唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

JFKのことを間違えないだろ、JK。

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 globotechさんから、唐沢俊一『熱写ボーイ』という投稿雑誌で『世界ヘンタイ人列伝』というコラムを連載しているという情報を頂いたので、早速最新号である11月号を買ってきた。…しかし、この『熱写ボーイ』という雑誌、ガチでエロ本である。表紙もかなり過激なうえに「成年向け雑誌」と書かれているし、普通の本屋やコンビニでは見かけなかったのだ(だから、専門店に行ってきましたよ、ええ)。まあ、俺もいい年齢なので今更恥ずかしくはないんだけど(『メガミマガジン』の方が恥ずかしいかも)、やっぱり少し抵抗がある。女の子と一緒に住んでるしなあ。
 で、この『熱写ボーイ』という雑誌で、目次で名前が載っている人間は唐沢俊一だけである。「野外露出プレイ」「SWAP&SWAP」(やっぱり「スワップスワップ」と読むんだろうなあ)などといった見出しに並んで唐沢俊一の名前があるのはある意味壮観だ。…まあ、メジャーな雑誌で連載を持っている人があえて投稿雑誌にも連載している、ということだったらなかなかカッコいいと思うんだけど、唐沢の場合は単純に載せてくれる媒体が無くなってきた、ということなのだろうか。いずれにしても、もっと入手しやすい雑誌で連載して欲しい。
 というわけで、唐沢俊一『世界ヘンタイ人列伝』第8回「ボストン絞殺魔-謎の二重人格殺人者-」の検証を始める。…なお、今回は途中で絶望的なミスが発覚するので心して読んでいただきたい。


 まず、最初に唐沢俊一リチャード・フライシャーの最高傑作とされている作品は、ボストン絞殺魔事件をモデルにした『絞殺魔』だと書いている。…「されている」ってそれは一般的な見方なのだろうか? 普通は『ミクロの決死圏』や『トラ!トラ!トラ!』が出てくると思うが。
 さて、今回の記事を書くに当たって、唐沢は「殺人博物館」をベースにしたものと見られる。たとえば、唐沢の文章にはこうある。

 ……実は最初の殺人の直後、二人目の犠牲者が出ていたのだが、これが前後の事件と同じ犯人によるもの、という結論はしばらく遅れた。何故かというと、首を絞められていなかったからだ。なにしろ被害者は85歳という高齢で、襲われたというショックだけで心臓が止まってしまったらしかった。

「殺人博物館」。

註:実は、この前の28日にメアリー・マリン(85)も殺害されている。しかし、彼女には絞殺の痕跡がなかったので、自然死と扱われてしまった。高齢であったために、襲われると同時にショック死したようである。

 「最初の事件」→「同日に2人の被害者を発見」→「その前に第2の被害者がいた」という文章の流れも共通している。

 さらにその後の唐沢の文章。

 ボストン全域がパニックに陥る中、犯人は警察をあざ笑うかのように次々に殺人を重ねていった。

「殺人博物館」。

 8月19日にアイダ・イルガ(75)の遺体が発見されると、ボストン市内はパニックに見舞われた。

 文章の構成が似すぎだって。コピペしてなくてもベースにしているのが丸わかりだ。

 唐沢の文章。

この犯人が殺害した女性たちの年齢を並べると、最初に発見された、55歳を筆頭に85歳、65歳、68歳、75歳、67歳、25歳、23歳、69歳、23歳、58歳、23歳、そして最後の被害者とされる女性が19歳。

この部分は「福槌屋」を参考にしている。

この時期の間に「ボストン絞殺魔(被害者を絞め殺したひもやストッキングを蝶結びにし、強姦した後で歯形を残した裸の死体の
手足をを大の字に広げ、ほうきやワインボトルを突っ込んだ状態で放置した)」が13人の女性(中年女性、85歳!、
65歳、60代の女性、75歳、67歳、25歳、23歳、69歳、23歳、58歳、この頃からボストンはパニックに陥った、
続いてケネディ暗殺の翌日に23歳、最後に19歳のメアリー・サリバン)を強姦して殺害し(後略)

 被害者の年齢を書き連ねている部分がそっくり。…っていうか、
「中年女性→55歳」
「60代の女性→68歳」
とデータを直しているんだから、文章も自分で書けばいいのに。…なお、唐沢が7番目の被害者のソフィー・クラークの年齢を25歳としているのは「福槌屋」のデータを参考にしたものと思われる(「殺人博物館」では20歳、Wikipediaでは19歳、その他21歳としているサイトもある)。

殺し方も、ときおり刃物で胸を突き刺したり、素手で絞め殺したりとブレはあるものの、とりあえずは紐での絞殺と非常に統一性がとれている。

「ブレはある」なら「非常に統一性」はないだろう。論理的な思考ができていない。

 ボストン警察は徹底してこの犯人にふり回された。アメリカは実はこの時、大変な騒ぎになっていたのだ。捜査が続行していた最中の1963年11月23日、ロバート・ケネディ大統領がテキサス州ダラスで暗殺されたからであった。国中がその悲しみに包まれている中、犯人はそんなことにおかまいなしに、その葬儀が執り行われた翌23日にも殺人を犯した。


ロバート・ケネディ大統領」
orz

 …唐沢俊一の検証をやっていて、これほどまでにガッカリしたことはない。いや、単純ミスなんだと思うよ。だけど、やっていいミスと悪いミスがあるだろう。東京三世社の編集者も気づこうよ。
 そして、見逃してはいけないのは「11月23日」の次の日が「翌23日」になっていることだ。ちょっとしたエンドレスエイトである。ジョン・F・ケネディ大統領(ちゃんと覚えるように)が暗殺されたのは1963年11月22日、葬儀は国葬として25日に行われた。日付のミスについては「殺人博物館」の文章につられたものだと思われる。

 この11月23日は、別の意味でも特別な日であった。前日に暗殺されたケネディ大統領の国葬が行われていたのである。


 続いて、超能力探偵ピーター・フルコス(Peter Hurkos)のエピソードが書かれているが、「殺人博物館」にもフルコスのエピソードが出てくる(しかもこっちの方が詳しい)。
 そして、連続強姦事件の犯人(通称「グリーン・マン」)として逮捕されていたアルバート・デサルヴォ(Albert DeSalvo)が実は「ボストン絞殺魔」だったことが判明する。このことについて、唐沢は次のように書いている。

 とにかく、これは怪盗ルパンをとらえてみたら実は彼が怪人二十面相でもあった、というくらいの大ショックであった。

 うまいことを言おうとして失敗している。ルパンも二十面相もどっちも「怪盗」だもの。変態仮面を捕まえてみたら怪盗キッドだったくらいなものだろう。フォォォォォォォッ!

 さあ、マスコミはこぞってこの意外な犯人のことを書きまくり、デサルヴォの生い立ちが特殊なものであることから、第二のトルーマン・カポーティ(実際の殺人事件に取材した小説『冷血』を書いてベストセラー作家になった)になろうと、まだ判決も出ていないうちからその謎を推理し、本にした作家もたくさんいた。

 カポーティは『冷血』を書く前からベストセラー作家なので誤解を招く書き方である(『ティファニーで朝食を』は1958年に発表されている)。

 しかし、結局、デサルヴォが絞殺魔である、という物証は何ひとつ出なかった。自白のみで彼を有罪には出来ない。結局、彼は終身刑を言い渡されるが、1973年、収容されていたウォルポールの州刑務所で、同じ刑務所の囚人に刺されて死んだ。

 「自白のみで彼を有罪には出来ない」って書いているのに「終身刑を言い渡される」のは何故? 有罪になった理由について「殺人博物館」や「福槌屋」には書いているのに、どうしてそれをはしょるのか。


 …とにかく「殺人博物館」と構成が似すぎである。もう少し指摘することもできるけど、最も有名なアメリカ大統領の名前を間違える人に何を言ってもむなしいような…。


ジョン・F.ケネディ―フォト・バイオグラフィ

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ティファニーで朝食を

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