唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

美は乱雑にあり。

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 しばらく東京を離れていて、唐沢検証のことをすっかり忘れていたのだが、東京から持ってきた荷物の中に何故か唐沢帽がまぎれこんでいたのを見つけ、「…これは“使命を果たせ”というメッセージに違いない」と悟り、復帰することにした(「唐沢帽」については2009年8月18日の記事を参照)。そんな使命はさっさと果たしてしまいたいので、「唐沢俊一検証blog」での唐沢俊一検証は「近いうち」に終了する予定である。



●『読売新聞』10月1日夕刊から唐沢なをきの4コマ漫画『オフィスケン太』の連載がスタートした。実は鈴木義司『サンワリくん』の後釜だったりする(『読売』夕刊に4コマ漫画が復活するのは8年ぶり)。以前から「本物の唐沢先生はこれからもっとメジャーになっていくんじゃないかなあ」となんとなく感じていたのだが、正直この展開は予想していなかった。長期連載になることを期待したいが、この経験が『まんが極道』に活かされることもついつい期待してしまう。


●『タカトシの時間ですよ!』の「どんな質問にも100%答えるスーパーコンピューター」が今度ゴールデンタイムで放送されるとのこと(唐沢俊一公式サイト)。

タカトシの時間ですよ!』
なんでも答えるスーパーコンピューター、人気急上昇で
ついにゴールデンタイム進出!

10月17日水曜日に、19:00〜20:54の2時間ワクで
特番が放送されます。

出演はタカトシの他、フットボールアワー五島輝基(原文ママ)、高畑淳子
千原ジュニア、ドラン苦ドラゴン(原文ママ塚地武雅。そしてスペシャ
ゲストに映画『のぼうの城』出演者の榮倉奈々上地雄輔


 誤字ありすぎて耳キーンってなるわ。まあ、唐沢俊一は文筆業よりテレビに進出した方がいいように思うので、ゴールデンでも頑張ってほしいものだ。
なお、唐沢は『タカトシの時間ですよ!』で共演した金子哲雄の死を「つぶやき日記」10月3日分で悼んでいる。

肺カルチノイドでの激痩せをダイエットと言い張っていたのは仕事がとれなくなる不安からだろう。41歳、残していく家族のために一日でも長く稼ぎたかったに違いない。事実、出過ぎではないかというくらいテレビ、ラジオ等のマスコミに出まくっていた。収録後もらったメールには、「一生無休なれど忙中閑あり」とあった。あまりに短い生涯ではあったが、やっと休みがとれる。どうか、あちらでは ごゆっくり。

 健康面に問題のある唐沢には「仕事がとれなくなる不安」があって、その思いが出てしまったのではないか。最近の「つぶやき日記」を読む限り、生活リズムの乱れや心臓の「バクバク」など気になる部分があるので、身体には気を付けてほしいものだと思う。なお、唐沢俊一が出演した『タカトシの時間ですよ!』9月19日放送分の感想は後日アップする予定。



●本題。今回は『ビジネスの文章メモ整理―達人のテクニック』インフォレスト、2007年3月発行)に収録された唐沢俊一のインタビュー『乱雑もまた整理なり』(P.64〜67)を取り上げる。
 まず最初に書いておくと、このインタビューはなかなか参考になった。正確に言えば、インタビューと一緒に載っている写真が参考になったわけなのだが。P.65には唐沢俊一「中学生の頃から書き溜めたアイデアノート」の写真が載っていて、雑誌の「一行知識」を切り取ってまとめているのが確認できる。唐沢がノートに雑学を書き留めていたというのはしばしば本人が語っていたところだが、ノートの現物を確認できたのは初めて。もうひとつは、P.67に載っている写真で、そこには河村シゲル『博学ものしり事典』(ルック社)を読む唐沢の姿が映っていて、

小学生の時に出会った雑学王になるきっかけともなった本

というキャプションがついている。唐沢は『トンデモ一行知識の世界』(ちくま文庫)P.5〜7で『博学ものしり事典』について以下のように書いている。

 私が一行知識の魅力に取りつかれたのは、まだ小学生の四年生か五年生のころだった。その当時、私は足を手術して、毎日、学校へ行く前に病院へ通院していた。親は薬局をやっていたので、その店の配達用の軽トラックに便乗させてもらい、通っていたのだ。
 その、軽トラックの運転席のカーラジオで毎朝、流れていたのがTBS系ラジオ局の、『話のアンテナ』という番組だったのだ。エイトマン(旧)のアニメでおなじみの高山栄氏のナレーションと、山崎唯氏の音楽で構成されるその番組は、“耳で聞く一行知識”とでもいうような、なんともユニークな番組だった。

 やがて、私が中学校に入ったころ、その番組『話のアンテナ』は、一冊の本にまとまった。ルック社というところから刊行された、『博学ものしり事典』(昭和四十七年初版)という本である。私はこの本を買い、それこそスリ切れるまで読んで、そのほとんどを暗記してしまった。(後略)

 『博学ものしり事典』が出たのは1972年、つまり唐沢俊一が中学2年生の時なので「小学生の時に出会った」というキャプションは誤り、ということになる。それから、マイナビニュースのインタビューでは雑学に目覚めたのは小学2年生のときに入院したことがきっかけ、という話になっている。時空が歪んでいるのか、設定が適当なのか。余談だが、唐沢のインタビューが載っている『ビジネスの文章メモ整理』P.64の右上隅には“houw to text”と書かれている。他のページでは“how to text”となっているのだが…。



 では、インタビューを紹介していこう。『ビジネスの文章メモ整理』P.64より。赤字が唐沢のコメント。

「発想がわいてくる整理の仕方とそうでない整理の仕方があると思います」と文筆家の唐沢俊一さんは言う。
「全部データが整理されちゃってどの棚にあると分かっていると僕のような物書きの仕事は発想が出てこない。例えば目的のものがあってインターネットで検索しても、目的通りのものはでてくるけれど周囲のものがでてこない。発想を得るというときには根本から始めないと」。

 ウィキペディアを見ていて、気になった項目もついでに見ているうちに時間が経ってしまった、という経験は多くの人が持っているはずだし、自分も検証のためにググったりリンクをたどっているうちに意外な情報を知ったことはたびたびあった。唐沢俊一はピンポイントでしか検索しないのだろうか。あと、整理と発想は別問題なのでは。「データが整理されているからアイディアが出てこない」というのも妙な話だ。


 P.64より。

「人ってそれぞれ関係のないところから色んなものを寄せ集めてそれをひとつの形にしようとする。それとそれが一緒になるのかと驚くようなこともよくあることで。それと同じで、最初は目的の周囲のものから探していかないと、本当の目的にはたどり着かない」

 まわりくどい話だなあ。最初に目的そのものを調べてから目的の周囲に移っていった方が効率がいいと思うのだが。それに目的について詳しくない人間が目的の周囲のものをどれだけ知っているというのか。目的を知らなければ目的の周囲に何があるのかもわからないのではないか。


 P.64より。

「人間の脳は整理しようとする本能があるから、乱雑な読書ってしようとしてもなかなかできることではない。ポルノ雑誌を読んだすぐ後に経済誌を読もうとしても頭に入ってこないですよね。だけど、乱雑な読書をしていかないと、その時代の本当の背景も見えません。だから時代を知るにはファッション雑誌からポルノ雑誌、経済雑誌など様々なものを読む。するとそこに共通しているものが見えてきたりする」

 
 「ポルノ雑誌を読んだすぐ後に経済誌を読もうとしても頭に入ってこない」のと「乱雑な読書をしていかないと、その時代の本当の背景も見えません」とでは別の問題ではないだろうか。…いや、「すぐ後」でなくても時間を置いてから読めばいいんじゃないの?としか。


 P.66より。

 3万5000冊以上の蔵書があるという。買ったはいいが読まずに置いたままの本も半分以上あるそう。

 相変わらず蔵書の量が安定しない。過去のデータもまとめて紹介しておこう。カッコ内は出典。


・8万冊(『週刊プレイボーイ』2000年8月22日・29日合併号)→実家と自宅に4万冊づつ
・6万冊以上(『SPA!』1996年9月11日号)
・4万冊(『朝日新聞』大阪版2004年4月11日朝刊)
・3万冊超(『論座』2008年5月号)
・3万冊近く(『カルトな本棚』)
・2万冊(『ダウンタウンガキの使いやあらへんで!』2011年大晦日スペシャルなど)


 2万冊となっているのが一番多い。おそらく、唐沢本人もきちんと数えたことがなくて適当に言っているのでは?という気がする。まあ、蔵書の半分以上は読んでいない、というのはどうなのか、と思うけれど。
 …ところが、P.65のキャプションには驚くべきことが書かれている。

右:蔵書は3500冊程。
「2000冊までは何がどこにあるか大体覚えていたけどそれ以上は無理。前に覚えていたことも忘れてしまう。それ以上になったら変に整理しない方がいいです」


 ケタが違う。なんらかのミスでゼロをひとつ落としてしまったのだと思うけれど。ただ、「○○冊までは何がどこにあるか覚えていた」という持ちネタをまた披露しているのは問題のあるところで、この件に関しては2010年8月10日の記事を参照。あと、『中州通信』2008年1月号では「1万冊」、論座』2008年5月号では「1万9999冊」、そして今回は「2000冊」記憶のリミットも安定していない。


 この後、唐沢は本を処分する必要性について語っていて、『本を捨てる!』のアイディアは2007年の春には既にあったのでは、と思われる。それに続いて、本の整理法が語られている。P.66〜67より。

 今にも崩れそうな程、本が床から山積みになっている。
「ここ一年で買った本です。山にしておくのは整理としては美しくないけれど、山にしておくことで記憶に残るものと残らないものに分けられる。要はそこなんですよ。これで奥の書庫にしまわれるものと近くの棚に入れられるものに分けられるし、自分の血となり肉となってくれるものがわかる」。
 本の山も意味あってのこと。これは読まなければいけないという本は別の山に分けられていた。


 「別の山」ということは、「これは読まなければいけないという本の山」「奥の書庫にしまわれる本の山」「近くの棚に入れられる本の山」という具合に部屋の中に山脈ができあがっているのだろうか。…でも、唐沢俊一の場合は特に本の山を作っちゃいけないと思う。だって、過去に本の山に足を取られて骨折しているんだから。ソルボンヌK子『入院対策雑学ノート』(ダイヤモンド社)に収録されている「骨折入院日記」から引用してみる。『入院対策雑学ノート』P.222より。

1999年1月22日(金)


 やってしまった。パソコンで仕事をしていて、原稿を印字する、その紙が切れたので取りに行こうと立ち上がった瞬間、床の上にあった本を踏んずけて(原文ママ)、またその本に古本屋がパーチメント紙をかぶせてあったため、ズルリとすべって、バッタン
「ぐぎ」
 と嫌な音がして、捻挫してしまう。
 みなさん、仕事場の床は整頓いたしましょう。


※追記 その後骨折していたと判明し、入院することとなった。


 ケガの危険を考慮すると、整理のためとはいえ本の山を作るのは止した方がいいんじゃないかなあ。唐沢さんはただでさえ健康に不安があるんだから。


 インタビューの最後に、「唐沢流のポイント」がまとめられているので、これも紹介しておこう。


・脈略のないと思うことでも共通点が見つかる/脈絡を探す必要はない

・乱読、雑読をすることで思わぬ発想を得られる/整理にこだわるな

・マニュアルに沿った整理ではなく自分流の整理を


 「脈絡を探す必要はない」などと言っているから、結論ありきで強引な展開の文章を書いちゃうんだろうな、と思ったが、結局のところ『博覧強記の仕事術』と同様に役立つ技術は説明されておらず、唐沢俊一は仕事や整理に関してテクニックを持ち合わせていないのではないか?という疑いが湧き上がってきてしまう。アイディアノートと『博学ものしり事典』という唐沢俊一のルーツを確認できた点は有意義なインタビューではあったけれど。


美は乱調にあり

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パソ犬モニ太 (BEAM COMIX)

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サンワリ君

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トンデモ一行知識の世界 (ちくま文庫)

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