井上正治のマンガではない。
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●唐沢俊一による奥中惇夫監督の「追討」より。
早撮り名人と言われた渡辺邦男についていたことがテレビの厳しい
スケジュールの中での演出にどれだけ役立ったかは言うまでもないと
思う。そして、その代表作(上記三作)に共通する、ある種の日本的
泥臭さもまた、新東宝テイストとして、監督・奥中惇夫の骨身に
染み込んでいたことも間違いない。『仮面ライダーが……』の中で、
彼は平成のライダーシリーズに苦言を呈している。身体を張った
アクション、仮面の下に冷や汗を流しながらのエントツ立ち……
こういった絵づくりを行ったきた(原文ママ)奥中惇夫にとり、ゲーム感覚
を取り入れた昨今のライダーに違和感を覚えるのは当然だろう。
奥中監督が『仮面ライダーがエントツの上に立った日』(筑摩書房)の中で「ボディーアクションが仮面ライダーの生命だったのに」と平成ライダーへの違和感を告白しているのはその通りだが(同書P.103より)、奥中監督は自ら演出を担当した『仮面ライダースーパー1』のファイブ・ハンドにも「イージーな感じがしてしまう」と内心反発していたという(P.98より)。…じゃあ、リボルケインもダメなんだろうなあ、と最初に観たライダーがスカイライダーで、『BLACK』『BLACK RX』直撃世代の自分は思わず苦笑いしてしまう。ロボライダー初登場回なんか死ぬほど興奮したものだ。ボルティックシューター! 昭和ライダーと平成ライダーを対立させる見方には抵抗があるので補足しておいた。そもそも唐沢俊一が『仮面ライダー』シリーズをどれくらい観ているのかきわめて疑わしかったりする(2009年4月15日の記事を参照)。また、唐沢俊一は奥中監督の「追討」に「義理堅かった男」というタイトルをつけているが、奥中監督の著書を読む限り、ともに仕事をしている平山亨も橋本洋二も上原正三も義理堅い人のように見えるので、今一つピンとこないタイトルである。
もうひとつ指摘しておく。
とはいえ、そのテレビにおける作品の代表作のほとんどは東映のもの
であるが、67年からその死まで、奥中氏は一貫してフリー演出家の
立場をつらぬいた。1973年、奥中が日テレで『伝七捕物帳』の
第一回を演出したとき、テレビ朝日の裏番組が、東映テレビ制作の
『旗本退屈男』で、なんと演出は恩師の渡辺邦男だった。
この時の視聴率競争で、奥中は恩師に勝つという“恩返し”を
やっている。
『伝七捕物帳』第1話と『旗本退屈男』第1話はともに1973年10月2日に放映されたが、『旗本退屈男』第1話「赤い足袋の死体」を演出したのは佐々木康。なお、奥中監督の著書には『伝七捕物帳』が『旗本退屈男』の視聴率を上回った話は出てくるが、渡辺邦男が第1話の演出を担当していたという話は出てこない。
●本題。前回に引き続き「間違いに気づいて訂正したシリーズ」をお送りする。
その前にお断りしておかねばならないのは、今回紹介するネタは自分が見つけたものではなく、2007年8月に発行された『唐沢俊一研究:トンデモ病患者への処方箋』(増補版は2008年3月に発行)の中で滝田六助氏が指摘されていたものである、ということだ。『唐沢俊一研究』では自分がブログで取り上げた唐沢のガセネタのうちのいくつかも既に指摘されていて、先行者がいたことに心強い思いがしたものである。ただ、この本は全編手書きなうえに何故か毛沢東や手塚治虫やスペル星人の写真が載っているという不思議な本なので、興味のある方は国会図書館か大阪府立国際児童文学館で手にとってほしい。
では、早速紹介。唐沢商会『怪体新書』初版第1刷(光文社)P.12より。このミスは『唐沢俊一研究』P.53で指摘されたものである。
映画方面にネタがふられたので思い出したが歯痛映画(?)の傑作として名高いのは『マラソンマン』(‘76年)
主人公アル・パチーノを名優R・オリビエ扮するところのナチスの拷問係が歯に穴をあけて神経をいたぶるシーンがあってゾッとさせます
『マラソンマン』で主役を演じたのはダスティン・ホフマン。
ところが、自分が持っている初版第4刷(1997年6月30日発行)では、「アル・パチーノ」が「ダスティン・ホフマン」に訂正されている。ミスに対応しているのだから喜ばしいことだが、「R・オリビエ」が直っていないのは残念。“Laurence Olivier”なので「L・オリビエ」だね。
もうひとつ『怪体新書』初版第1刷(1996年3月5日発行)P.46から。このミスは『唐沢俊一研究』P.56で指摘されたものである。
作家の故向田邦子さんは仕事するのがダイエットだった
原稿100枚につき正確に1キロ痩せるんだそうだ。
1枚1グラムである
原稿1枚につき1グラム痩せるのなら、100枚書けば100グラム痩せることになる。
この部分も初版第4刷では「1枚10グラムである」と訂正されている。
滝田氏が指摘されたネタばかり紹介していたのでは気が咎めるので、自分で見つけたネタも紹介したい。
『怪体新書』は『Gainer』1992年10月から95年9月号まで連載された『男のカラダ相談室』をまとめたものだが、雑誌掲載時には「唐沢商会」という作者名のほかに次のような表記があった。
へえ、唐沢商会の役割分担ってそういうことなのか、と驚いた。よくある「原作+作画」とは少し違うようだ。
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