思案するだけでは天国の門は通れない。
唐沢俊一・ソルボンヌK子『カルトの泉』(ミリオン出版)P.182
宗教団体「ヘヴンズ・ゲート」の信者達が「睡眠薬入りのジュース」を飲んで集団自殺をするシーンより。
「DO様 これがシアン化合物であることをなぜお隠しに…?」
「…毒を飲むと言うと躊躇する者が出るとも限らんからな」
「DO」というのは「ヘヴンズ・ゲート」の指導者マーシャル・アップルホワイト(Marshall Applewhite)の教団内での呼び名。
「ヘヴンズ・ゲート」の信者達の死因は睡眠薬フェノバルビタールの過剰摂取である。「CNN」1997年3月28日のニュースより。
Blackbourne said toxicology tests completed on five of the victims show that three had a fatal dose of phenobarbital in their systems.
どうして「シアン化合物」となったのかわからない。あと「躊躇する者が出るとも限らんからな」はおかしい。「―とも限らない」は「―でないこともある」という意味なんだから、「躊躇する者が出ないとも限らんからな」だろう。
それから「ヘヴンズ・ゲート」の信者達は自殺をするときに“Heaven's Gate Away Team”と書かれた腕章をつけていたのだが、この“Away Team”が『スター・トレック』の用語だと説明していないのはオタクとしてどうかと思う。オウム真理教をネタにするときに「コスモクリーナー」をスルーするのと同じだよ。
ついでだけど、P.183で睡眠薬を飲んで自殺したアップルホワイトが宇宙空間を漂っていると、どこからともなく
ボニーなぞいない…
宇宙人も神もいない…
お前は…
無限に続くこの時間の中でほんの一瞬生きていた間だけ幻を見ていたのだ……
という声が聞こえてきて、驚いたアップルホワイトが「誰だ!?出てこい!!」と叫ぶシーンがあるのだが、どうもこれとよく似たシーンをマンガか何かで見た覚えがあって、モトネタがあるのかどうか気になっている。ちなみに「ボニー」というのは「ヘヴンズ・ゲート」の指導者だったボニー・ネトルズ(Bonnie Nettles)のこと(集団自殺の12年前に死去している)。
※追記 P.176に
とあるが、「ヘヴンズ・ゲート」の本部があったのはカリフォルニア州ランチョ・サンタフェ。サンタフェだけだとニューメキシコ州の州都になってしまう。
- 作者: 唐沢俊一,ソルボンヌ K子
- 出版社/メーカー: ミリオン出版
- 発売日: 2008/11/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 38回
- この商品を含むブログ (12件) を見る