唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

からくり唐蔵。

タコシェで既刊『唐沢俊一検証本VOL.1』『唐沢俊一検証本VOL.2』『トンデモない「昭和ニッポン怪人伝」の世界』『唐沢俊一検証本VOL.3』『唐沢俊一検証本VOL.0』「唐沢俊一検証本VOL.4」の通販を受け付けています。タコシェの店頭でも販売しています。
・初めての方は「唐沢俊一まとめwiki」「唐沢俊一P&G博覧会」をごらんになることをおすすめします。
・当ブログにコメントされる場合には誹謗中傷および個人を特定しうる情報の掲載はおやめください。守られない場合には厳正に対処する可能性があります。
・1970年代後半に札幌でアニメ関係のサークルに入って活動されていた方、唐沢俊一に関する情報をご存知の方は下のメールアドレスまでご連絡をお願いします。
karasawagasepakuri@yahoo.co.jp


 藤岡真さんに突っ込まれていた件は、その後サルトルからキルケゴールに直されていた。ミスを直すのはいいことだが、スタインベックの方はそのままだったりする(2009年6月26日の記事を参照)。


 唐沢俊一コミックマーケット82で発行したお蔵出し雑文・作品集『唐蔵』は現在「NO&TENKI商会」公式ブログCOMIC ZINで通販を行っているほか、DLsite.comでDL販売しているので興味のある方は読んでみてほしい。なお、公式ブログでも注意されているが、『唐蔵』では「不」の字が「上」になるという不具合が発生していて、たとえばP.4で「再起上能」と出てくる。そのほかにも誤記が結構見られるので気を付けてほしいところである。


 さて、『唐蔵』に収録されている文章は比較的最近のものが多く、唐沢俊一の公式サイトや雑誌の記事をこまめにチェックしていた自分としては、とりたてて目新しい発見は無かった。入手の難しい同人誌や研究誌に掲載された文章が収録されたのはありがたいが、出来るならもっと昔の文章を読んでみたいところだし、単行本未収録の連載がまだまだたくさんあるので、さらなる「お蔵出し」に期待したいところである。
 ところで、『唐蔵』には文章の初出が一応書かれているものの、「ネットブログ」「文庫本」といったようにきわめて大雑把な書き方しかされていないので、「もっと細かく書けばいいのに」と気になってしまった。そもそも唐沢は「ブログ」をやっていないのだが…。というわけで、まことに勝手ながら『唐蔵』の文章の初出をもう少し細かく書いてみることにした。唐沢俊一の公式サイト上のオリジナルの文章にリンクを貼ったほか、当ブログやそれ以外の検証サイトで既に検証されている文章については当該記事のリンクもあわせて貼っておいた。


『唐蔵』の初出一覧


まえがき:書き下ろし


1.三人の落語家の死
古今亭志ん朝: 「裏モノ日記」2001年10月1日(加筆あり)
三遊亭圓楽: 「裏モノ日記」2005年10月14日(加筆あり)
立川談志: 唐沢俊一公式サイト2011年11月24日掲載



2.友の死を送る
志水さん、またいつか: 同人誌『さらば、志水一夫  7つのペンネームと1つの文体を持つ男』所収
村崎百郎をうらやんで送る: 唐沢俊一公式サイト2010年7月24日掲載
黒米澤、白米澤、灰米澤: 同人誌『米澤嘉博に花束を』所収→7月11日の記事を参照


3.マンガ・特撮・ミステリ解説
青騎士』リメイクに寄せて: 手塚治虫姫川明青騎士』(角川書店)解説文→「トンデモない一行知識の世界」
わが胸の“操縦機”: 横山光輝鉄人28号』16巻(潮漫画文庫)解説文→2010年6月5日の記事を参照
エコヒーロー仮面ライダー: 『週刊昭和』2009年4月26日号掲載→2009年4月15日の記事を参照
ビジネスモデル・ウルトラマン: 『週刊昭和』2009年3月29日掲載→2009年3月17日の記事を参照
“対”の悲劇: 芦辺拓明智小五郎金田一耕助』(創元推理文庫)解説文
凄まじいワルの魅力: 研究誌『松本清張研究』第10号所収
ある日、インドの女王様に: 島田一男『黄金孔雀』(ゆまに書房)解説文



4.政治論・社会論(?)
徴兵制復活のまぼろし: 「裏モノ日記」2004年2月2日(後述の通り一部修正あり)
オタクと殺人: 『婦人公論』2009年12月7日号掲載→2009年11月22日の記事を参照



5.座談会
迷言ハンターが選ぶ古今東西名言・珍言に学ぶこの世の真理: 『婦人公論』2009年2月7日号掲載(他の出席者は神足裕司堀江珠喜



6.戯曲・小説
南池袋怪談: 2011年7月に上演された芝居の脚本
神経電気: 唐沢俊一編『怪奇トリビア』(竹書房文庫)所収


 なお、複数の文章で初出時と細部が異なる点が存在する。


 まず気になったのは、座談会が載っていることで、これって他の出席者に許可をもらわないとたとえ同人誌であっても本に収録してはいけないのではないだろうか。…いや、もちろん、許可は取っていると思うけれど。神足さんはお体の方は大丈夫なのだろうか。
 次に気になったのは「徴兵制復活のまぼろしで、『唐蔵』に収録されている文章では「ある若手文化人を代表する先生」が以前徴兵制を忌避していたのを批判しているので、「ははあ、東さんのことだな」と思ってオリジナルの文章を読んでみたらやっぱり東浩紀だったという。でも、東氏はもう若手でもないだろうし、おそらく唐沢は東氏以降の「若手文化人」を知らないのでは。 
 「徴兵制復活のまぼろし」については上にリンクを貼った「裏モノ日記」を参照してほしいが、つまりは現在の日本で徴兵制が復活することは有り得ないと主張した内容である。日記の中で唐沢は徴兵制が忌避される理由を次のように推測している。

もちろん、先に述べた通り、いまの日本にも、なお徴兵制を主張する意見はある。しかし、その大部分は、軍事目的で言っているのではなく、現在の若者のだらしなさに憤慨するあまり、徴兵して芯からたたき直してやれ、というスパルタ教育の一種、戸塚ヨットスクールの同類として軍隊をとらえているに過ぎない。そんな非論理的な感情的意見におびえる必要など、全くないことは、すぐわかる。……にも関わらず、今の知識人、ことに若手の知識人の間には、この徴兵制復活に対する神経症的恐怖感を表明する者がやたらと多い。これは何故か。おそらく、彼ら若手知識人は、オトナたちが徴兵制を真面目に復活させようとしているのだ、キミたちはアブナイのだ、と言い続けて、自分と同世代、またはそれより下の世代を煽動しなくてはならぬ、商売上の必要性を常に持っているのだろう。下の世代をタキツケて年寄り連中との抗争を起こさせ、自分はその若者たちにかつがれて、著作印税や講演収入で飽食しようというのが彼らのハラである。そのためには徴兵制という文句は、実に今時の若者に嫌悪感を抱かせる、いい語彙なのだ。若者たちよ、こういう奴らに騙されてはいけない。彼らは幻影で君たちをおびえさせ、いいカモにしているのである(まあ、東氏はそんな裏のない、単なる勉強不足のバカだと思うけどね)。

 『唐蔵』ではカッコ内の東氏への揶揄はカットされている。…東浩紀は違うらしいが、徴兵制復活を煽り立てて商売に利用しようとしている「若手知識人」って誰なんだろう。小林よしのり戦争論』を批判していた宮崎哲弥とか? しかし、今現在「商売上の扇動」を論じるなら、原発放射能汚染といった話題の方がずっとアクチュアルなのではないだろうか。特に唐沢俊一は公式サイトで積極的に「反原発」を批判していたのだから。…結局のところ、8年前にネットで公開した文章を東氏の名前を伏せただけで本に収録する、というのがあまりにもイージーということなのだろう。
 また、唐沢俊一だって商売のためかどうかは知らないが煽動をやっているじゃないか、と思う。『唐蔵』に収録されている「オタクと殺人」などは「中年のオタクは犯罪の被害者として狙われる!」という「煽り」以外の何物でもない話だったし、「オタク第一世代」を無暗に持ち上げてそれ以降の若いオタクを落としたのも一種の「煽り」だろう。人のことは言えない。



 


フニクリ・フニクラ

フニクリ・フニクラ