あのさぁ。
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karasawagasepakuri@yahoo.co.jp
悪銭身につかず、って諺とか、いじわるじいさんが最後には酷い目にあう昔話とか、これは実は全部ホントだから。幽霊はいる、とか、UFO乗った、とかいう話とは比べ物にならないくらいホントだから。嘘だと思ったらずーっとズルして生きててごらん。見事なまでにしっぺ返しが来るよ。
当ブログの読者ならば実に考えさせられるツイートのはずだが、このツイートを唐沢なをきがリツイートしていることにはさらに考えさせられる。なお、「唐沢俊一」というワードでググると、当ブログがわりと上位に来るのは以前から知っていたが、「唐沢なをき」というワードでググっても似たような結果になると今更気づいて複雑な気分になった。
●本題。『フィギュア王』№45(2001年6月発行)掲載の『唐沢俊一のおんなのこってなんでできてる?』第44回「野球の中の女ゴコロ」は、唐沢俊一の奇妙なスポーツ観がよく出た文章である。
野球・サッカーが、スポーツとして、というよりも選手鑑賞の場として人気なのは、他のスポーツ選手に比べ、ゴツイ選手がいないからであろう。
今のサッカー人気は、サッカー協会が
「とにかくハンサムなやつをどんどん選手にして、女性客を集めるようにしろ」
という方針のもとにスター選手を育成してきたその結果であることは周知の事実だが(後略)
そんな方針があったのかね、と疑わしく思うが、女の子がカッコいい選手を好きだというのは確かにその通りだ。ダルビッシュ有は『anan』のグラビアに登場しているし、自分の身近にも内田篤人の大ファンの女の子がいたりする。
ただ、見た目の良さだけが問題なのではなく、実力があって活躍している選手はカッコよく見えるのではないか、とも思う。美形とは決して言えない(立派な顔をしているとは思う)吉田麻也のモテモテっぷり(「Samurai Goal」を参照)を見るとつくづくそう思う。まさか『オースティン・パワーズ』のオープニングみたいな光景がリアルで見られるとは。
高山善廣も「あの映画みたいなことをやってみたい」と言っていた。
この後、「プロ野球選手にはお坊ちゃまタイプが多い」という持論や長嶋茂雄の同性愛疑惑について触れているが、女性人気について論じているのに太田幸司の話が出ず、コンタロウ『1・2のアッホ!』をネタにしているのに定岡正二の名前が出てこないという穴の多い話になっている。まあ、唐沢俊一が自分の好きな分野を取り上げたときに「浅さ」が目についてしまうのはよくある話である。どんなジャンルにも通じている風にするとかえって危険、ということなのかも。
で、高橋由伸が長嶋茂雄の「お稚児さん」なのではないか、という話になる。
それはともかく、高橋由伸がそのような稚児伝説を立てられたのも、彼のナルシー系の美貌が理由であるだろう。だいたい、あの顔でウルフと呼ばれて(名付け親はミスター)、それを許容しちゃっているというのが情けない。
ならば、「ゴジラ」という呼び名を許容している松井秀喜もまた「情けない」という話になりそうなものだが。「ウルフ」というニックネーム自体はカッコいいし、甘いマスクの選手に野獣のニックネームをつけるのはそれほど悪いセンスではないだろう。「ベビーフェイス・アサシン」みたいなもので(正しくは“Babyfaced Assassin”らしい)。フロイド・メイウェザーのニックネームが「プリティボーイ」なのはプリティボーイ・フロイドから来ているんだろうなあ、とか思ったり、というのは完全に余談。
さらにその後、三原脩にも同性愛疑惑があって、仰木彬が「お稚児さん」だったとか、その仰木がイチローの肉体を褒めるのは怪しいし、トミー・ラソーダが野茂英雄の尻を褒めるのも怪しいという話になるわけだが、そのくだりを読んでも唐沢俊一は2ちゃんのなんでも実況Jに行ったらいい、としか思えなかった。それはなんでもそーゆー風に解釈しようと思えばできてしまうという話でしかなくってね…。唐沢さんはネットスラング好きだからそのうち(小並感)とか(震え声)とか使いそうな予感。
あと、こんな文章もあった。
選手を引き抜くとき、能力でも年俸でもなく、顔の好みで攻めるところに、三原マジックの本質がある。
「ここでコイツをスターにさせたい、満場の喝采を浴びさせてやりたい」
という気持が監督にあり、先取がそれにこたえようとするところに、名コンビが生まれる。
先取
前回の「カラス親父」といい、『フィギュア王』はチェックが甘いのかも。それと、監督と選手を「名コンビ」とはあまり言わないし、三原がいわゆる「超二流」の選手を起用したのも、その選手の顔が好みだったから、なのだろうか。鈴木武を近鉄から引き抜いたのも…、とかやっているとマニアックになるうえに唐沢俊一がついていけないおそれもあるので自粛。
そもそも、野球というゲームが、バットとボールという(日本語で言うとサオとタマである)、フロイト先生が見たら大喜びしそうな道具をもって闘うスポーツである、というところに、大きな隠喩がある。
脱力。
さっきの話と似てしまうが、スポーツに限らずあらゆる物事を性的に解釈しようと思えばできてしまう、それだけの話であって、わざわざ雑誌のコラムで書くような話だろうか。飲み会でやられてもキツいレベルだよ。それにグラブの立場はどうなるのかと。
女性たちが、いささか羞恥心を抱きながら、野球にノメりこむのも、わかるような気がしないでもない。男の、男だけの世界なのに、そこに流れているのは女性の論理なのである。これはほとんど恨み節、演歌(怨歌)の世界と言っていいだろう。その証拠に、各球団のファンたちの応援歌を聞いてごらん。スポーツ選手の熱戦を称えるというより、ほとんど男女のしがらみを歌ったような歌詞になっている。球団への、求めても求めてもむくわれない、愛情を切々と歌い上げているのである。
『六甲おろし』、『闘魂こめて』、『地平を駈ける獅子を見た』などは実に勇壮でそのチームのファンならずとも燃えてくるけどなあ。「辛口情報鷹の爪」の応援歌データベースを見ても「恨み節」とはあまり思えない。『東京音頭』とかどうなるんだろ。
さて、この後は「阪神タイガースのファンはマゾ」というよくある話になる。定期的に出る話題だなあ。
なにしろ、二年連続最下位が決定した去年、阪神ファンの根拠地、神戸の地元スポーツ新聞サンスポが行ったファンに対する意識調査で(後略)
阪神タイガースの本拠地である阪神甲子園球場の所在地は兵庫県西宮市。「根拠地」というと「国際根拠地論」を思い出す。あと、サンケイスポーツの本社は東京と大阪にそれぞれあり、神戸に本社があるのはデイリースポーツである。
山本周五郎の小説に、一生が不幸の連続だった娘が幸せな家庭を築くが、その幸福の重圧に耐えられず、夫を殺してしまう話がある。あの阪神優勝の年、一生ぶんのトラキチたちの表情には、どこかその娘に似たものがあった。
「こんなんで神さんが許してくれる筈あらへん。きっとよくないことが起こるで」
という、何かおどおどした、ビクついたような感じがあったのである。
もしあの悲惨な大震災が、あの優勝の翌年くらいに起こっていたら、神戸の立ち直りはもう少し早かったのではないか、とすら思う。“ほら、バチかぶった”と、案外住民は平然と災害を受け止めたのではないか、とすら思えるのである。
「あの阪神優勝の年」というのは1985年のこと。この唐沢の文章が発表された後、2003年と2005年にタイガースはリーグ制覇を成し遂げている。そのあたりでタイガースファンに唐沢俊一が言うような「ビクついた感じ」があったかどうかはわからないし、昨年ドラフトで藤浪晋太郎を獲得し、メジャー帰りの西岡剛と福留孝介を獲得するという補強に成功したことについて、「こんなんで神さんが許してくれる筈あらへん。きっとよくないことが起こるで」と思っているかどうかは知らない。まあ、かなりこじらせた人はともかく、一般のファンは「チームに強くなってほしい」と普通に願っている、とは思う。
…それにしても、東日本大震災の後で読むとなかなか味わい深い一節である。唐沢は「箱根以北」の人らしいから(藤岡真さんのブログを参照)、阪神大震災もどこか他人事なのかもしれない、とも思えてしまう。それに、阪神大震災の年にオリックス・ブルーウェーブが優勝したのは忘れられない(オリックス・ブルーウェーブ優勝サイト)。日本シリーズでの「小林の14球」も。ブルーウェーブの優勝が「神戸の立ち直り」を力づけたのは間違いない。今回の検証にあたって野球関連の事例を調べていくうちに、いろんなことが思い出されて何度か目がウルウルしてしまった。
テレビで観ていても緊張感がハンパじゃなかった。
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