『怪奇トリビア』のガセビア・その3
リンク集を作ってみました。唐沢俊一の盗作癖や雑学がガセだらけだということをまだご存知ない人は、そちらのサイトを見ることをおすすめします。
では本題。
『怪奇トリビア』P.81
毒薬が名物だった名所がある。
イタリアのシシリーでは観光客相手に、十九世紀頃“トファナ水”という薬を名物として売っていた。これは夫がいやで他の男と結婚したい婦人のためのおみやげ品で、ヒ素が成分であり、これを食事に混ぜて夫を殺すための薬だった。
まず、「毒薬が名物だった名所がある」という見出しがおかしい。「名所」についての説明がまるでないのだ。「毒薬が名物として売られていた」の方が適切ではないだろうか。
次に、トファナ水はシシリー名物ではない。ローマやナポリで評判を呼んだとされているうえに、トファナ水のラベルに「バーリの聖ニコラ」と呼ばれる聖人の絵が描かれていることからもシシリー名物でないことは明らかだ(バーリはイタリア南部の都市である)。おそらく、トファナ水を作っていたトファナという女性がシシリー出身とされていることから生じた誤解だと思われる。
そして、トファナ水は表向きは化粧水として売られていたのであって、毒薬として売られていたのではない。
最後に、トファナ水がよく売られていたのは17世紀のことなので、「十九世紀頃」とあるのは不適切。
wikipedia-Aqua Tofana