レッツ・ゴー! 永田町。
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唐沢俊一の新刊『スコ怖スポット・東京日帰り旅行ガイド』(ごま書房新社)の書き下ろし部分を見てみよう。今回は「スコ怖スポット08」の永田町(国会議事堂)を紹介する。なお、単行本版『スコ怖』では、カラサワ探偵長と少年探偵すばるのしゃべりの区別がつきにくて、読んでいて困惑させられる。せめて文章のアタマに「唐」「す」とか書いてくれればいいのに。
最初に国会議事堂の衛視の話題が出ている。『スコ怖』P.66より。
すばる えっ。マジですか。お巡りさん、僕なにもしてませーん
カラサワ やめんか。かえって変な目で見られるってば。第一、あの警備の人はお巡りさんではない
すばる 警察じゃないんですか?
カラサワ うむ。三権分立の立場から、立法の最高機関である国会を行政・司法の管轄にある警察の管理下に置くのはよろしくない、というので、実は警察は、許可がないと国会の中には入ることもできないのだ。それくらい、国会というのはエライのだ!
警察は国家作用のうち行政に属する。「行政・司法の管轄」にあったら三権が分立できていないことになってしまう。日本国憲法41条の「国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」がゴッチャになっているような気もするが、「国会というのはエライのだ!」というのがバカボンのパパみたいで面白い。
P.67〜P.69より。
カラサワ (前略)この議事堂の並びにある首相官邸だが、森元首相が雑誌で語っていたところによると、退任の前の晩、寝ようとすると寝室のドアのノブがカチャカチャと音を立てる。怪訝に思ってドアをあけると誰もおらず、ただ長い廊下をタッタッタッ、と走って逃げる足音がした。翌日警備員に訊いてみたがその晩だれも官邸にはいなかったという。怖くなった森首相は次の小泉首相に官邸を引き渡すとき、“気をつけろ、ここには幽霊が出るぞ”と申し継ぎをしたらしい
すばる 小泉さんはどうしたんです?
カラサワ “僕はそんなの信じませんよ、アッハッハ”と笑っていたというが、森さんによると、“後でお払いをさせたらしい”とのことだ(笑)
すばる 小泉さんときに(原文ママ)公邸は改修されて、首相の住まいは新しい建物に映ってますね(原文ママ)。変人首相も幽霊は怖かったんですかねえ。ひょっとして、何か見ちゃったのかもしれない
まず気になるのが「首相官邸」と「首相公邸」が混ざっていることだ。簡単に言えば、「首相官邸」は首相が仕事をする場所で、「首相公邸」は首相が在任中に居住する場所のことである。だから、森喜朗が幽霊を見たのは「公邸」ということになり、ウィキペディアの「総理大臣公邸」にはカラサワ探偵長が語ったエピソードがそのまま載っている。…ウィキペディアを読めばわかることをそのまま書かれるのは少し困るな。
もうひとつ気になるのは、「首相公邸に幽霊が出る理由」にツッコミを入れていないこと。森が幽霊に遭遇した旧首相公邸(2005年から新たな公邸が使用されている)はかつて5・15事件や2・26事件の舞台になっていて、死者も出ているのだ。この点を突っ込めばいくらでもネタが膨らませそうなものなのに、まことに惜しい。少年探偵すばるがひとつのセリフの中でふたつも「原文ママ」を出しているなあ。
この後、泉山三六が起こした「国会キス事件」が紹介される。『トリビアの泉』でも取り上げられたネタ(№698)ですね。P.69より。
昭和23年12月13日、その年の10月に初当選した新人議員ながら吉田茂首相の大抜擢を受けて大蔵大臣になった泉山三六は、補正予算の参議院での審議中、参院食堂で酒を飲んでへべれけとなり、民主党の女性議員に「君が好きだ、ホテルに行こう」と抱きつき、キスしようとして、拒否されると噛みつくなどしたため大騒ぎになった。野党の追及を受けた泉山は翌日大臣及び議院(原文ママ)を辞任。これ以降、議院内で大臣は酒気帯びを禁止されることになった。
この後、少年探偵すばるが、
泉山って人も酒でたった2ヶ月で議員生活を棒にふるとは
と言っているが(P.69)、泉山は1947年4月25日に行われた第23回衆議院議員選挙で初当選しているので間違っている。第2次吉田茂内閣の大蔵大臣に就任した時期(1948年10月19日)と混同しているのだろう。
また、泉山の事件を受けて衆議院で可決された「議場内粛正に関する決議」には、
国会は国権の最高の機関なり。議場の神聖を守るは国民の信託を受けたるわれらの最大の義務なりと信ず。よって今後議員は酒気を帯びて議場並びに委員会に入ることを厳禁すべし。
とあるので、大臣だけでなく衆議院議員も決議の対象となっている。それと、事件当時の民主党と現在の民主党が違う政党であることを明記した方がいいだろう。
…せっかくの書き下ろしなのに誤字が多いわ、ネタは薄いわで困ってしまう。唐沢は「国会議事堂の中で殺人事件は起こっていない」として「国会キス事件」を紹介しているのだが、国会議事堂の周囲で自殺を図る人は昔からたまにいる。たとえば、1973年5月に上原安隆という沖縄出身の青年が国会議事堂の正門にオートバイで突っ込んで死亡している。新城卓監督の映画『オキナワの少年』でブレイク前の内藤剛志が上原をモデルにした青年を演じていたものだけど(ついでに書いておくと主人公の子供時代を演じた我那覇文章は後に『高速戦隊ターボレンジャー』でブラックターボを演じている)。また、1967年11月には由比忠之進が首相官邸前で焼身自殺している。唐沢のウスいネタを見ると、反動なのかこういう情報が脳内から出てきてしまう。
…っていうか、国会で大臣が酔っぱらって女性議員にキスすることって「スコ〜し怖い話」略して「スコ怖」なのか?

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