『スコ怖』は出ていなかった。
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唐沢俊一の新刊『スコ怖スポット・東京日帰り旅行ガイド』(ごま書房新社VM)の発売日がAmazonでは6月29日になっていたので、新宿と神保町の書店をいくつかまわってみたのだが、何処にも見かけなかった。店内の検索機で調べてみると、『スコ怖』のデータは見つかるものの「在庫なし」という表記だったので、おそらく発売日が遅れたものと思われるが、猛暑日の中を歩き回るのはキツかった…。Amazonでは既にランキングが動いていて、2万位〜3万位台に落ちたと思ったら1万位台に戻るという動きを繰り返している。売れてるのかなあ。
ピーター・フォークの「追討」については、藤岡真さんと岸田裁月さんが既にツッコミを入れているが、やはり「コロンボ日本人説」は突飛すぎる。「イタリア系っぽくない」→「日本人のイメージに重なる」のあたりで強引過ぎてついていけなくなった。…そんな見方をしている人が他にいるのだろうか? 思いつきだとしてももう少し根拠のある話をしてほしい。『猿の惑星』と当時の時代背景については、町山智浩さんの『<映画の見方>がわかる本』(洋泉社)で詳しく書かれているのでそちらを参照していただきたい。アメリカにおける日本人のイメージの変化ももう少し丹念に追うべきなのではないか。戦時中の反日プロパガンダアニメに出てくる「出っ歯にメガネ」の日本人からコロンボへと本当につながるのだろうか。
『ピーター・フォーク自伝』(東邦出版)(原題は“Just one more thing”)にあった話を紹介しておくと、昭和天皇が訪米した際に陛下から「コロンボに会いたい」という要望が出たもののフォークのスケジュールの都合で面会は実現しなかったという。…なんだかすごい話だ。その後、大平正芳首相が訪米した際の晩餐会にフォーク夫妻は招待され、こちらには出席している。このエピソードなんか「コロンボ日本人説」を補強するいい材料だと思ったものだが。
ただし、それとは逆に、『自伝』にはフォークが『バイブス秘宝の謎』のロケでエクアドルに行った時、現地の子供たちが「コロンボが来た!」と大喜びしたという話も載っていた。それから、『東亜日報』には『コロンボ』韓国版の声優のインタビューもあって、なかなか鋭い分析をしている。…結局、『刑事コロンボ』というドラマの面白さ、そしてコロンボ警部というキャラクターの持つ魅力は普遍的なものだった、ということなんじゃないかと思うのだが。わざわざ複雑に考える必要もない。
故人を偲ぶときにわざわざこういう話をする唐沢俊一の心理には興味があるので、コロンボ警部のように粘り強く追及していきたいところである。
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