唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

唐沢俊一の不安なメンタル。

唐沢俊一ソルボンヌK子『カルトの泉』(ミリオン出版)P.138〜139

 アメリカ同時多発テロ事件(2001年9月11日)は、正に国家の基盤をなす宗教的な部分での対立、言ってみれば“宗教戦争”であった。犯行声明を出したアル・カーイダのことを我々はイスラム原理主義者と呼ぶが、もともと原理主義ファンダメンタリズム)とは、キリスト教で聖書絶対主義を狂信的なまでに唱えるプロテスタントの過激な派閥を指す言葉であった。キリスト教国・アメリカの方が狂信的という意味では先輩なのである。もちろん、科学の進歩に伴い、アメリカでも、聖書における人類創造などを頭から信じ込む原理主義は排斥され続けてきた。
 しかし、この原理主義が一気に力を盛り返し、アメリカを支配するとまでいわれる勢力をなすに至ったのは、太平洋戦争がきっかけである。アメリカ人はその歴史上、初めて非・キリスト教国との総力戦を体験することになった。そして、カミカゼ攻撃や玉砕といった、常識では考えられないカルト宗教的な戦い方に怯え、国力からいえば取るに足らないはずの弱小国・日本の狂信による強さに怯えたのである。
 そして、このまま放っておけば、非・キリスト教国家が世界を征服する、という強迫観念に駆られて、ついに原子爆弾を使用しての大量虐殺にまで踏み切ったのだ。ちなみに、原爆投下を命じた大統領であるトルーマンは、かの有色人種排除主義者団体「KKK(クー・クラックス・クラン)」の団員であった。すぐに脱退した、と伝記にはあるが、脱退の理由はKKKが反ローマ・カトリックだったという理由であり、要は彼は大の“反キリスト教嫌い”であった、ということだ。
 今やアメリカ大統領に選出されるためには、原理主義者団体の支持を取りつけないと不可能である、とさえいわれている。日本人は長い間、先の戦争はアメリカの合理主義・科学精神によって負けた、と思い込んできた。実はあの戦争も宗教戦争の一面を持っており、日本はアメリカで最も非合理な、原理主義宗教のパワーに負けたのである。

…どうして「と学会」メンバーであり、ふだん反米を唱える右がかった人をバカにしている唐沢俊一がこういう妙な話をするんだろう。
 まず、アメリカでファンダメンタリズムが盛んになったのは19世紀後半からである。「科学の進歩に伴い」衰えていったわけではない。
 次に、原理主義者が「アメリカを支配するとまでいわれる勢力」をなし、原爆投下を決定していたとしたら、その後のアメリカの動きも原理主義者の勢力によって決められていたことになるはずだが、その点は唐沢俊一の説で説明がつくのかどうか。GHQの日本占領政策も冷戦もベトナム戦争湾岸戦争原理主義者によって決定されていたのだろうか。
 さらに、広島・長崎へ原爆投下を決定したのはトルーマンだが、トルーマン個人の性格に原爆投下の理由を求めても大して意味はないのではないか。仮にルーズベルトが生きていたとしても日本への原爆投下が行われた可能性は高いのだ。だいたいマンハッタン計画がいつから始まったと思ってるのか。原爆投下については、トルーマンには原爆投下によってソ連を牽制する意図があったとか、莫大な費用をかけて原爆を開発したのだから使用しないわけにはいかなかったとか、いろいろな説があるが、少なくとも「原理主義」を理由にするよりはずっと理屈が通っている。

…はっきり言わせてもらうと、唐沢俊一の説はただの「陰謀論」である。「ユダヤ」が「原理主義」に置き換わっただけの話だ。毎度のことながら、どうしてこの人が「と学会」のメンバーなのか不思議でしょうがない山本弘会長は「言葉狩り」にも立ち向かう正義感あふれる人なのに、どうして唐沢俊一がガセやパクリを量産しているのをスルーしているんだろう。それも不思議でしょうがない。

カルトの泉~オカルトと猟奇事件~

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暗闘―スターリン、トルーマンと日本降伏

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