唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

『怪奇トリビア』のガセビア・その2

『怪奇トリビア』P.79

1931年にルッツオ・セレスが作曲したシャンソン暗い日曜日』は、それを聞いた人が次々に自殺し、その数が一〇〇人を超えたので、ついにBBCではこの曲の放送を全面的に禁止した。これは第二次大戦を予言した曲と言われている。

 まず、「暗い日曜日」が作られたのは1933年である。そして、「暗い日曜日」はシャンソンではないシャンソン歌手であるダミアによって歌われたヴァージョンがヒットしたために誤解されることが多いのだが、オリジナルはハンガリー語で歌われているので(動画参照)、シャンソンとして作られたというのは間違い。「暗い日曜日」の影響でヨーロッパ中で自殺者が相次いだのは事実で、各国の放送局で「暗い日曜日」が放送禁止となったことも事実であるが、後々になって検証した結果、自殺者の総数は100人を超える程度と推測されているのであって、BBCが「暗い日曜日」を放送禁止にした理由として自殺者が「一〇〇人を超えたので」とするのは間違いである。
 なお、「暗い日曜日」の歌詞は、女性が死んだ恋人のことを想うというものであり、「これは第二次大戦を予言した曲と言われている。」というのは、いわゆる都市伝説にすぎない。