唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

やっぱり素晴らしい日本野球。

 今回の記事はW・C・フラナガン氏が執筆した文章を、私(kensyouhan)が日本語に訳したものであることを、あらかじめおことわりしておきます。


 前回に続いて唐沢俊一のこんなニュースに誰がした!』を取り上げる。今回は週刊アサヒ芸能』2005年10月13日号掲載の第27回「野球の不人気をなんとかしよう!」を紹介する。ロンドン五輪で正式競技から除外されたことや、テレビ中継の視聴率の低下について書かれているのだが、この文章を読む限り、唐沢俊一という人は野球に関してかなり無知としか思えないので困ってしまった。『アサヒ芸能』P.58より。

(前略)確かに野球は、国際的に見れば実はマイナーなスポーツだ。流行っているのはアメリカと日本、それに東南アジアと南米の数カ国くらいでしかない。

 野球の盛んな国をざっと思い浮かべてみるが(NPB公式サイトも参照)、日本、アメリカ、韓国、中国、台湾、カナダ、キューバ、メキシコ、ドミニカ、ベネズエラ、オーストラリア、プエルトリコあたりは盛んと言えるのではないか(ヨーロッパだとイタリアとオランダがわりと盛ん)。だから、「東南アジアと南米の数カ国」というのは明らかに少ない。

 P.58より。

 野球がサッカーのような国際性を得られない理由として、大変に“カネがかかる”スポーツであることが挙げられる。ボールが1個あればとりあえず始められるサッカーと違い、野球にはバットがいる、ミットがいる、ベースがいる。いや、ある程度きちんとした試合をするなら、専用のグラウンドがいる。野球のグラウンドを“球場”という特別な名前で呼ぶことでもわかるだろう。完全に野球専用に特化した特殊な構造をしているので、他のスポーツに転用できないのである。

 アメリカではMLBNFLのチームがスタジアムを共有している例があるが、日本でも北海道日本ハムファイターズコンサドーレ札幌が札幌ドームを本拠地として併用している。また、甲子園球場では甲子園ボウルが毎年開催され、西宮球場ではかつて競輪が行われていた。


 P.58より。

 また、国際的なスポーツとなるためにはルールの厳格性も非常に大切な要素であるが、野球というのはそれが案外、いい加減なのだ。論より証拠、東京ドームで行われる試合については、天井にボールがはさまって落ちてこない状態の場合、ホームランとすることになっている。こんなルールは他の球場ではない。ドーム独自のルールだ。こんなことがまかり通るスポーツなのだから、国際的に通りがよくなるワケでもない。

 よくわからない理屈だ。じゃあ、「天井にボールがはさまって落ちてこない状態」についてどのように判断すべきなのか。それから、東京ドーム以外のドーム球場でも認定ホームランのルールは存在する。かつての甲子園の「ラッキーゾーン」やフェンウェイ・パークの「グリーン・モンスター」にも言及できればねえ。『ファミスタ90』の「ふぇいふぇい球場」のモトネタ。


 P.58〜P.59より。

ついでに言うと、今の若者の嗜好に照らすと、野球というのは辛気くさい。サッカーやテニスの明朗さに比べると、野球には常に、根性とか辛抱とかという、暗〜い言葉がついて回る。阪神の故・村山実投手は“ザトペック投法”で人気だったが、このザトペック投法というのは投球フォームとは何の関係もない。1952年のヘルシンキ・オリンピックで“人間機関車”とあだ名をとった、チェコのマラソン選手ザトペックに、村山の口をへの字に曲げ、歯を食いしばって、泣きそうな表情で投げる姿が似ている、ということで名付けられたのである。マラソンだって今は高橋Qちゃんのように、軽々と走る選手が人気なのである。こう重苦しくては若者がついてくるはずもない。

 完全に思いつきで話しているだろ、と突っ込みたくなる。「野球=辛気くさい、サッカー・テニス=明朗」というのもベタだけど。
 このコラムが書かれた翌年の夏の甲子園斉藤佑樹が大フィーバーを巻き起こしているが、決勝再試合を一人で投げ抜いた「根性」も彼の人気の一因だろう。それに現在の球界のスターの一人である金本知憲はまさしく「根性」の人だ。「根性」「辛抱」はマイナスに評価されてばかりいるわけではないのだ。
 次に「ザトペック投法」だが、一般的には村山実の全身を使ったダイナミックな投げ方が「人間機関車」に例えられた、とされている(デイリースポーツ電子版スポニチ大阪)。…しかし、村山実の話がどうして「野球は今の若者に受けない」という話につながるのか皆目見当がつかない。

 P.59より。

「しかし、リーグ優勝した阪神の人気は依然高いものがあるじゃないか」
 とおっしゃる向きもあるだろうが、私に言わせれば阪神ファンというのは“阪神ファン”であって野球ファンではない。もっと正確に言うなら、阪神ファンというのは阪神を代表する大阪ファンであって、野球ファンではない。
 本当に野球が好きなら、何で関西では阪神しか人気がないのか。かつて阪神がボロ負けを続けていた時代、パ・リーグでは南海ホークス、阪急ブレーブスという実力ある2球団がそれぞれ黄金時代を築いていたが、大阪人はこの2球団には本当に冷たかった。ことに阪急は不思議なくらい人気がなかった。何度も巨人と日本シリーズで覇を争った近鉄バファローズに対しても、なぜか関西の人々の眼は冷たく、ホリエモンが名乗りをあげ、結局オリックスへと決まった身売りの際も、あれだけ世間が騒ぐ中で、大阪では一部ファン以外に盛り上がりがまったく見られなかった。阪神ファンにとっては野球チームは阪神1球団があればよく、その阪神が巨人(東京)と闘って勝てば他にはもう、何もいらないのである。

 困った。どこから突っ込めばいいのやら。
 第一に、近鉄バファローズが巨人と日本シリーズで対戦したのは1989年の一度だけ。加藤哲郎の発言で流れが変わったアレですよ。
 第二に、バファローズオリックスに身売りしたのではなくブルーウェーブ合併したのである。単なる身売りだったら再編問題は起こっていないって。…っていうか、あの問題、関西で盛り上がらなかったってホント? 
 それに、阪神以外のチームが関西で人気がなかった、ということはないと思う。南海ホークスの「涙の御堂筋パレード」、オリックスブルーウェーブの「がんばろう神戸」、近鉄バファローズの「10・19」などなど、盛り上がった出来事がすぐに思い浮かぶ(もちろん杉浦忠の4連投はリアルタイムでは知らないが)。南海、阪急、近鉄、どのチームにもちゃんとファンはいたはずである。


 この後、野球を「金のかからないスポーツ」にする必要があるとして、1チームの人数を減らし、三角ベースを参考にしたらどうか?などと提案しているのだが、だるくなったので省略(一部文章が乱れている部分もあるがスルーする)。透明ランナーも導入してみるかい?


 まあ、『昭和ニッポン怪人伝』でのONに関する文章を読めば、野球に疎いのはわかっていたけど、それにしたってひどい。
 ふと思ったのだが、唐沢俊一「野球ファン煽り」を専門にしてみてはどうか。ついでにサッカーファンも煽れば杉山茂樹並みの人気者になれるかもしれないよ。


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