唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

鼻呼吸の必要。

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 前回に引き続きネットからのコピペなのでは?という文章を取り上げる。フィギュア王』№107(2006年12月発行)に掲載された唐沢俊一のトンデモクロペディア』第21回「急いで口で吸え」も調べてみたところ、内容が酷似した文章が見つかったのだ。「急いで口で吸え」では日本人の大部分が口呼吸をしていることから「吸引文化」が発達した、という内容の文章である。『フィギュア王』P.98より。

 この、吸引文化を発達させた日本人は、おかげで蕎麦や日本酒の味に大変敏感な国民となったが、二つ良いことはないもので、他の面では困ったことを引き起こしている、と主張する医学者もいる。東京大学西原克成講師である。
 ひとつには、口の中に常に空気を入れておくと、口腔内が乾燥しがちになり、また、空気中の最近(原文ママ)やウイルスを常時、口中に取り込んでいるということだ。私たちの身体をそのような病原体から守っているのは、白血球を中心とした免疫システムであるが、のどには扁桃腺やアデノイドなどのリンパ組織があり、ここに白血球の一種であるリンパ球が多数集まり、免疫システムの中で重要な役割を果たしている。

 「最近」


 あんまりな誤記で心がくじけそうになったが、それはともかく、この部分は「がん免疫療法」というサイトの文章とよく似ている。

口呼吸が、さまざまな病気の原因となっている可能性を東京大学医学部の西原克成講師(口腔外科)が指摘し、注目を集めています。
 私たちの身体を細菌やウイルスなどの病原体から守っているのは、白血球を中心とした免疫システムだということは、ご存知ですね。のどには扁桃腺やアデノイドなどのリンパ組織があり、ここに白血球の一種であるリンパ球が多数集まり、免疫システムの中で重要な役割を果たしています。

 このサイトの更新日は2003年3月5日。唐沢の文章が書かれる3年前である。
 

 この後は「チビタス」に掲載された上野緑子『口呼吸には危険がいっぱい!』(2002年6月11日更新)とよく似た文章がずっと続いていく。この『口呼吸には危険がいっぱい!』でも西原克成の説が紹介されている。まずは『トンデモクロペディア』。

 人間が吸い込む空気には、さまざまな病原菌が含まれているが、鼻から吸引した場合、病原菌の5割から8割は鼻の粘膜に吸着され、処理される。しかし、口から吸引した空気は、ダイレクトにのどまで達し、のどの粘膜が、さまざまな病原菌に無防備におかされることになる。このような病原菌が白血球の中に入り込み、全身に運ばれてしまうのである。


 『口呼吸には危険がいっぱい!』。

●吸い込んだ空気の除塵をしてくれる 
私たちが、吸い込む空気には、さまざまな病原菌が含まれていますが、病原菌の50〜80%は鼻の粘膜に吸着され、処理されます。

●病原菌が白血球の中に入り込み、全身に運ばれてしまう
口から吸引した空気は、そのままのどまで行ってしまい、のどの粘膜が、さまざまな病原菌に無防備におかされることになります。そしてこうした病原菌が白血球の中に入り込み、全身に運ばれてしまいます。


 「50〜80%」「5割から8割」には笑ってしまった。いつものことだが、細かいところがちょこちょこ違うんだよなあ。「ダイレクト」「そのまま」もか。


 続き。『トンデモクロペディア』。

 これによって免疫力は低下し、アレルギーも引き起こす。口呼吸によって引き起こされる病気の主なものは、リウマチ、ぜんそく、花粉症、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患だが、肺炎や腎炎も引き起こしやすく、さらに糖尿病や高血圧症、白血病悪性リンパ腫潰瘍性大腸炎などの原因にもなるというからオソロしい。口呼吸は、われわれに『はじめてのチュウ』という名曲を与えてくれたが、その反面、このような恐ろしい病気の危険性にわれわれにさらしてもいるのである。


 『口呼吸には危険がいっぱい!』

西原先生は、次のように述べていらっしゃいます。


●さまざまな病気の原因を引き起こす
さまざまな要因によって、免疫力は低下し、「免疫の混乱」と呼ばれるアレルギーも引き起こします。


口呼吸によって引き起こされる病気の主なものは、リウマチ、ぜんそく、花粉症、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患ですが、肺炎や腎炎も引き起こしやすく、さらに糖尿病や高血圧症、白血病悪性リンパ腫潰瘍性大腸炎などの原因にもなるとされています。

 

 病気のラインナップが同じ。「口呼吸は、われわれに『はじめてのチュウ』という名曲を与えてくれた」というのは、口呼吸をする日本人だけがキスを「チュウ」と表現するから、ということらしい。



 この文章にはもうひとつ問題があって、実は唐沢俊一が紹介している西原克成「と学会」から「トンデモ」認定されているのである。『と学会年鑑Rose』(楽工社)の中で阿波六吉氏が西原氏について取り上げているのだ(P.91〜100)。メインで紹介されているサメの実験がなかなか凄まじいのだが、「赤ちゃんに口呼吸をさせてはいけない」という話も少し出てくる。
 また、唐沢俊一も西原氏を「トンデモ」認定しているようだ。「裏モノ日記」2007年5月5日より。

やがて、一部のパネリストの皆さん(呉智英氏、みなもと太郎氏、藤本由香里氏、村上和彦氏)が戻ってくる。呉先生久しぶり、で挨拶したら、いきなり
西原克成のあのNHKブックスはと学会で取り上げないの?」
とフラれる。『内蔵が生み出す心』のことらしい。弁当がちょうど配られたので、食べながら話をする。
「まあ、どうも小物っていうか、師匠の三木成夫先生は凄い人なんですが……」
「三木さんはありゃ宗教だからね。あそこまで言い切られるとコッチは否定できないしな。今西錦司と同じだよなあ。あ、ところで三木さんのお嬢さんがボクの教え子でね、今日も来てるんだよ」
なるほど、それでいきなりの西原本ばなしか。
「副島クンなんかはどんなバカ言ってもそれで宇宙開発が遅れるといった実害はないけどさ、西原は医者だろ。ああいう考え方が広まるとアブナいんじゃないか。大体さ、腸が脳と同じようにものを考えるというその証拠がさ、“日本には昔から「腹で考える」と言う言葉がある”なんてことなんだぜ」
海野十三の『生きている腸』みたいですね」
などという会話。


 その後、呉先生は伊藤剛さんから唐沢俊一の現状を聞いて驚いていたらしい(2011年7月4日の記事を参照)。「急いで口で吸え」を読む限り、唐沢は西原氏の説を「トンデモ」な理論として紹介しているようには見えないので、「西原氏の説を本気で信じて書いた」のか「トンデモな話を紹介している」のか、判断に迷うところである。




今になってみるとかなりの豪華キャスト。北村三郎は飲酒運転で捕まっていたのか…。


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