『社会派くんがゆく!』は終わった方がいいと思う。
最新の『社会派くんがゆく!』と『社会派くんがゆく!怒涛編』(アスペクト)を読んでつくづくそう思ってしまった。
まず、厚生事務次官を襲撃した犯人を無責任に持ち上げているが(「愛犬の敵討ち」というのがウソだったらどうするんだろう)、結局のところ、
村崎 今の時代、みんな他人を気にしすぎなんだよ。他人を羨んだり、他人を貶めたり追い詰めたりしていて、それでオメエが幸せになんのか? って問いたいよ。小泉毅を見ろ! いっさい他人を気にせず、見事に本懐を遂げてチロの無念を晴らしてみせたじゃねえか!
唐沢 いやあ、元事務次官刺殺事件の記事は数多あれど、ここまで小泉毅を褒め称えている記事は他にないんじゃないかね(笑)。いいなあ、鬼畜で。
ということで「こんなことを言ってる俺らってマジで鬼畜だよね」と喜んでいるだけである。それと細かいことを言うと、
唐沢 「凡夫盛んにして神祟り無し、天窮まってこれを誅す」というしね(笑)。
とあるが「凡夫盛んに(盛んなる時は)神祟りなし」と「人多ければ天に勝つ、天定まってまたよく人に勝つ」という『史記』伍子胥列伝の申包胥の言葉が混ざったのだろうか。「天窮まって」はどういうことなのかよくわからないのだが。
村崎 だって、この小泉って犯行前にちゃんと相手のことを国会図書館に調べに行ったりして、相当入念に計画して襲ってるぜ? 脊髄反射的に目の前にいる人間を襲うようなネット中毒の無差別殺人犯とはわけが違う。今度の事件で、ネットやってる奴らから模倣犯が出るかというと、それも疑問だわ。だいたいネット中毒の奴らが暇だろうなんてのは大きな誤解とウソで、そういうのはみんな24時間の自室警備や、自分が関わってるスレッドの24時間監視なんかですご〜く忙しいらしいから(笑)、わざわざ実際に人を殺しに出かけて行くような時間的余裕なんか皆無なんだって。
唐沢 “外出する”という行為そのものが、彼らにとっては一大事業なんだから(笑)。
村崎 ネットで「こいつが憎い」と書き込む心理と、実際に刺しに行くまでの間には実に恐ろしく深くて長い溝があって、中傷カキコだってせいぜい頑張って相手の住所をさらす程度で、「あとは誰か行ってきて」っていうだけだもんな。とにかくネット中毒のアニメオタクなんかは一日中自分の部屋を警備しなきゃいけない上に、毎晩見なきゃいけない新作アニメやDVDとか買わなきゃいけないフィギュアとかたくさんあるんだからさ(笑)、そのうえ一日数回にわたる渾身のオナニータイムで消費される体力を考えてみろよ? だからもう、実際に殺人行為に出る可能性はいちばん小さい連中なんだって。引きこもりオタクがヒマ人だなんて考えるのも、これまた想像力に欠けている証拠だって、いい加減分かれよ、大谷!
これらの発言は大谷昭宏をバカにしているわりには、ネットをやっている人間に対して大谷氏同様の偏見をさらけだしている。ちなみに当ブログは検証にあたって図書館に通うなど(そういえば国会図書館にも行ったっけ)「相当入念に計画して」やっているので、村崎百郎には褒めてほしいところだ。もちろん、小泉毅みたいに唐沢俊一を襲ったりはしないけど。
村崎 あと、時代の変化を読めなかったってのもあるよな。自分の音楽が古くなっていることを自覚していなかった。
唐沢 結局、市井の人間として一般の人の声を聞こうとせずに、イエスマンの取り巻きの言うことばかり聞いていたんでしょう。
村崎 たまたま、80〜90年代のある一時期に受け入れられる才能があったっていうだけの話で、それは根源的な音楽の才能とはまた別物なのかもしれんしな。
「市井の人間として一般の人の声を聞こうとせずに、イエスマンの取り巻きの言うことばかり聞いていた」「ある一時期に受け入れられる才能があったっていうだけの話で」って、これは唐沢俊一のことを言ってるんだろうか?結局のところ、後ろ暗いところのある人間に毒を吐かれても「お前が言うな」としか思えないんだよね。
唐沢(前略)田母神だってそうだけど、世の中には正しくたって、言ったら問題になる発言というのは山ほどある。それをあえて言いたいんだったら、俺達みたいに鬼畜を自称する、こんな場所でやるしかない。鬼畜を自称しながら意見を開陳するためには、言いたいわけでもない鬼畜的発言も口にしなきゃいけない場合がある。それがわからないお子様が多過ぎなんだよ。
なんだそれ。問題になりそうな発言をするためにあえて「鬼畜」を自称する、というのは一応わかる。だが、「鬼畜を自称しながら意見を開陳するためには、言いたいわけでもない鬼畜的発言も口にしなきゃいけない場合がある」っていうのはさっぱりわからない。…えーと、「俺も本気で言ってるわけじゃないんだからあんまり目くじら立てないでくれ」って言いたいのかな?その割りには「それがわからないお子様が多過ぎなんだよ」って逆ギレしてるのがわけわからん。まあ、自分は唐沢俊一より20歳近く年下の「お子様」なんだけど、「お子様」でもわかるガセビアを『社会派くん』で垂れ流していることこそが問題だと思うんだが。「お子様」にすら突っ込まれる自分の不甲斐無さを全力で反省すべきだろう。
で、唐沢俊一は似たようなことを『社会派くんがゆく!怒涛編』のあとがきでも書いている(正式には12月15日発売らしいけど神保町で売られていたのを入手してきた)。
個性の希薄化が言われていた時代に、少しは人とは違う意見を言おう、という趣旨で開始したこの『社会派くんがゆく!』も、もう八年近くの歳月がたつ。その間に日本人の無個性化、というより個性的意見憎悪はかなりのところまで進んでしまった気がする。われわれの無責任な言も、最初はヌルマユ的な言論に一石を投じるというような見方で面白がってくれる人が多かったが、評判が立ってからサイトをのぞきに来た人たちの中には、それが「世論と異なっている」というだけで、まるでわれわれを鬼畜ででもあるかのように(ま、その通りなのだが)ヒステリックに言い募る輩も出てきた。イヤなら読まなきゃいいのに、と思うのだが、そういう人たちは、この世に自分と異る意見の持ち主がいることすら耐えられないらしい。
…はっきり言わせてもらうと、『社会派くんがゆく!』がダメなのは「不謹慎な発言をしているから」ではなく「発言のレベルが低すぎるから」である。「不謹慎な発言」でも価値のある内容であれば評価されることがある(うっかり笑ってしまったりしてね)。だが、『社会派くん』における唐沢・村崎両人の発言はあまりにもレベルが低いのだ。社会問題について的確な分析をしている個人のブログはいくらでもあるし、毒舌だって2ちゃんねるの名無しに負けている。特に唐沢は事実誤認が多すぎる。「三浦和義のせいでロサンゼルスはLAと呼ばれるようになった」という与太話とか。ちなみにこの与太話も『怒涛編』にはバッチリ収録されている。
それから、唐沢俊一は『社会派くん』が批判されているとよく言ってるが、いったいどこで批判されているのか。そもそも『社会派くんがゆく!』を知らない人の方が世間でもネット上でも圧倒的に多いし、唐沢俊一スレッド@2ちゃんねる一般書籍板でも「『社会派くん』ってまだやってるの?」程度の反応しかされない。『社会派くん』が本当に敵視されているなら、更新されるごとに2ちゃんのニュー速板あたりでスレッドが立って祭りになるはずなのだが、そんな話聞いたこともないし。「燃料」にすらなっていないんだな。ネット上でも『社会派くんがゆく!』はまるで注目されていないのだ。そして、注目されていないからこそ8年もレベルの低い発言をしていられたということなのだ。まあ、「鬼畜」を自称しているのに黙殺されているというのは哀しすぎるから「批判されている」と言っているのではないかと。マンガ雑誌の予告でよくある「新連載2回目にして早くも大人気!」というアオリ文句みたいなものなのだろう(新井理恵が『×―ペケ―』で「早すぎるって」と突っ込んでいたが)。…っていうか、ニフティの会議室で「自分と異る意見の持ち主がいること」に耐えられなかったのはいったいどこの誰なのか。言ってることとやってることが違いすぎるよ。
こういった潔癖症の時代に、ゴミと汚辱にまみれながらも不謹慎発言を繰り返すという行為に、果たして意味はどれだけあるのか。正直言って最近、私も村崎さんも、方向性をつかみ兼ねているところがあるところがあることは確かだ。
意味はありません。唐沢俊一はだいぶ前から同じことを何回も言ってるし。「日本はもっと貧乏になった方がいい」「テポドンが落ちない限りどうしようもない」って何回言ってるんだ。これ以上新しい切り口を見つけない限りはどうしようもない。まあ、意地っ張りだから今さらやめられないんだろうけど。
もちろん、だからと言ってこの連載をやめることなどない。いつか、
「まあ、こういう意見もなきゃ世の中はつまらんからね」
くらいの反応が返ってくるくらい、日本が“僻論”に寛容になるまで、『社会派くん』は続けていくつもりなので、そこらへん、よろしく。
…『ガキの使いやあらへんで』の「さよなら山崎邦正」を思い出してしまった。「『社会派くん』はまだまだやめへんで〜」と言いながら「鬼畜」を演じていくつもりなんだろうか。「日本トンデモ本大賞」で「さよなら唐沢俊一」やってくれるなら、山本弘会長は「長文」を書かなくてもいいですよw 本家みたいに毎年やったらいいかも。
…『社会派くんがゆく!』はもう終わった方がいいとは思うが、当ブログが唐沢俊一の検証を目的としている以上は、連載が続いていく限りチェックしていくつもりだ。そして、『社会派くん』が唐沢俊一の盗作問題をスルーしていること、単行本『復活編』で盗作の被害者である漫棚通信さんを誹謗中傷したことはずっと指摘し続けていくつもりなので、そこらへん、よろしく。
- 作者: 唐沢俊一,村崎百郎
- 出版社/メーカー: アスペクト
- 発売日: 2008/12/01
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 36回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
- 作者: 村崎百郎,唐沢俊一
- 出版社/メーカー: アスペクト
- 発売日: 2007/12/20
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 80回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
- 作者: 小川環樹今鷹真福島吉彦訳
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1975/06/16
- メディア: 文庫
- クリック: 14回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
×(ペケ) (1) (別コミフラワーコミックス・スペシャル)
- 作者: 新井理恵
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1992/01
- メディア: コミック
- クリック: 23回
- この商品を含むブログ (53件) を見る
ダウンタウンのガキの使いやあらへんで !! 6 山崎VSモリマン 男と女の真剣勝負 笑いの神が降りた奇跡の名場面集 [DVD]
- 出版社/メーカー: よしもとミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2005/07/27
- メディア: DVD
- クリック: 40回
- この商品を含むブログ (81件) を見る