泥だらけの純情。 - 唐沢俊一検証blog

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　『パチスロ必勝ガイドNEO』4月号に掲載された唐沢俊一『エンサイスロペディア』第59回に気になる点があったので簡単に紹介しておく。今回のテーマは「ドロンジョ」である。「様」がつかないとどうもしっくりこない。

（前略）そもそも『ヤッターマン』という作品の作り自体が、他のタイム・ボカンシリーズとは全く別個の、70年代末という時代を象徴したものであったことが理由として大きい。『ヤッターマン』が放映開始となった77年は、『ルパン三世』の第2シーズンが放映された年でもある。それまでテレビマンガとか、アニメーション映画とかさまざまに呼ばれていたものが“アニメ”という、今の呼称にほぼ、統一されたのもこの時期だ。『ルパン』を女子大生たちが争って見ていた。今のようにオタク（マニア）に支えられるのではなく、おしゃれの一環としてアニメが見られていた希有な時期だったのだ。

　かつて唐沢俊一は1977年を「オタク元年」と呼んでいたが、ここでは1977年は「おしゃれの一環としてアニメが見られていた希有な時期」だったとしている。唐沢の語るオタク史にまた新事実が出てきた。しかし、現在の話をすると、ヒットしたアニメはオタク以外の人にも受け入れられ、ファッションとして消費される側面が少なからずある。非オタク系雑誌の表紙を飾ったり特集を組まれたりしてね。もしも、1977年に「おしゃれの一環としてアニメが見られていた」のだとしたら、それは希有なものではなく、現在へとつながる出来事だったと言えるのではないか。
　それから、『ルパン三世』は最初のシリーズも「おしゃれ」というかカッコいいけど、『ヤッターマン』は他の『タイムボカン』シリーズと「全く別個」のものだったと言えるのだろうか？　ウスい自分には違いが今ひとつわからない。

『ヤッターマン』は、ドロンジョをはじめとする三悪人の、アドリブだらけの、まるで深夜番組のDJを聞いているような感覚が、中学・高校生に大受けだった。深夜番組と言ったが、まさにそれをパロディして、作中で三悪人がヤッターマンを倒す方法を、ファンの女の子からのお手紙で募集して、その子と電話で会話する、などという悪ノリが行われていたのである。昨今の、本放送では製作費を回収できないのでDVDの販売でその分を埋めるような制作体制のアニメでは決してできない、“いま現在”を相手にした作品作りがなされていたのである。

　たとえば、ニコニコ静画のエンドカード募集を視聴者とのコミュニケーションを番組に反映させる取組みと見ることもできるのであって、現在のアニメの作り手とファンは決して断絶しているわけではないだろう。作り手とファンの距離を考えるとしても、そこで「DVDの販売で製作費の穴埋めをしている」という話が出てくるのが正直なところ理解できない。それはまた別の問題なんじゃないの？

　また、唐沢はドロンジョ様が「設定では24歳という若さ」であると断ったうえで、「史上初の熟女ギャグキャラ」だったとしているが、ドロンジョ様は「熟女」なのだろうか。みなさんご存知の通り、実写版ではフカキョンが演じていたけど。

ラストで「なんてシビアな話なんだ」と思ってしまった。