救済されたくて青汁を飲んでみる。
『唐沢俊一のトンデモ事件簿』(三才ブックス)CASE10「なぜ死刑は必要か」では、山椒大夫が鋸挽で処刑されることで庶民達の罪や穢れを身代わりとして背負う役割を果たしていた、という不思議な話をした後で(詳しくは11月1日と11月4日の記事を参照)、このような結論に至っている。P.105より。
昨今、死刑制度廃止論がかまびすしい。しかし、死刑制度には単に犯罪者の生命を絶つばかりでなく、被害者、また遺族、そして一般大衆の魂の救済、という意味が含まれている。この感情が根底にある限り、死刑に対するニーズはなくならないだろう。
この文章を最初に読んだ時、首を捻ったものだ。死刑存置論は数多くあっても「魂の救済」を理由にしたものが他にあるのかどうか。どうしてそんな宗教(というかキリスト教)みたいな理屈を…?と思っていたら、唐沢俊一は『社会派くんがゆく!怒涛編』(アスペクト)でも死刑存置論を書いていた。P.204より。
私は死刑存続論者である。理由は、別に死刑があった方が犯罪が減少すると思っているからでも、犯罪者を税金で生かしておくのがもったいないという度量の狭い意見によるものでもない。死刑は文化、だからである。死刑と不倫を一緒にするな、と言われそうだし、森山真弓が法務大臣だったときに「死刑は日本の文化」と言って物議をかもしたという事件を蒸し返すわけではない。が、しかし死刑はまさに文化と呼ぶしかない制度だ。第一、死刑制度がなかったら、『忠臣蔵』も生まれなかったし、『ベルサイユのばら』だって盛り上がらなかったと思う。
われわれは、日常、いつでも小さな罪を犯しながら生きている。それらに小さな良心の仮借(原文ママ)を感じながら。その仮借(原文ママ)が大きくなっていったときに、精神の均衡が失われる。罪の意識を払うときに最も有効なのは、“(私は罪人だが)これほどの罪は犯していない”という、自分より大きな罪を犯した人間の末路を見ての安堵感である。逆に言えば、死刑囚はそういったわれわれの罪科を背負って、その代理として死んでくれるのだ。死刑制度というのは、実は“死刑になるほどの罪を犯していない”人間を救済する役割をはたしている。もし死刑制度が廃止になったら、国民の間に溜まる罪悪感は巨大なストレスとなって日本を包み込むだろう。そして、それが限度を超えて爆発したら……死刑制度は日本の死刑制度は日本の平和を守っているのである。
…『トンデモ事件簿』と同じで「死刑囚=身代わり」理論であるが、しかし、唐沢が書いているのは死刑がいわゆる「ガス抜き」になっているという程度のことであり、それが「魂の救済」だとはとても思えない。それから、近年死刑制度を廃止した国は数多くあるが、それらの国は「国民の間に溜まる罪悪感は巨大なストレスとなって」包み込まれているのだろうか。フランスも1981年に死刑を廃止しているが、これは文化を破壊したことになるのだろうか?あと「良心の呵責」ね。
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