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『唐沢俊一のこんなニュースに誰がした!』は『週刊アサヒ芸能』2005年4月7日号から2006年4月27日号まで連載されたコラムである。毒舌を交えてニュースを語る、というあたり『社会派くんがゆく!』にノリが近い(実際に主張が重複している部分もいくつかある)。コラムのイラストを「うわの空・藤志郎一座」のツチダマミ(土田真巳)が担当しているのは、唐沢流の「プロデュース」なのだろうか(みずしな孝之『うわの空チュートリアル』でしばしばスタイルの良さを絶賛されている女性が土田嬢である)。…そうか、この時期はまだ「うわの空・藤志郎一座」と良好な関係だったのか。
なお、唐沢のコラムに先立って麻生圭子が1995年に『こんなニュースに誰がした』(PHP研究所)という単行本を出しているが、たまたまカブったと考えるほうが自然だろう。事前に調べとけばいいのに、とは思うが。
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唐沢が『こんなニュースに誰がした!』の原稿を他の雑誌でも使いまわしていたことは当ブログで過去に取り上げている。
『こんなニュースに誰がした!』第16回
『こんなニュースに誰がした!』第50回
特に第50回の原稿は『フィギュア王』で2度も使いまわしているところを見ると、かなりの自信作だったのだろう。だからといって使いまわしてはいけないが。
また、上のケースとは異なるが、『トンデモ本の世界U』(楽工社)で唐沢俊一が渡辺淳一『愛の流刑地』を「トンデモ本」として紹介している文章は、『週刊アサヒ芸能』2005年9月29日号掲載の『こんなニュースに誰がした!』第24回「「愛ルケ」人気で日本経済は安泰!?」をベースに加筆されたものである。雑誌から雑誌へと使いまわしたわけでもなく、それなりの分量が加筆されているのだが、雑誌で発表されたものを単行本に載せる場合には出典を明記してほしい。「と学会」サイドが書き下ろしでなかったことを了解していたかどうかは、『トンデモ本の世界U』を読む限り確認できなかった。
さて、今回は『週刊アサヒ芸能』2005年10月27日号掲載の『唐沢俊一のこんなニュースに誰がした!』第29回「2ちゃんねるをもっと勉強しる!」を取り上げる。いわゆる「のまネコ騒動」(なつかしい…)がテーマになっているのだが、今読んでみると実に興味深いくだりがあるのだ。『週刊アサヒ芸能』P.61より。
(前略)ネットというところは極めて気軽にアクセスして、大学の図書館でもなければ調べられないような知識がいとも簡単に読めてしまう、便利の極致といったものなので、どうしても版権や著作権に関しての意識が薄くなってしまう。私も、ネットで拾った情報をちょくちょく、自分で調べたかのような顔をして原稿に使用することがある。誠に忸怩たるものがあるが、しかし、その代わり私は、ネットに自分で書き込んだ知識や情報を、人が勝手に引用して使っても、それはお互い様だと思うことにしているんである(2ちゃんねるでも、私のネット書き込みを元に書き込んでいる住人が少なからずいる)。ネットから引用権を取り去ったら、そもそもモナーだって生まれなかったかも知れないのだ。登録商標などという意識とは最も遠くにあるのがネット文化なのである。
ああ、1年半後の『新・UFO入門』事件は必然だったのだなあ。問題点を以下に挙げる。
ひとつめは、ネット上の情報を過信していること。ネット上の情報は「便利の極致」ではなく「玉石混淆」と呼ぶのがふさわしく、裏を取らないままコピペをすると大変なことになる、というのは当ブログで何回も書いてきた。唐沢のメディア・リテラシーには問題があると言わざるを得ない。
ふたつめは、引用に関する知識がないこと。引用は著作権者に無断でなされるものなので、「勝手に引用」されるのは当たり前のことである。もしかすると、それがわかってないから「無断引用」という誤った言葉を何度も使っているのだろうか。「無断引用」というのは「盗用」と言いたくないためにあえて使っているのだと思っていたが、本気で間違えている可能性もあるのか。…一体どっちがマシなんだろ。それにしても、唐沢俊一のネット書き込み(「裏モノ日記」か?)を元にネットに書き込みをするのはやめておいたほうがいい、と心の底から思う。何もいいことないって。
さらに続き。P.61より。
ネットと、ことに2ちゃんとどうつきあっていくかが、これからのマスコミ人の大きな課題になってくるだろう。これをいい薬として(引用者註 エイベックスの)松浦社長も勉強してほしい。2ちゃんねる用語で言えば“勉強しる!”(“しろ”の誤記から定着した用語)だ。悪口には腹も立つだろうが、なに、匿名でしかものを言えない連中を気にすることはない。私(唐沢)の誹謗のスレッド(項目)だってちゃんと立っている。むしろマスコミでメシを食っている者としては、2ちゃんで悪口も言われなくなったらオシマイ、という認識でいなければならない。
ですよねー。匿名の人間が何をやろうと唐沢さんは平気に決まってますよねー。だから、夏コミでは同人誌を自分から直接受け取ってくださいね。
ただ、有名人が「ネットでは“匿名でしかものを言えない連中”と同じ土俵に立っている」ということを忘れて、ブログを炎上させたりtwitterで叩かれることがよくあるので、そこは注意すべきだし、唐沢俊一も「あぁルナティックシアター」の公式ブログを炎上させているあたり、ネットに向いていないのでは?と不安を覚える。
それから、2ちゃんねるに最初に唐沢俊一のスレッドを立てたのは唐沢俊一本人である。しかも、スレッドが立ってからまもなく唐沢が「ドンファン」だったという書き込みがあったのだから、世の中には不思議なこともあるものだ。
そして、コラムは次のように締めくくられる。P.61より。
2ちゃん住人でアサヒ芸能読者、という人がどれだけいるかしれないが、一言、ここで宣言しておこう。
「唐沢俊一はハゲだ」という書き込みが時折あるが、私は帽子を脱いでも決してハゲているわけではありませんぞ。多少最近、寂しくなり始めてはいるけれども。
ですって。唐沢俊一によるハゲ防止策については1月31日の記事を参照していただきたい。でも、「ハゲ」と「頭髪が寂しい」というのはどう違うのだろうか。
唐沢俊一は「裏モノ日記」2000年5月19日にもあるように当初は「2ちゃんねる」擁護派だったものの、『新・UFO入門』盗用事件で2ちゃんねるをはじめとしてネットで厳しく批判されたのが影響しているのか、次第に2ちゃん批判派へと姿勢を転じていった。「2ちゃんで悪口も言われなくなったらオシマイ」と言ってはいても、実際に批判されたら相当こたえるのだろう、と同情しないでもない。
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