唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

唐沢なをき検証blog11.

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 今回はコミックビーム』最新号に掲載されている唐沢なをき『まんが極道』第71話「老後後」を紹介していくが、この話は『まんが極道』6巻に収録されている第62話「老後」の続編なので、まずは「老後」を紹介する。


 「老後」は「20年と少し未来」同人誌即売会にサークル参加したオタク老人たちの話で、その中に出てくる

最近の若い者はまったく


オタク業界も末ですな


昔はよかった

オタクっちゅうものはな そんな甘いもんじゃないんだ
生き方なんだひとつの


えらい俺たち


ダメな若者

などというセリフ(P.58、59より)が「どこかの3人組」を連想させるというコメントが1月25日の記事に寄せられたりした。「どこかの3人組」の若者批判については以下の記事を参照(その1その2その3)。年下の人間を批判せずにはいられない余裕のなさに悲しくなる。



 で、「老後後」である。「老後」に登場したオタク老人・ギミノリとその仲間が夜中に自宅で同人誌即売会に出す作品を執筆しながら、無縁死したもう一人の仲間の死を悼むシーンからスタートする。『コミックビーム』最新号P.458〜460より。

…なーんちゃって
考えてみたらば それほど惜しくはないですな
本当言うと


ははははは

なんだか枯れてましたからな あいつの作品


売りあげも落ちてたしな


そうそう

むしろ描けなくなって苦しんで生きるよりいい時に死んだというか



最後にコミプに参加できて――
死に場所を得た というか


はっはっはっはっ

そこへいくと私たちはえらい


ハッキリ言って勝ちましたな あの馬鹿に


ははは


 最後のセリフには「死者を前にすると強気になる70代」という説明もつけられているのだが…、これって「追討」じゃないか! 笑いすぎてお腹が痛くなってしまった。「反論できない相手に対する失礼な物言い」「死者を無理矢理不幸にする」「“死者に比べれば自分はまだマシだ”という自己確認」という「追討」の要素をおさえているあたり、唐沢なをきの鋭さに感心させられる。なお、ここで引用した「追討」はごく一部なので、詳しいことは『ビーム』を手にとって確認してもらいたい。他にもヒドいことを言ってるんだよ…。



 話を進める。夜中にあんまり騒いでいたものだから、ギミノリと同居している母親(91歳)が注意しに来るのだが、ギミノリは「うっせえんだよババア」と追い払ってしまう。『老後』では年金をたかられていたし、このお母さんはさんざんである。


 この後、2人は人気作品「ざざ虫くん」の続編に対する不満を爆発させる。「ざざ虫くん」については『まんが極道』2巻に収録されている第21話『ならなくてよかったくん』を参照してほしい。この話も唐沢俊一検証の観点から読むと興味深かったりする。
 P.465、468より。

ははは 確かにもうウチくらいですよ
無印の『ざざ虫くん』出してるの



か――っ
糞みてえな続編やたら作られましたからな あのあと

作者の存命当時に描かれた無印の『ざざ虫くん』のみが本物で
あとの漫画もアニメもみんなニセモノなのだ ゾロゾロ商品なのだ

1作目をリアルタイムで読んだ俺たちだけがえらいのだ
あとのやつらはみんなえらくないのだ


クズな続編をありがたがって読んでいる 若いヤツらは


みんなクズ
みい〜〜〜〜〜んなクズっ


ああえらい俺たち
本物の『ざざ虫くん』を読んでいたとてもえらい俺たち


 あんまり使いたくない言葉だが、老害としか言いようがない。俺もこんな風にならないように気をつけよう。
 面白いのは「えらい」と連呼しているところで、どんな作品を見ていようとえらいもえらくないもないと思うのだが、ある作品を見ていることをプライドに直結させている人も世の中にはいるのかもしれない。「ゾロゾロ商品」という言い方はなんだか可愛らしい。


 そして、終盤になって話は急展開を迎える。詳しいことは『ビーム』最新号で確認してほしいが、実にいたたまれない気持ちになった。「…あの人は大丈夫だろうか?」などと思わず心配してしまったが、言うまでもなく『まんが極道』はフィクションなので、心配する方が間違っているのだろう、きっと。


月刊コミックビーム 2012年3月号[雑誌]

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まんが極道 6 (ビームコミックス)

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まんが極道 2 (BEAM COMIX)

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