこのニセ天皇を名乗るような人たちだと思うんですね。
何も権力がほしいんじゃなくて、新しい自分を中心としたプチ天皇システム、皇室システムみたいなものがつくれると夢想したんじゃないか。この日本人のニセ天皇も含めて、僕は日本文化の豊かさの証明だと思いますね。
あまりいい子ばかりじゃない、怪しげなものまで生んでこそ文化なんですから。ニセ天皇は確たる歴史の魅力的副産物なんです。
…以前から何度か書いているが、唐沢俊一は保守派の文化人になればよかったと思う。「オタク文化は日本の伝統にのっとったものだ」とか言ってオタク評論と保守的な主張を両立させることは可能だしね。「鬼畜」とか「裏モノ」にこだわらなければよかったのに。
それにしても、「ニセ天皇」、熊沢天皇や自称有栖川宮が「日本文化の豊かさの証明」と言われると首を捻らざるを得ない。反乱の指導者がすぐに「皇帝」を自称する中国(安禄山・李自成など)に比べると実につつましいものだなあ、と思ったり。袁術も「偽帝」と呼ばれているか。
上の発言で気になるのは、唐沢が皇室に対して損得勘定で考えているところで、別の場所でもこんなことを言っている。P.237より。
たとえばミクシィの政治系のコミュニティなんかで「天皇制を認める」と言うと、おまえは右翼だろうとすぐ言われる。でも天皇制を認めることを右翼と直結しないでくれと思うんですよね。
僕は天皇があった方が日本のため、国益になるから、と思うから言ってるだけで。ギネスブックにまで載ってる古い皇室をいただいていることで、外交とかそういう場でどれだけ日本が得をしているか。逆にいうと、王制を廃止した国で、それ以降その国が良くなったという例が、どこか一か国でもあるかと。
フランス革命にせよロシア革命にせよ、文化大革命でも、必ずその後にくるのは恐怖政治ですよ。というか、古い家柄に対する漠然とした信頼以上の力を持つ統治システムは暴力による制圧しかないからです。
結局、「歴史のある皇室があることで外国から敬意を払ってもらえる」というのが唐沢が言うところの「国益」なのだろうか。まあ、そういった一面は確かにあるのだろうが、それが外交においてそこまで有効な武器なのか?というと正直疑問だったりする。皇室のおかげで領土を得たとか貿易でトクしたとかそんな話があるのだろうか。
それから、「王制を廃止した国で、それ以降その国が良くなったという例が、どこか一か国でもあるかと」については、そもそも何をもって「良くなった」と判断すればいいのか難しいところだし、唐沢理論だとたとえば「ドイツ帝国が続いていればナチスが存在することもなくてよかった」とかそんな話になるのだろうか。ナチスドイツも「第三帝国」を名乗っていたけれど。
で、その後の部分はかなり大変なことになっていて、フランスは革命の後で王政が一時復活してその後再び共和制になっているとか、文化大革命は君主制を倒していない(だから辛亥革命ならよかった)という高校世界史レベルの話もさることながら、「古い家柄に対する漠然とした信頼」が統治システムを支えているというのも妙な話であると言わざるを得ない。なんだか家系図にこだわる人みたいだ。それに今の日本だって統治システムが「暴力」(と言って悪ければ「実力」とでも言い換えようか)によって支えられていることは忘れない方がいいような気もする。仙谷由人の「暴力装置」発言がはるか昔の出来事のように思える…。
ついでにP.239より。
本当に「天皇になってもいいことねえのに」と思う(笑)。でも、「天皇」と言われて怒る人はいなくて。黒澤明なんて左翼のくせに(笑)、自分が「黒澤天皇」と言われても、それに文句をつけた形跡はないのね。
この件に関しては「日本シネマ風土記」を参照。
「ニセ天皇」というのは実は結構こわいテーマで、突き詰めて考えていくと現在の皇室の正統性まで考慮しなければならなくなる(かつて呉智英が熊沢天皇についてそのように論じていた)。だから、唐沢さんが対談の中でそういった方向に行かずに皇室について一貫して好意的に論じたというのは、きっと良いことなのだろう。
※ itiさんのご指摘に基づき誤記を訂正しました。
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