唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

「秀吉怪談」比較対照表。

『眞佐喜のかつら』の原文は黒字、「座敷浪人の壺蔵」の文章は青字、唐沢俊一の文章は赤字で表記。


大河内茂左衛門、筑前中納言秀詮公に仕官の頃
大河内茂左衛門という人が、筑前中納言小早川秀秋に仕えていたときのこと
関ヶ原で西軍を裏切った筑前中納言小早川秀秋の家来で大河内茂左衛門という者が


北の政所殿へ御使に参り候節、緩々御返事待けるうち
秀吉公の正室であった北の政所殿へ使者として参って、御返事を待っているあいだ
秀吉公の正室・おねねこと北の政所へ使者に行き


カウブウスと云女中に出逢ひ、四方山の物語せし序に問けるは
某御女中とよもやまの話をして、こんなことを尋ねた
御殿女中の一人と雑談をしていたが


大名高家のうへにさへ、ひとにより珍敷事候と承る
大名高家の身分の方でも、人によって変わった癖があり、珍しい振る舞いなどなさると聞きます
大名衆のように高貴な方でも、人によっては変わった癖があったり、妙なふるまいをしたりという話がござろう


ましてや大君(秀吉公をさして云)御存世之御時など、恐れ乍ら奇異の御事もましましけるやと尋ねければ
おそれながら秀吉公御存生のころには、さぞや奇異のこともあったのではございませんか
太閤さま御存生のみぎりには、さぞや奇異のこともあったのではござらぬかと、ふと好奇心にかられて聞いてみた


さしてかわらせ給ふ御事もましまさず
さして変わった御様子のことはありませんでした
別に変わったこともございませんでしたが


只折として一間なる御寝所にいらせられ
ただ、折々は一間の御寝所に入られ
ただ、太閤さまはお休みになるとき、一間のご寝所の入られ


御まどろみの節は、内よりかけ鉄を御かけ遊され
御まどろみの節は内から掛け金を掛けてしまわれます
中から掛け金をかけてしまわれます


御目ざめ給ふ迄起し奉るべからずと仰置るれど、余り永く御まどろみには諸卿御用是あり
御目覚めまで決して起こしてはならぬとおっしゃるのですが、あまり長く御休みになっている間に家臣の方々が御用で参られ
目が覚めるまでは決して起してはならぬ、とのお言いつけなのですが、時には急なご用事でご家臣方がおいでになることもあり


伺度など申されける時は、是非なく御障子の外より御やうす伺などする時もあり
『是非うかがいたく……』などと申されるときは、やむをえず障子の外から御様子伺いなどすることもあります
そのときはやむを得ず障子の外からお声をおかけいたします


其節針にて穴を明、ひそかに伺奉るに、御姿広き御座一ぱいにならせ給ふ時もあり
その際に障子に針で穴をあけ秘かに覗き見ますと、御姿が広いお座敷いっぱいに膨れていらっしゃる時がありました
そのとき、障子に穴をあけてこっそり中を覗き見いたしますと、太閤さまのお姿が、広いお座敷いっぱいに膨れておいでになるときがございました


三四畳敷におがまれ給ふ事もましまして、誠に身の毛もよたち候計に覚侍る
そこまではないが三四畳敷くらいに広がって見えることもあって、まことに身の毛のよだつ思いがいたしました
そこまでではなくとも三四畳敷きくらいに広がっておられることもあり、まことに身の毛のよだつ思いでございました


兎角つねの君にはなかりけり、とかたりけると
何かにつけ尋常の御方ではなかったのです」と語ったという
何かにつけ、われわれとは違ったお方でございました


茂左衛門が記に見へたり
これは茂左衛門みずからの記録に載っている話だ
……と茂左衛門が自ら記している、とのことである