唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

忘れようとしても思い出せない。

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 今回は1998年2月ダイヤモンド社から発売された『本棚が見たい!3』P.85〜88に収録された唐沢俊一のインタビューを紹介する。なお、インタビューの初出は『ダイヤモンド・エグゼクティブ』1997年2月号で、インタビュアーは川本武氏である。ダイヤモンド社は単行本版『古本マニア雑学ノート』の出版元なので、その縁での起用だと思われる。


 『本棚が見たい!』は著名人の本棚の写真とともにインタビューを掲載する仕組みになっているが、唐沢のインタビューに関して言うと、杉本五郎に古本好きは病気と同じと言われた話や幼児期に入院していたときに文字だけの本を好んで読んでいた話など、他所で唐沢が語っていたおなじみの話が大半なのだが、それでも聞いたことのない話もいくつか出てくる。『本棚が見たい!3』P.85より。

 本棚の数にして三六基、およそ二万冊の迫力にしばし陶然……本棚探検隊にとっては、桃源郷というしかない。おまけに分類とか不粋な作業の痕跡はまったく見られない。


 大きさにもよるが、「三六基」の本棚は何部屋あれば収まるものなんだろうか。オノマネージャーによる2009年の日記だとさらに増えていたり。
 唐沢俊一の蔵書の量は2万冊と紹介されることが多く、このインタビューでもそのようになっている。もっとも、「不粋な作業」をしない人がどうやって本の数をカウントしているのかは謎。本人もきちんと数えたことはないんじゃないかなあ?と常々思っているのだけれど。



 それはさておき、上の文章に続いて紹介されている唐沢のコメントを見て驚いてしまった。P.85より。

「空いてるスペースを見つけて端から詰め込むだけですよ。たぶん、このへんにあったはずだというのが唯一の検索法なんです。不思議なもんで、その記憶にまず間違いありませんね」


 …何故驚いたのかというと、「本の位置を把握できなくなった」のを持ちネタにしている唐沢俊一らしからぬカッコいいコメントだったからである。たとえば、『中州通信』2008年1月号ではこんなことを言っている。

私ね、一万冊まではどこに何があるかわかっていたんですが、10001冊目からまったくわからなくなった(笑)。これが記憶力の限界ですね。


 また、『論座』2008年5月号ではこんなことを言っている。

「40代までは、人生は長いから集めた本はいつか読めると思っていた。が、目が達者で本が読めるのは80歳までと考えると、人生かけても読める量を超えてしまったんです(笑い)。1万9999冊まではどこに何があるかわかっていたのですが、2万冊を超えた瞬間から整理不能となりましたし……」

 本の位置を覚えているのか覚えていないのか、一体どっちなのか。「記憶力の限界」も1万冊なのか2万冊なのか。



 他に『本棚が見たい!3』からは、唐沢が初めて読んだ「大人の本」が水滸伝だったことを知ることが出来た。「唐沢さんが『水滸伝』について語ったことってあったっけ?」と調べてみたら、「裏モノ日記」2003年5月16日には以下のくだりがあった。

小雨パラつくが昨日ほどでなし。日記のタイトル駄洒落をまとめて、日記本MLにアップ。ちくま文庫色川武大原稿ゲラチェック。論旨がわかりやすいように一行、付け足す。しかし、武大(本名)というのは、字面だけ見ればいさましいが、この名で最も知られているキャラクターは、水滸伝で、女房の藩金蓮(原文ママ)にあいそをつかされて殺される、寸足らずの醜男(武松の弟)であろう。なんでまたそんな名を息子につけたか。色川氏の親は水滸伝を読んだことがなかったか?


 武大は武松の兄。唐沢さんが金瓶梅を読んだのか気にならないでもない。
 で、阿佐田哲也『ぎゃんぶる百華』(角川文庫)P.215〜216に、三木のり平が「色川武大」という名前について阿佐田(色川)本人から聞くくだりがある。

「武大というのは金瓶梅に出てきますね」
「そう、そうなんですよ。上役にいじめられて細君をとられてしまう奴。それで広東語では、武大というと、フランス語のコキュ、つまり寝とられ男、という隠語なんです。苗字が色川で、名前が寝とられ男じゃ、どうも冴えない」
「さっきそれをいおうと思って、悪いかな、と遠慮してたんだ」
「父親から、子供の頃、ききました」
「それじゃお父さんは知っててつけたんだ」

 とのことである。「色川武大」という名前を気にしている三木のり平の本名も一風変わっている(「田沼則子」と書いて「たぬまただし」と読む)のを考えるとなかなか面白い。


 あと、上の文章に出てくる「ちくま文庫色川武大原稿」は、色川武大阿佐田哲也エッセイズ』2巻の解説のことで、「裏モノ日記」2003年7月5日にその概要が書かれてある。自分は一応本を手にとって確かめているが、解説はともかく色川武大のエッセイは素晴らしかった、とだけ書いておく。



 また、『本棚が見たい!3』P.88で唐沢俊一はこんなことも言っている。


「古書世界では本が処分できるようになったら一人前といわれていますが、ぼくはまだ半人前ですよ。なかなか捨てられませんから」


 ならば、最近になって本を処分するようになった唐沢は「一人前」になったということか。インタビューを読む限りでは何故「本が処分できるようになったら一人前」なのかよくわからなかったので『古本マニア雑学ノート』をあらためてチェックしてみたが、該当する箇所は見当たらなかった。


 なお、この件に関しては過去の「蔵書不安定」シリーズも参照されたい(2010年10月10日の記事および2011年2月11日の記事を参照)。唐沢俊一の古本への姿勢にズレがあることは過去にも指摘しているが、今回は記憶力についても矛盾があるのを見つけてしまったので、「キャラ設定は慎重にしなきゃダメなんだなあ」と思った次第。…そもそも、キャラ設定なんかしない方がいいような気もするけれど。


天才バカボンBOX 1~7(7点7冊セット) (竹書房文庫)

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