唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

夏休み特別企画。幻の番組『ウルトラP&G』のすべて。

 今回は唐沢俊一の検証をお休みして、幻の特撮番組について紹介したいと思います。
 申し遅れました、私は特撮ライターの池田kensyouhanという者です。
 今回みなさんに紹介するのは『ウルトラP&G』という番組です。主人公・唐沢シュンイチが「P&G」と呼ばれる超能力を駆使してトラブルを引き起こすストーリーは現在の眼から見ても大変魅力的なものであると思われます。それではさっそく紹介することにしましょう。


【作品概要】
 『ウルトラP&G』は「第一次怪獣ブーム」の最中に作られた特撮TV番組である。「日本特撮の義父」として名高い潰屋HGが監修をつとめ、スポンサーのダメダ薬品が莫大な費用を投じて製作されたため映像のクオリティは大変高く、今もなお高い評価を得ている。
 しかし、『ウルトラP&G』が放送された当時、不人気にあえいでいたことは意外と知られていない。
 第一の理由として、裏番組に強力なライバルが存在したことが挙げられる。『ウルトラP&G』は東京9チャンネルで毎週日曜深夜2時55分から5分間放送されていたのだが、当時のその時間は「試験放送」とよばれる激戦区で、裏番組には「砂嵐」「カラーバー」といった視聴率30%を超える「お化け番組」が存在していた。そんな強力なライバルに囲まれながら『婚カツ!』を上回る平均視聴率を記録していたのだから、『ウルトラP&G』はむしろ健闘したと称えられるべきなのかもしれない。
 第二の理由として、放送形式が独特だったことが挙げられる。東京9チャンネルは『ウルトラP&G』を「視聴者の脳内に直接放送する」という実験的な形式をとったため、『ウルトラP&G』を見ることができたのはごく一部の限られた人間しかいなかったのである。また、「見たくないのに勝手に放送されてくる」という苦情が寄せられたり、遠くブルキナファソの住民の中で受信した者が大量に現れ、現地でブームになるといった珍事件が起きたとも伝えられている。
 かくして、『ウルトラP&G』は放送当時人気を得られず全2048話の予定を短縮して全28話で打ち切られることとなってしまった。その後、半ば忘れられた存在となっていたのだが、1990年代以降にCS等で再放送が行われるようになると、マニアの間で話題を呼び、主題歌「パクったつもりがガセだった」とあわせてカルト的な人気を誇るようになった。そして、DVDボックスの発売によって人気は決定的なものとなり、唐沢シュンイチの顔面を模した斬新なデザインのボックスを求めてファンが殺到する騒ぎとなったことは記憶に新しい。
 現在でもこれほど人気のある『ウルトラP&G』にはリメイクの噂が絶えずつきまとっている。中でも『ウルトラP&Gvs行け!ゴッドマン』は実現寸前まで行ったものの残念ながら頓挫してしまったという。また、ハリウッドでも映画化が検討されているという噂も多く、ピクサーが2010年に『ウルトラP&Gvsクラッチ・カーゴ』を製作する話は現実味を帯びてきているという。フルCGでなくあえて一部に実写を取り入れるという野心的な試みに期待したいところだ。


【主な登場人物】
唐沢シュンイチ―マニアックな分野を扱うライター。帽子と黒ずくめの格好が特徴。「P&G」と呼ばれる超能力を使って活躍する。ブーメランの名手でもある。また、本人はうまくコントロールできないものの、時空を歪めることもできる。
ト学会―シュンイチが所属する組織。鳥の生態を研究することを目的としている。著作権の知識があると入会することができない。
山本ピロシ―弱冠15歳にしてト学会会長を務める天才少年。
唐沢ナヲキ―漫画家。シュンイチの弟。極道という裏の顔も持ち、版画男やくのいちを配下に従えている。
フジオカ真―ミステリー作家。シュンイチが数々のトラブルの原因であることを知り追跡している。空手の使い手でもあり、最近「七星首斬拳」という必殺技を編み出した。
モンタナ通信―人気漫画批評家。かつて名クォーターバックとして鳴らした。
智泉―人気雑学ライター。正体はシリスギ仙人。
BaudrateRA―アンドロイド。シュンイチを検証している。
ヤスオカ准教授―王冠のギザギザを研究している。シュンイチを検証するひとり。
ケン・ショーハン―未来人。ケン・ソゴルの遠い親戚だが十凍京とは関係ない。「世界の滅亡を防ぐため」とかよくあるカッコいい理由でなく、単なる面白半分でシュンイチを監視している。


【各話のあらすじと解説】
第1話『今月もパクれ!』
[あらすじ]月刊『レイディオライフ』の原稿の締め切りが迫っているにも関わらず、シュンイチはネタがなくて困っていた。苦しさから逃げようと思わずホッピーを口にしたところ、突然謎の力が目覚めて…。
[解説]第1話だけあって主人公のキャラクターを強調する内容となっている。しかし、「シュンイチには3万冊もの蔵書があるのにネタ切れするというのはおかしいのではないか」という批判は放送当初から寄せられていて、『ウルトラP&G』のメインライターである金城湯池夫も「基本設定にミスがあった」と認めている。


第2話『五郎とゴロー』
[あらすじ]ト学会」の会員である新田ゴローがアオバアリガタハネカクシの毒によって2人に分裂してしまい、そこそこパニックになる。
[解説]いかんせん新田ゴローのキャラクターがパッとしないため話に盛り上がりを欠き、当初はお蔵入りも検討されたが、副音声で桜井浩子さんが語る伊豆ロケでの苦労話を流すことによって辛うじて乗り切った。脚本では新田イチローから新田ゴオクローまで分裂する予定だったが、当時の技術では表現できないうえに「キリがない」と没になった。とはいえ、新田ジローの息子が国家の品格を訴えるようになるラストは映像化してほしかったところだ。


第3話『仙台からの贈り物』
[あらすじ]シュンイチには季節ごとに贈り物をしてくる仙台在住のファンがいた。
[解説]シュンイチに邪険にされても贈り物を欠かさない仙台のファンの姿が視聴者の涙を誘った。


第4話『マンモスウレピー』
[あらすじ]『ひとつ屋根の下で…』『犯人(ホシ)の天下』などで知られる女優・逆井海苔子の「逮捕の法」を知ったシュンイチは「あの清順なアイドルが何故?」と日記に書くが、いつも通り『モンタナ通信』や『智泉』に遠く及ばない内容だったため、「このはずかしめをどうしてくれる!」と碧いうさぎとともに夢冒険に旅立ったのであった。
[解説]時事ネタを積極的に取り入れたのも『ウルトラP&G』の特徴のひとつである。


第5話『汨羅に来た!』
[あらすじ]自ら発生させた時空の歪みに巻き込まれ、シュンイチは中国・戦国時代の楚の国にタイムスリップしてしまう。伝説の詩人・屈原が投身自殺するところに偶然居合わせたシュンイチは、彼の詩を集めることを決意する。果たして、シュンイチは『楚辞』を完成させることができるのか?
[解説]ペギラ」と「汨羅」を引っ掛けただけで、唐沢問題と関係が無いのが弱点。


第6話『育てよ!ガセ』
[あらすじ]原稿にガセビアが多いのを指摘されたシュンイチだったが、「雑学はアヤシゲなところが魅力」と気にする様子は無い。一方、シュンイチについて調査を進めていたアンドロイド・BaudrateRAはシュンイチの生み出した怪獣がいつのまにか1000体を超えていることに気づく。
[解説]シュンイチは「雑学」を「ムダ知識」と呼んだり「役に立つ知識」と呼んだり、回によって矛盾した言動をとっているが、これはライターの間で基本設定の確認がなされていなかったせいだと思われる。


第7話『SOSフジオカさん』
[あらすじ]静岡にやってきたミステリー作家・フジオカ真はシュンイチが「P&G」で「智泉」から雑学だけでなく☆マークまでパクるのを目撃する。
[解説]P&G」の影響でサグラダ・ファミリアが実体化するシーンは見もの。


第8話『甘い身内の恐怖』
[あらすじ]フジオカからシュンイチについて質問された山本ピロシ会長は「シュンイチを信じる」と答える。しかし、「P&G」が続いたため、シュンイチを「処分」しようとしたところ、ト学会の会員から猛烈な反対に遭う。
[解説]この回のフジクラサンゴが手を振って「アンチ唐沢」を眺めているシーンはのちに食玩で再現された。


第9話『ネタ拝借』
[あらすじ]山中で道に迷ったシュンイチは古い洋館に迷い込む。「これは今ではすたれたオールド・ダーク・ハウスじゃないか!」と思ったシュンイチが屋敷の奥に向かうとあやしい壺が置いてあった。中をのぞきこむと、そこにはふくれあがった豊臣秀吉の姿が…。
[解説]劇中、シュンイチが「「国家安康 君臣豊楽」の四文字が…」というシーンがあるが、これは「八文字」のミス。


第10話『裏亭超特急、西で』
[あらすじ]大阪で行われた「NINJIN」というイベントに参加していたシュンイチにフジオカが声をかけたところ、シュンイチは「コレハコレハ」という奇声を発してタクシーで走り去った。電車の方が便利なのに何故タクシーを使ったのか? ヤスオカ准教授も加わって研究が進んだが、時空が歪んだとしか思えない怪現象に一同は困惑するしかなかった。
[解説]時刻表トリックを取り入れた意欲作である。


第11話『パクッタ』
[あらすじ]P&G」を繰り返すシュンイチに対する人々の疑念が実体化し、東京上空で膨らみ出した。一度は謝罪したシュンイチだったが、「これを認めると、今後、単純な引用ミスをおかしただけの同業者が、これを前例として相手に過大な謝罪を要求されるという事態を招きかねない」と思い直し、戦うことを決意した。
[解説]この回のシュンイチのセリフ「大丈夫だろうか、そんなに素直で」はファンの間で語り草となっている。


第12話『鳥を見た』
[あらすじ]ある日、「ト学会」のメンバーの中に鳥がいるという噂が流れる。「ト学会」サイドは「鳥を観察しているサークルに鳥がいるわけがない」と相手にしないのだが…。
[解説]鳥を観察している者が鳥になってしまうラストがトラウマになってしまった視聴者も多いらしい。


第13話『ガラダマ天国』
[あらすじ]シュンイチは弟のナヲキと組んで『TVぴゅあ』でコラムを連載することになる。TV雑誌での連載だったのに2人ともTVを観ていなかったため、TVに関係ない話ばかり書いていたのだが、何故か連載は続いていき…。
[解説]単なる『ガラダマ天国』(ぴあ)の内容紹介である。


第14話『盗用剽窃期』
[あらすじ]東京に怪獣・パクラが襲来し、著作権が無効になってしまい大パニックになる。
[解説]「かろうじて日本は救われました。しかし、この地球上のどこかにはパクラに滅ぼされてしまった国があるかもしれません」というナレーションとともに石景山遊楽園が映し出されるラストは忘れがたい。ファンの間には「コマ送りすると涼宮ハルピンが見える」という噂もあるが、事実かどうかは不明。


第15話『ウィキペディアの繭』
[あらすじ]シュンイチが拾った繭にはたくさんの情報が詰まっていた。これ幸いと情報をそのまま書き写して原稿にしていたシュンイチだったが…。
[解説]ウィキペディアで拾った情報を鵜呑みにしてはいけない」という教訓は今でも通用するだろう。


第16話『柄物の学習』
[あらすじ]シュンイチが洗濯をしていると、柄物と一緒に洗ったワイシャツに色がついてしまった。シュンイチは壇ノ浦博士に正しい洗濯の仕方を教わることにする。
[解説]子供だけでなく主婦層をターゲットにするのは、後の「平成ライダー」に通じるものがある。


第17話『1/7計画』
[あらすじ]シュンイチが病院に行くと、倶利伽羅峠博士から心臓のはたらきを1/7にセーブする計画に参加するよう勧められる。心臓のはたらきを1/7にセーブすることで常人の7倍長生きができるというのだが…。
[解説]岡田あーみんお父さんは心配症』のパピィは「長生きするため寝ている間は心臓を止めている」らしい。


第18話『チョコの卵』
[あらすじ]オッケーイ製菓からチョコで出来た卵が発売される。中に生物が入った不思議な卵を集めるのに熱中する人々が続出する。シュンイチの友人であるなかの・たかを監督もコレクションに熱中するあまり倒れてしまう。
[解説]監督を助けたシュンイチがちゃっかりツチノコをゲットしているのにはニヤリとさせられる。


第19話『1981年の挑戦』
[あらすじ]パクール人によって『キッド戦士カンガルー』のファンが連れ去られる事件が発生する。パクール人の正体はタイムスリップしてきた大学生だった頃の若いシュンイチだったが、手塚治虫が東京タワーから放射したパワーによって退治される。しかし、シュンイチの心には手塚への強い怨念が残ったのであった。
[解説]『ウルトラP&G』の裏番組で、手塚治虫原作のアニメ『ペックスばんざい』が放映されていたが、手塚の子供は『ウルトラP&G』の方を見ていたため、手塚は心中複雑だったようである。


第20話『痛車原人ドラゴン』
[あらすじ]海底から痛車原人ドラゴンがやってくる。痛車の知識は皆無に等しいシュンイチだったが、ドラゴンのインタビューを受けることにする。
[解説]痛車原人ドラゴンは『カラサワマン』第4話『裏亭(5分前)』にも登場する。


第21話『宇宙指令M774』
[あらすじ]巷を騒がせる謎の集団「偽チャンネル」の構成員「名無しさん」は、実は「宇宙指令M774」を受けて行動する宇宙人だった。「悪意には目を向けないことが大事」というシュンイチだったが、実は興味津々で…。
[解説]シュンイチの必殺武器「御髪(みぐし)」が登場。自慢の長髪を利用した攻撃は威力抜群だが、中毒性があるので注意が必要だ。


第22話『返信』
[あらすじ]ト学会」の秘密をつかんだ未来人ケン・ショーハンは山本ピロシ会長に手紙で質問を送る。後日、会長から届いた封書の表書きには「あきれました」と大きく書かれていたのであった。
[解説]いや、個人的には全然気にしていないんですけど。


第23話『難解の怒り』
[あらすじ]「面白い作品を見るのに理屈はいらない!」と力説するシュンイチに伝説のレスラー、カール・ゴチエイが「スダールっていうのは酢だこから来ているんだよ。金城哲夫もシャレがわかってるね」と話しかけてきた。
[解説]カール・ゴチエイはガチ。


第24話『ザイーガの画像』
[あらすじ]あるサラリーマンがシュンイチの書いたビジネス本『錯乱狂喜の仕事術』で勧められている「ザイーガ」を見てみたものの、どこが仕事に役立つのかわからなくて困ってしまう。
[解説]サラリーマンが「これなら役立つはずだ!」と見てみた「女性被害者の部屋」もやっぱり役に立たなかったというオチ。


第25話『鬼畜ッ子』
[あらすじ]シュンイチは頭から袋をかぶった百郎少年と出会う。シュンイチの「P&G」を知りながらスルーする百郎少年の本心は一体…?
[解説]「罪と赦し」をテーマにした社会派作品をめざして失敗している。


第26話『燃えろ営業』
[あらすじ]地方での講演を終えたシュンイチだったが「実はこれからが本番だ」と意気込んでいた。地方での講演で一緒に行われる物販の売り上げはライターにとって貴重な収入源なのだ。せっかくのチャンスを逃がすわけにはいかない!
[解説」「文筆業サバイバル塾」で言っていることそのままである。


第27話『10年計画消滅す』
[あらすじ]シュンイチは厳冬社から出版する『新・ウホッ!入門―日本人は、なぜヤマジュンに魅力を感じるのか―』をきっかけに10年計画でインカ帝国の宝物をゲットしようとしていた(いいのか?)。しかし、「モンタナ通信」が召喚した空飛ぶ円盤によってシュンイチの計画はあえなく消滅する。
[解説]『新・ウホッ!入門』を担当する編集者・トテカワ由利子の魅力が評判を呼んだ。


第28話『やめてくれ!』
[あらすじ]ある日、シュンイチはオールバックにスーツの正体不明の男に話しかけられる。どういうわけか、男に話した内容が知れ渡っていて…。
[解説]今度はちゃんと名乗ってから話をするのでよろしくお願いします。


※この番組は架空の番組であり、実際の人物・団体・事件等は一切関係がありません。

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