唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

岡田斗司夫検証blog6.

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 毎日新聞』大阪版2001年11月27日夕刊2面に、『面白さの要素を分解して遊ぶ』という岡田斗司夫のインタビューが掲載されている(担当は戸部民夫記者)。ほぼ10年前の記事だ。記事の中にある岡田による「オタク的こだわり」の解説を以下に引用する。

 すべて具体的なものに転換して、それをとことん分解し、分析して楽しむことです。例えば、ラーメンを食べておいしかったで終わるのと、何でおいしいのかと考えるという違い。つまり、おいしさの要素を考えて分解し、それをもとにいろいろな人と話し合ったり、比較や順位付けをしたり、パロディーにして遊んだりと、再利用しちゃうのがオタク的楽しみだと思うんですね

 また、「オタク的視点」については、このように解説している。

 物事を雰囲気では語らずに、その因果関係をとことん分解すること

 この解説と同様の考えが『オタク学入門』でも説明されている。新潮文庫版P.251〜P.252より。

が、ちょっと考えてみてほしい。たとえばすばらしいフランス料理を食べに行ったとしよう。もちろん料理そのものを純粋に楽しむのもいい。
 けれど「きれー」「おいしー」「ああ、おなかいっぱい」「ごちそーさまー」で終わってしまうだけなのはちょっともったいなくないだろうか?
 それよりは、
「これは珍しい! フランス料理に醤油を使っている」とか
「このほのかな香り、これはターメリックが入ってる」
「焼いているのにこの柔らかさ、さっとあぶってから蒸しているとみた!」
 とか考えてみる方がおもしろいに違いない。
 別の店と比較してみたり、シェフに作り方を聞いてみたり「自分にとってこの店は二つ星だ!」とか評価してみたりということをする。1回のフランス料理で二度おいしい、とってもお得な楽しみ方だ。料理には材料や料理法という要素があって、それを理解した方がより楽しめる。これこそ「料理通」というもんだ。グルメ番組なんかが流行る理由もこれである。

 なお、『オタク学入門』を流し見していて気づいたのだが、第6章第2編『閑話休題、ガレージキット』閑話休題の使い方はおかしい。まさかそれまでの文章がすべて余談だったわけでもあるまい。まあ、魔夜峰央も昔同じような誤用をしていたから、よくある間違いなのかもしれない。


 閑話休題(それはさておき)。

 この後、岡田は「物書きをやる前にプロデューサー兼監督として映画を作ったことがあって、その経験が映画の見方に影響している」「最初の15分がつまらなければさっさと映画館から出る」という主旨の発言をしているが、それは別にいい(どんな映画を監督したのかは気になるが)。しかし、記事の締めくくりにある発言にはどうもひっかかってしまった。

 もっと素直に楽しむのが一番いいというのはふつうの考え方で、それは思考停止じゃないのかというのがオタクの立場 

 うーん、「素直に楽しむ」ことまで否定してしまうのは行き過ぎではないか。楽しみ方が一般人とは違うだけで、オタクだって「素直に楽しむ」ことには変わりないのだから。「ふつう」の見方を否定するまでもない。岡田は記事の中で、

頭の半分くらいはふつうに映画を見ていて、残りの半分はそういう分析に使うんです。

と言っているが、これはオタクだったら無意識のうちにやっていることだと思う。現に自分もそうやって映画やテレビ番組を観ているし、それどころかニュースを観ていても「これはあの作品と同じじゃないか!」などとすぐに考えてしまう。何を見ても何かを思い出すのだ。…だから、岡田が称揚する「オタク的こだわり」はむしろ一種の「業」であるような気がする。まあ、岡田はあえて称揚したのかも知れないけれど。
 ただ、上の発言も言葉の綾と言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、岡田が後年『オタクはすでに死んでいる』(新潮新書)で「萌え」批判を展開したことを考えると、岡田にとっては分析こそがオタクの楽しみ方の本道である、という思いは確かにあったのではないか?と思われてならない。「萌え」ている最近のオタクは「思考停止」しているように見えたのだろう。「萌え」についても一応分析は可能だと思うが、岡田はアニメや漫画の女子キャラに対する思い入れをあまり語らない人なので(この点は唐沢俊一も同じ)、いろんな意味で「萌え」に対して抵抗があるのかもしれない。山本弘会長や唐沢なをきは女子キャラについてわりと語る印象があるので、必ずしも世代的な問題ではないとは思うが。
 細かいこととしては、岡田が記事の中で、

映画マニアみたいに、どんなものでも最後まで見たりしない。

このように発言しているのも気になった。…「オタク」と「映画マニア」ってどう違うんだろう? 




オタク学入門 (新潮文庫 (お-71-1))

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オタクはすでに死んでいる (新潮新書)

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パタリロ! 86 (花とゆめCOMICS)

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蝶々と戦車・何を見ても何かを思いだす: ヘミングウェイ全短編〈3〉 (新潮文庫)

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