唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

置き石自演でストロー嫌。

なんらかのストーリー性は感じるがよくわからない。




12月2日11時45分から日本テレビで放映されるスクール革命!唐沢俊一が久々に出演するとのこと。唐沢は「つぶやき日記」11月3日分でこの回の収録に不満を漏らしている。『タカトシの時間ですよ!』『嵐にしやがれ』と唐沢が出演した他の番組の感想も早く書かねば。



唐沢俊一は日記の最後にその日食べた食事をメモしているのだが、「つぶやき日記」11月14日と15日の食事が全く同じである(唐沢俊一公式サイト)。日記の内容が重複することは以前からよくあるけども。15日の日記にある森本健成アナの痴漢事件に関するセカンドレイプまがいの発言を見て、「劇団にセクハラはつきもの」とか書いていたのを思い出したり(「裏モノ日記」2010年2月26日)。


●本題。唐沢俊一キッチュワールド案内』早川書房)P.13のまえがきに下のようなくだりがある。

 本書は早川書房の雑誌『SFマガジン』に、一九九九年一月から二〇〇一年十二月まで『妄想通』の題名で連載した原稿を元に、適宜他の雑誌に掲載されたものも合わせ、大きく改稿してまとめたものである。


 この「他の雑誌」について『キッチュワールド案内』には書かれていないのだが、P.70〜77の「鉄ちゃんとトイレ―排泄論」はフィギュア王』№22掲載の唐沢俊一のおんなのこってなんでできてる?』第20回『トイレと人生』が元になっている。宮城道雄の事故に関するミスは雑誌掲載時からあったこともわかったのだが(2008年12月24日の記事を参照)、初出誌を読むと何故ミスしたかもわかったので少々お得な気分になった。単行本P.76では

 鉄ちゃんなら、このエピソードを読んだだけで、宮城道雄の乗った電車の車種が分かるらしい。
「そういうことなら、それは昭和五年生まれの参宮急行(現近鉄の一部)2200系でしょう」
と、彼らは自信満々に言う。


 とあったが、初出の『フィギュア王』では

 鉄道マニアなら、このエピソードを読んだだけで、宮城道雄の乗った電車の車種が分かるらしい。
「といえば、昭和五年生まれの参宮急行(現近鉄の一部)2200系でしょう」
 と、パソ通で上記のエピソードを紹介したとたんにレスがついたことがある。


 となっていた。つまり、他人の話を鵜呑みにしちゃったわけだ。…しかし、この文章が『フィギュア王』で発表されていたとなると、このミスについての唐沢俊一の弁明(前掲した2008年12月24日の記事を参照)にますます疑問が出てくるわけだが。ともあれ、単行本に文章を収録する際は初出を表記してもらえるとありがたい。



 上で引用したまえがきでもわかるように、『キッチュワールド案内』はSFマガジンに連載されたコラム唐沢俊一の妄想通』がベースになっているのだが、実は全ての連載分が収録されているわけではない。今回は『妄想通』の単行本未収録分をチェックするうちに発見した事柄を報告したい。


 SFマガジン』2001年3月号掲載の唐沢俊一の妄想通』第27回は、前半で武家社会の価値観を論じた後、後半で丸谷才一忠臣蔵とは何か』(現在は講談社文芸文庫)を紹介するという内容になっている。『SFマガジン』2001年3月号P.266より。

 ところで、この赤穂義士、いや忠臣蔵というエピソードに、日本人の御霊(ごりょう)信仰とからめた新解釈をしたのが、英文学者の丸谷才一である。内匠頭の死があまりに理解を絶するものであったが故に、江戸の人々はその霊の祟りを恐れた。そして、その怒りを鎮めるために、数多くの忠臣蔵ものの芝居を演じて、荒ぶるミタマをなぐさめたのだ、というのが丸谷説である。


 清水義範『猿蟹合戦とは何か』の方を先に読んでしまったことを懐かしく思い出していると、続くP.267に次のようにあった。

 では、と。ここで私(唐沢)は考えるのである。曾我兄弟、忠臣蔵以降の、現代日本における、この御霊信仰をモチーフにした作品というものはないのか、と。もちろん、それはある。毎年毎年繰り返し映画が作られ、祭祀の役割をしている映画群が。他でもない、東宝ゴジラを中心とした、怪獣映画群がそれである。(以下次号)


「(以下次号)」とあったので、SFマガジン』2001年4月号を手にとり唐沢俊一の妄想通』第28回に目を通して見ると、そこで唐沢はオリジナルの『ゴジラ』について、

斯様に、あの作品の脚本・演出はアナだらけなのだ。


と指摘したうえで(同誌P.97)、「アナだらけ」であるにもかかわらず『ゴジラ』が人気を得た理由を以下のように考察している。『SFマガジン』2001年4月号P.98より。

 いったい、『ゴジラ』が一怪獣映画という域を超え、日本人にとってのシンボルのひとつになり得た秘密はどこにあるのか。
 ここに、赤穂義士と同じ、“祭祀”のイメージを読み取るのはあながち無理ではないように思える。丸谷才一の『忠臣蔵とは何か』の中心テーマである御霊(ごりょう)信仰が、怪獣映画にわれわれ日本人が求める潜在的な様式を形づくっているのではあるまいか。自然災害のアナロジーとして、日本を襲うところの荒ぶる霊、ゴジラの暴威を、いけにえを供え祭ることによっておさめ、神のいます国へと帰ってたいただくという“儀式”の話として、あの作品は受け止められているのではあるまいか。


 この文章が発表された7年後に出版された唐沢俊一のトンデモ事件簿』三才ブックス)に収録された『死刑と祟り神』でも唐沢は『妄想通』と同様に「欠点だらけの作品である『ゴジラ』が人気を得たのは御霊信仰の映画だったからである」という考えを述べている(2008年11月6日の記事を参照)。なるほど、『忠臣蔵とは何か』がモトネタだったわけか、と納得。わざわざ昔の雑誌を調べた甲斐があった。


 しかし、『トンデモ事件簿』でも唐沢はオリジナルの『ゴジラ』について、

映画脚本としては出来の悪いものとしかいえないだろう。


 と、無理のあるツッコミを入れていたが(同書P.110)、『妄想通』でもやはり奇妙なツッコミを入れているのが気になる。『SFマガジン』2001年4月号P.96より。

(前略)人間関係と感情の動きの不自然さは、殊に第一作『ゴジラ』には顕著である。

 まず、芹沢博士という人間が、戦争が終わった後まで、どうしてオキシジェン・デストロイヤーなどという剣呑な兵器の研究を続けていたのか、という疑問が残る。このような危険な研究を個人レベルで行っていたということは考えにくいから、おそらくは軍の指示によって開発に従事していたのだろう。それならば、敗戦によって軍関係の研究は全て中断となったはずで、芹沢が研究を続けている指示と、研究に必要な金はどこから出ていたのか、まったく不明である。
 科学者としての情熱により、中断された研究を個人的に継続していたのだ、ということになれば、芹沢家というのはかなりの財産家だったということになる。映画ではそこまでは描かれていないが、まあ可能性はあるかもしれない。しかし、それであれば、芹沢個人はオキシジェン・デストロイヤーが恐るべき殺人兵器であるということを承知の上で研究していたわけであり、完成してから、
「恐ろしいものを作ってしまった」
 などと悩んだりするのはマヌケな話でしかない。最初からそんなことはわかりきった話ではないか。インスタントラーメンを開発しようとして殺人兵器を作ってしまったわけではないのである。


 芹沢博士は劇中でオキシジェン・デストロイヤーの研究についてちゃんと説明している(セリフは本編から起こした)。

僕は酸素というものをあらゆる角度から徹底的に研究しようと考えた。ところが、その研究途上で思いがけないエネルギーを発見した。

もしも兵器として使用されたならば、それこそ水爆と同じように人類を破滅に導くかもしれません。しかし、僕は必ずこのオキシジェン・デストロイヤーを社会のために役立つようにしてみせます。

 偶然作られたオキシジェン・デストロイヤーを平和利用できるようにすることが芹沢博士の目的だったわけだ。疑問があるなら本編を観ればよかったのに。


 唐沢はこんなツッコミも入れている。P.96より。

 山根博士(志村喬)の娘役である河内桃子はかつて芹沢の婚約者だったという設定である。芹沢は戦災(?)で自分の顔が醜く変貌したことを理由に、その婚約を破棄している。芹沢はいまだ彼女を愛しているのだが、その元・婚約者に向けて
「君にだけ見せてあげよう」
 と、オキシジェン・デストロイヤーで水槽の魚を惨殺するところを実験してみせ、悲鳴をあげさせる。悪趣味というしかない。


 個人的な感想を書くと、大人になって『ゴジラ』を観直した時、唐沢が「悪趣味」と断じたシーンで、「ああ、芹沢博士は恵美子さんに自分のことをわかってもらいたかったんだなあ」とシンミリしてしまったものだ。その後、恵美子さんが尾形に秘密を打ち明けてしまうことを考えると余計にせつない。まあ、ドンファン喪男の気持ちを理解できないのはいたしかたのないところなのかもしれないが、唐沢が書いているように「人間関係と感情の動きの不自然さ」とまでは言えないように思う。そもそも、『ゴジラ』が「欠点はあるが御霊信仰を描いているから日本人に受け入れられた」のだとしたら、どうして海外で人気を得たのかよくわからない。


 結局のところ、『ぴあ』での『ゴジラ』批判唐沢俊一の中でいまだに生きているように思う(2008年11月18日の記事を参照)。『ゴジラ』は作品として出来が良くないと批判しながらもなおかつ『ゴジラ』を評価するというアクロバットを実行するために「御霊信仰」を持ち出したのではないだろうか。本多猪四郎監督の奥さんや梶田興治監督と親交ができてからは『ゴジラ』を否定できなくなってしまったのだろうし。


タコシェで既刊『唐沢俊一検証本VOL.1』『唐沢俊一検証本VOL.2』『トンデモない「昭和ニッポン怪人伝」の世界』『唐沢俊一検証本VOL.3』『唐沢俊一検証本VOL.0』「唐沢俊一検証本VOL.4」の通販を受け付けています。タコシェの店頭でも販売しています。
・初めての方は「唐沢俊一まとめwiki」「唐沢俊一P&G博覧会」をごらんになることをおすすめします。
・当ブログにコメントされる場合には誹謗中傷および個人を特定しうる情報の掲載はおやめください。守られない場合には厳正に対処する可能性があります。
・1970年代後半に札幌でアニメ関係のサークルに入って活動されていた方、唐沢俊一に関する情報をご存知の方は下のメールアドレスまでご連絡をお願いします。
karasawagasepakuri@yahoo.co.jp


【東宝特撮Blu-rayセレクション】 ゴジラ(昭和29年度作品)

【東宝特撮Blu-rayセレクション】 ゴジラ(昭和29年度作品)

キッチュワールド案内(ガイド)

キッチュワールド案内(ガイド)

唐沢俊一のトンデモ事件簿

唐沢俊一のトンデモ事件簿

忠臣藏とは何か (講談社文芸文庫)

忠臣藏とは何か (講談社文芸文庫)

世界の電波男 ― 喪男の文学史

世界の電波男 ― 喪男の文学史