唐沢俊一のネタの使い回し・俺は村山だ!!編。
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karasawagasepakuri@yahoo.co.jp
唐沢俊一は『フィギュア王』で1997年4月から2010年2月まで足かけ13年にわたってコラムを長期連載していた(『唐沢俊一のおんなのこってなんでできてる?』→『カラサワ流奇想怪想玩具企画』→『唐沢俊一のトンデモクロペディア』)。当ブログでもこれまでその一部を取り上げてきたが、150回以上にも及ぶコラムをすべてチェックするのは大変なのでこれまでサボってきた。量的な問題だけなら気合を入れてやれないこともなかったろうが、「これ以上パクリやら使い回しやらが見つかったらどうしよう」という不安があって、どうしても手が進まなかった。「秀吉怪談」のようなパクリや「姉さん女房」のような使い回しを見つけると本当にガッカリしてしまうのだ。…とはいうものの、検証を終わらせるために避けて通ることもできないので、こないだようやく一読してみた。
嫌な予感は的中(『ヒゲとボイン』風に)。ざっと見ただけでもいくつか使い回しを発見してしまった。4年も検証をやっているとありがたくないことに「この文章は前に読んだな」とわかってしまうのである。あなたはいつもコピペでしょ(『ヒゲとボイン』風に)。
そのうち、今回は軽めの使い回しを紹介する。『フィギュア王』№113(2007年6月発売)に掲載された『唐沢俊一のトンデモクロペディア』第26回「野球拳をオリンピック競技に!」は、『週刊アサヒ芸能』2005年10月13日号掲載の『唐沢俊一のこんなニュースに誰がした!』第27回「野球の不人気をなんとかしよう!」を部分的に使いまわしている。実はオリジナルの文章もさんざんな内容だったのだが(2011年5月22日の記事を参照)、使い回しバージョンはさらにワケワカになっている。では、ふたつの文章を比較していこう。まずはオリジナルの『こんなニュースに誰がした!』から。
この間、2012年から野球がオリンピック競技から外されることが決定したけれども、IOCは野球が、
「国際的な競技への拡大の努力がみられない」
ことをその理由にしたのである。
次に『トンデモクロペディア』。
2012年のロンドンオリンピックから、野球はオリンピックの競技から外される。
そもそも野球というのは、IOCにより「国際的な競技への拡大の努力がみられない」
と言い切られている。
『こんニュー』。
委員の中には、野球というスポーツを知らなかった者までいたそうである。ちなみに、野球を落とした代わりにオリンピック競技になるかも、と言われているものに、ローラースケートやスカッシュがあるという。こんなスポーツより野球は下、と思われたのだ。
『トンデモ』。
野球を外すことを決定した委員の中には、野球というスポーツを知らなかった者までいたそうである。ちなみに、野球を落とした代わりにオリンピック競技になるかも、と言われているものに、ローラースケートやスカッシュがあるという。こんなスポーツより野球は下、と思われたのだ。くやしいではないか。
『こんニュー』。
野球がサッカーのような国際性を得られない理由として、大変に“カネがかかる”スポーツであることが挙げられる。ボールが1個あればとりあえず始められるサッカーと違い、野球にはバットがいる、ミットがいる、ベースがいる。いや、ある程度きちんとした試合をするなら、専用のグラウンドがいる。野球のグラウンドを“球場”という特別な名前で呼ぶことでもわかるだろう。完全に野球専用に特化した特殊な構造をしているので、他のスポーツに転用できないのである。
『トンデモ』。
そして、野球は大変に“カネがかかる”スポーツである。貧乏国の多いオリンピック参加国では評判が悪い。ボールが1個あればとりあえず始められるサッカーと違い、野球にはバットがいる、ミットがいる、ベースがいる。いや、ある程度きちんとした試合をするなら、専用のグラウンドがいる。野球のグラウンドを“球場”という特別な名前で呼ぶことでもわかるだろう。完全に野球専問(原文ママ)に特化した、用特殊な構造(原文ママ)をしているので、他のスポーツに転用できないのである。せいぜいが正月にタコ上げ大会をしたり、人工芝の上にリングを作ってそこでプロレスをしたりするくらいだ。
「用特殊な構造」ってなんなんだ。壮絶なコピペミスである。『アサヒ芸能』では正しかったのにコピペしたら間違ってしまったケースは他にもあるので(2011年2月23日の記事を参照)、『アサ芸』はチェックがちゃんとしているようだ。おまえさん、やるじゃない!(『めしばな刑事タチバナ』、面白いなあ)
これに続く、野球のローカルルールを批判するくだりは『アサヒ芸能』と『フィギュア王』、一字一句全く同じ完全なコピペなので省略。先にリンクを貼った2011年5月22日の記事の中でツッコミ済み。
『こんニュー』。
ついでに言うと、今の若者の嗜好に照らすと、野球というのは辛気くさい。サッカーやテニスの明朗さに比べると、野球には常に、根性とか辛抱とかという、暗〜い言葉がついて回る。阪神の故・村山実投手は“ザトペック投法”で人気だったが、このザトペック投法というのは投球フォームとは何の関係もない。1952年のヘルシンキ・オリンピックで“人間機関車”とあだ名をとった、チェコのマラソン選手ザトペックに、村山の口をへの字に曲げ、歯を食いしばって、泣きそうな表情で投げる姿が似ている、ということで名付けられたのである。マラソンだって今は高橋Qちゃんのように、軽々と走る選手が人気なのである。こう重苦しくては若者がついてくるはずもない。
『トンデモ』。
大体、野球というのは、上位にある一チームのみが活き活きとして、下にいるチームの選手や監督は一様にムーッとした顔をしている。サッカーやテニスのように、好試合を見せた対戦相手が、勝敗にかかわらず抱きあってお互いの健闘をたたえる、というような、スカッとしたところがない。野球には常に、根性とか辛抱とかという、暗ぁい言葉がついて回るスポーツだ(原文ママ)。古い話になるが、阪神の故・村田実投手(原文ママ)は“ザトペック投法”で人気だったが、このザトペック投法というのは投球フォームとは何の関係もない。1952年のヘルシンキ・オリンピックで“人間機関車”とあだ名をとった、チェコのマラソン選手ザトペックが、常に、口をへの字に曲げ、歯を食いしばって、泣きそうな表情で走っていたのが、村田(原文ママ)の常に必死な形相で投げる姿が似ている、ということで名付けられたのである。マラソンだって今では、笑顔を絶やさず軽々と走る選手が人気なのである。こう重苦しくては若者がついてくるはずもない。長嶋倒れ、新庄がCMスターに転進した今、頼りになるのが森本稀哲ひとりというのでは、あまりに寂しすぎないか。
「村田実」
「ロバート・ケネディ大統領」クラスのヤツが来ましたね。最初は「あの大投手の名前を間違えるなんて!」と怒りを覚えたのだが、二度目の「村田」で笑いに転じてしまった。あまりにも堂々とした間違いだから可笑しくって可笑しくって。…それにしても、どうしてひちょりしか頼りにできないのかは謎。当時のファイターズ限定の話? 「スポーツだ」を付け加えたおかげで文章がおかしくなったのも見逃せないけれど、サッカーだって下位のチームの監督や選手は機嫌が悪くなるだろうし、高校野球では試合終了後に両チームの選手同士で握手している。話の都合上、野球のイメージを悪くしたいのだろうが、あまりにもやりかたが拙劣だ。
ただ、この後の文章の流れは『アサヒ芸能』と『フィギュア王』でそれぞれ違っていて、『アサ芸』では野球の1チームの人数を減らして三角ベースにすることを提案し、『フィギュア王』では野球の代わりに野球拳をオリンピック競技にしようと提案している。どっちもしょうもない話ではあるが、しょうもないのは別に悪いことではないのでとりあえずスルーしておく。
ヘビーな使い回しに関しては次回説明することにする。2つあるので話が長くなる予感。
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