おたくろんべったり。
「俺が俺が」と激しく自己主張する一方で若い世代を腐す困った妖怪のこと。
●溝口敦・荒井香織編著『ノンフィクションの「巨人」佐野眞一が殺したジャーナリズム』(宝島社)を読んだ。佐野の一連の盗用疑惑(3月15日の記事を参照)についてまとめられた本で、『ガジェット通信』で取り上げられて以降に発見された盗用の事例に加えて盗用された被害者の声や法律家による問題の分析が紹介されていて、実に読み応えのある本になっている。当ブログでの検証終了後に唐沢問題を総括する本を出す予定なので大いに参考になった。
唐沢俊一の諸問題を調べてきた人間からすると、盗用疑惑で一冊の本が作れてしまうあたり、やはり佐野は大物なのだと思わざるを得なかった。いや、唐沢俊一だって佐野眞一と比べて面白さでは負けていないはずなんだけどね。あと面白かったのは、『ガジェット通信』が佐野の盗用疑惑を追及しているのは創価学会が裏で糸を引いているからだと考えている人がいる、という話で、「唐沢俊一検証blog」に関してもこの手の揣摩臆測をする人がいるようなので、「いずこも事情は同じなのか」と笑ってしまった。党派性に絡め取られた人間ならではの発想、としか言いようがない。ノンフィクションと盗用、という問題については、他にも気になる事例があるので、いずれ取り上げることがあるかもしれない。
●「つぶやき日記」3月10日分で書いていた「4月の半ば」から始まるはずの「ネットでの連載仕事」ってどうなったんだろ。
●唐沢俊一・岡田斗司夫『オタク論2!』(創出版)を読み返していて気になったところがあったので紹介しておく。P.138より。
岡田 最近の若い人がキャラになりきれないのって、みんな「単純なくくり」を嫌がるじゃないですか。例えば「きみがしたいのは『反抗』なんだね」と言うと、「いや、単なる反抗じゃなくて」とか言うし、「きみがしたいのは単なる成功なんだね」と言うと「いや、単なる成功じゃなくて」とか言う。エクスキューズで必ず「いや、そういうわけでなく」という台詞を言いたがる。
唐沢 自分が他人をレッテルで見るくせに、「自分にレッテルを貼られるのはイヤだ」と言うんですね。
「単純なくくり」を嫌がっているのはお二人の方なんじゃないかなあ。「岡田斗司夫=ダイエットの人」「唐沢俊一=雑学の人」という世間一般から見ればプラスのキャラクターにも満足していないフシがある。岡田の場合は「オタキング」という最大のキャラづけもだいぶ持て余し気味ではある。それに、「きみがしたいのは単なる成功なんだね」と訊かれたら大多数の人間は否定するだろう。「成功できればあとはどうなってもいいです」などと答えるものだろうか。他人を嵌めるための質問のようであまりいい気はしない。
少々遡ってP.137〜138より。
岡田 (前略)例えばぼくね、ダイエットしたのは「太っていたのがイヤ」なわけでもなんでもないんですよ。でもみんな、「そういうストーリー」を求める。インタビュアーも無意識にそれを求めて、会話の端っこでもそういうキーワードがあったら必ず書く。伊集院光なんか、ぼくと会って話しているのに、「岡田斗司夫は今までよっぽど痩せたかったんだ。そんなに太っていたのがイヤなのか」っていう風に書いて、読んだ側はそれを本気で受け取っちゃう。ということは、そういうストーリーがないと、もう消化しきれない。それがキャラというものなんですよね。(後略)
伊集院光が『深夜の馬鹿力』で岡田斗司夫にキレた一件はよく知られているが(「ブログライブ」を参照)、上の発言などはそれこそ「単純なくくり」を嫌っているようにしか見えない。…ただ、この発言を見た後で『いつまでもデブと思うなよ』をあらためてチェックすると(「オタキングex」を参照)、確かに岡田は「太っていたのがイヤ」とは書いていない…のだが、
大切なのは見た目の印象。
まず「デブ」。デブだからどんなファッションも似合わない。そして早口でよく喋る。
このあたりまでが、キャラの第一要素となる。この上に「オタク」というキャラが上書きされる。物書きだの社会評論家だのといった肩書きは、この強烈なキャラの陰に潜んで、見えなくなってしまう。
それと言うのも、「デブ」というキャラの中に、「物書き」「知的」「評論」といったイメージは無い。だから、私が本を出すときにどんなタイトルをつけようと「なんか知的なことが書いてありそうだ」と思ってもらえない。
間違えないでほしい。
このように考えたからダイエットを始めたのではない。最初はなんとなく健康のため、とダイエットを始めたら、どういうわけか、周囲の態度が激変したのに気がついた。なぜだろう? と考えて、ようやくこういう考えにたどり着いた、というわけだ。
…えーと、このくだりを読んだ人が「岡田斗司夫は今までよっぽど痩せたかったんだ。そんなに太っていたのがイヤなのか」と思うのも無理はないような気もする。っていうか、一般ピープルもいくらなんでも作者がデブだからってそこまで決めつけはしないだろう。現に伊集院光は『Qさま!』の「プレッシャースタディ」で活躍していて「インテリ芸人」と呼ばれているわけだし。…あ、「プレッシャースタディ」と言えば「例の事件」について言及しておかねばなるまい。
それに批判された時に「自分の発言を誤解している」と返す論法は唐沢俊一もよくやるところだが、誤解されるような発言をする方にも問題はあるのだ。まあ、デブであることのデメリットを説きつつも、それがダイエットをした理由ではない、とわざわざ断る心情は興味深い。
P.171の脚注より。
注1:モンティ・パイソン
イギリスの6人組コメディユニット。1969年よりBCCで放送されたTVシリーズ「空飛ぶモンティ・パイソン」が人気を博した。89年にメンバーのグレアム・チャップマンが死亡し、事実上解散。
“Blind Carbon Copy”じゃなくて、もちろん正しくは「BBC」。『オタク論2!』の脚注の他のミスについては2010年7月13日の記事を参照。
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