唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

郷愁ヒット。

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 唐沢俊一がプロデュースを担当している立川談之助立川流騒動記』(ぶんがく社)が5月末に刊行されるとのこと(唐沢俊一公式サイト)。いろいろ気になることはあるけれど、本が実際に出てから考えよう。



 本題。アスペクト』VOL.8(2007年9月発行)に掲載された唐沢俊一のコラム若年寄のススメ』第8回「昔は本当によかったのか」は、「昔はよかった」とついつい口にしてしまいがちだが、実は昔も今と変わらぬ問題の多い世の中だった、という論旨自体は真っ当なものなのだが、唐沢俊一のような「昔はよかった」論者にそんなことを言われても…、と首をかしげてしまう。たとえば、岡田斗司夫『オタクの迷い道』(文春文庫)収録の座談会では次のような発言をしている(2011年12月24日の記事を参照)。

僕は基本的にオタクの基礎条件は、遺伝子みたいな本質的なものではなく、置かれた時代、置かれた環境だと考えているんです。そういう意味では、オタクが宮崎勤に代表されていた時代から、「マンガやアニメが世界に発信できる日本の唯一の財産」みたいに言われるようになるまでのオタク文化の盛衰を全部体験してしまったわれわれの世代は、これはもう生まれた時期がよかったとしか言いようがない。ほんとに面白かった。ざまみやがれ(笑)。

 
 もうひとつ、「裏モノ日記」2003年2月2日より。

ちなみに私は70年代になった頃、70年代が嫌いで嫌いで仕方がなかった。忘れもしない1970年11月25日、なをきが盲腸で入院した病院のロビーで月刊少年マガジンを読んでいた小学校5年生の私は、その誌上で、赤塚不二夫の、妙に“時代に迎合したような”ギャグ漫画『鬼警部』、池上遼一の、妙に“現代的に屈折した”ヒーローもの『スパイダーマン』を読んで、
「ああ、60年代はよかったなあ」
 とため息をついたものだった。笑いも、正義も、単純さを失い、混沌の中に溶け込んでパワーを失ってしまう、そんな時代がやってきたことを、12歳にして早くも悟り、これからは懐古の中に生きていくんだな、自分は、とぼんやり考えていたものであった。


 筋金入りじゃないか。しかし、懐古主義者の割りには歴史に疎いのが謎だな、唐沢俊一


 『アスペクト』P.30より。

(前略)あれもイラつく、これも腹が立つ、右にムカつき左に毒づき、とにかく現代はダメだ、昔はよかったなあ、と老いも若きも口にする。
 何か、“自分たちの不運はひとえにこの平成の時代に生まれてきたことであって、昔の人間たちはこんなに毎日イライラと頭に血をのぼらせることもない、ノンキで単純な時代に生きていて幸せだよねえ”というノスタルジックな羨みの中でため息をつくのである。
 じゃ、昔っていつ頃のことなのか。そう問うと、ほとんどの人が“昭和三十年代”と答える。『東京タワー』とか『ALWAYS 三丁目の夕日』などといった、昭和三十年代を描いた映画に観客が集まるのは、要するに、いま現在に対する不満が、昭和三十年代を理想の時代のように人々に思わせているからだ。


 『東京タワー』というのは江國香織の小説ではなくTHE BOOMのナンバーでもなく、リリー・フランキーの小説を映画化したものなのだろうが、あれは昭和30年代を舞台にしていない。映画のオープニングで「1966年のある明け方」というオダギリジョーのナレーションが入っていることでもそれはわかる(リリー・フランキーは1963年生まれ)。原作である『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』にもノスタルジーの要素はあるが、映画ではかなりカットされてしまっている。まあ、トロッコにこっそり乗っていたら友達が粉砕機に巻き込まれかけた話や義足をつけた友達の話を映像化できない事情はなんとなくわかる。『仮面ライダー』のカードアルバムを盗まれた話も面白かったけどカット。リリー・フランキーはそれこそ郷愁をこめて少年期を過ごした筑豊の田舎町の様子を描いているものの、読者が理想化されていない生々しい過去の描写を読んでそれに憧れるか、というと微妙な気もする。


 P.31より。

昭和三十五年に首相官邸をデモ隊に取り囲まれ、自衛隊に治安維持の出動を依頼して断られた岸首相と弟の佐藤栄作外相は、官邸内で自殺も考えたという。


 佐藤栄作は第2次岸信介内閣および第2次岸改造内閣大蔵大臣を務めた。外務大臣を務めたのは藤山愛一郎。


 P.31より。

 こういう古雑誌を読む趣味を、他人はよく
「ジジイ臭いからよせ」
 と言うのだが、とんでもない。それらの記事を読めば読むほど、“昔はよかった”式の思考には陥らなくて済むのである。

 過去に触れることで現在を認められるようになれば素晴らしい。もっとも、「昔はよかった」「近頃の若い者は」という後向きの姿勢に転落してしまう危険性も忘れてはならない、と唐沢検証を続けているうちに痛感させられた。「昔も今もいいものだ」と思えるようになれればいい。
 あと、唐沢が「古雑誌を読む趣味」がある割りには歴史に疎(以下略)。ちゃんと勉強しなくてはダメなんだろうな。




『砂漠に赤い花』をカラオケではよく歌う。

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