唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

唐沢俊一以外の使い回し&サイテー映画の世界。

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『金のEX』5月号に「パクリ&盗作事件簿」という特集が載っていて、そこで唐沢俊一の事例も取り上げられている(栃尾ジョーさん、どうもありがとうございます)、…のだが、『新・UFO入門』第二版発行の時点で話が終わっているので、「『クイック・ジャパン』で開き直った話もすればいいのに」と思ってしまった。それに限らず『新・UFO入門』事件以降の唐沢がらみの面白い話はいくらでもあるのに、なんとももったいない。
 さて、ここで勘が働いた。「出ている情報が古い時は要注意」というのは唐沢俊一の検証で得た教訓だが(2月14日の記事を参照)、それが今回のケースにもあてはまるような気がしたのだ。
 それで調べてみたら、今回の特集は『禁盗作コピペ病』茜新社)(2008年9月11日の記事を参照)を下敷きにしていることがわかった。出ているネタは完全に重複しているし、文章も細部を変えているけれど明らかに似通っている。
 ひとつだけ紹介しておこう。『崖の上のポニョ』の盗作疑惑を取り上げた部分より抜粋。まずは『金のEX』。

 ところが映画公開が発表された2007年春、人間になりたいと願う金魚の姫という設定は盗作ではないかと指摘する人々が現れた。彼らが元ネタとして挙げたのは、TVアニメ『とんがり帽子のメモル』のキャラクター原案と作画監督を務めたことでも知られるアニメーター名倉靖博氏が発表した2つの作品。パイロットフィルムが製作されていた『金魚姫のシャーベット』と、その絵物語で月刊アニメ雑誌に連載されていた『金魚姫の銀魚姫なココロ』である。当時これらは映像化、マンガ化の企画が進行中だったという。

 次に『禁盗作コピペ病』より。

 だが、公開が発表された2007年春、ちょっとした騒動が持ち上がった。人間になりたいと願う金魚の姫という設定はオリジナルのものではなく、盗作の疑いがあるというのである。
 発表で内容を知った一部の人たちの間で、すでにパイロットフィルムが制作されていた『金魚姫のシャーベット』とその絵物語『金魚姫の銀魚姫なココロ』と似ているのではないかと指摘する声が上がった。
 『金魚姫〜』はジブリ作品『天空の城ラピュタ』の原画を担当した経歴を持ち、TVアニメ『とんがり帽子のメモル』のキャラクター原案と作画監督を務めたことでも知られるアニメーター名倉靖博氏が発表した作品で、人間になりたい金魚姫が主人公。『金魚姫のシャーベット』のパイロットフィルムはスタジオジブリのアニメーターが手掛けており、絵物語『金魚姫の銀魚姫なココロ』は月刊アニメ雑誌に一年間連載されていた。
 すでに名倉氏は自身の作品集『名倉靖博の世界』(ソフトバンククリエイティブ)において設定資料集を公開しており、映像化、漫画化両面で企画が進行中だったという。


 全編にわたってこんな感じ。パクリの特集でパクリをやらなくても、と思ったのだが、実際のところこれはパクリではなく使い回しのようだ。『禁盗作コピペ病』の企画協力・編集をしているカワイオフィスというプロダクションが今回の『金のEX』も編集している、というわけなのだ。…どうなんだろうねえ、こーゆー事ってこの手の雑誌にはよくあることなんだろうか? 自分はあまり読んだことがないからわからないんだけど。グラビアの特集で市販の写真集をスキャンしたものを載せているのにもビックリしたけれど。大丈夫…ではないと思うけどなあ。


『ブンカザツロン』エンターブレイン)の検証もしておくか。唐沢俊一のコラム「唐沢的メルクマールFILES」その8、「驚異の空想科学映画」より。同書P.145から。

 B級映画を一本、紹介しようと思ったのだが、はっきりいえば私のビデオコレクション二〇〇〇本のうち、約一八〇〇本がB級映画で、どの一本をその中から選ぶかというのがなかなか難しい。迷った末、この『SF・惑星からの侵略』(原題がまたヨクて『Wild Wild Planet』とくる)を選んだのは、この作品が、私がたぶん、“B級”という言葉を意識した、最初の映画ではなかったかと思うからである。確か、これは金曜洋画劇場ではなかったかと思う。解説者は高島忠夫淀川長治センセイや荻昌弘センセイの解説する番組に比べて、この番組は(解説者の質に準拠していたわけじゃなかろうが)B級ものを多く放映していて、他にSF作品では『スティーブ・マックイーン最大の危機』などをやっていた。

 ほう、ビデオのコレクションは2000本なのか。蔵書のデータはよく出るけどビデオは珍しい。
 『惑星からの侵略』についてはおなじみ「最低映画館」を参照してもらいたいが、監督のアンソニー・ドーソンはアントニオ・マルゲリティの別名。『イングロリアス・バスターズ』でネタにされてましたね。
 高島忠夫が司会ということは『ゴールデン洋画劇場』なんだろうな。『金曜洋画劇場』だと『金曜ロードショー』とゴッチャになってしまいそうだが。『ゴールデン洋画劇場』『月曜ロードショー』『日曜洋画劇場』におけるB級映画の割合というのは調べてみると面白そうだが、どの番組もわりとヘンな映画を流していたように思う。『宇宙から来たツタンカーメン(やはり「最低映画館」を参照)が『日曜洋画劇場』で放映された話は有名だし、うっかり観てしまったばかりに「あの映画はいったいなんだったんだ?」といまだに気になって仕方ない作品も結構ある。テレビでは最近メジャーな映画ばかり放送されるようになっているけど、たまにはヘンな映画も流してほしいものだ。
 それと、『スティーブ・マックイーン最大の危機』というのは『マックイーンの絶対の危機』のことなんだろうけど、どこかの番組で放映されたときにそのようなタイトルをつけられた可能性も否定できないので一応保留。


 唐沢は『惑星からの侵略』がとにかくチープな映画だと強調したうえで次のように書いている。

 そういう、極めてどうしようもない作品で、そのどうしようもないところばかりが記憶に残った作品だったが、その後、マニアの集まりに行くようになり、発見をしたのが、SF映画の話で、いちばんウケるのが『未知との遭遇』でも『2001年宇宙の旅』でもない、この『惑星からの侵略』の話であり、また、私が見渡して、その集まりの中でまあまあ、語るに足ると思われる人物たちがみな、この『惑星からの侵略』の話を好んでする、ということだった。ガジェットの魅力というものは、見ているその時でなく、それから年を経てオトナになった時、初めてわかるのである。

 「私が見渡して、その集まりの中でまあまあ、語るに足ると思われる人物」とか上から目線がものすごいなあ。「俺は見る目があるぞ」アピールというか。
 しかし、「ガジェットの魅力」というのは、たとえば「話はどうしようもないけど宇宙船のデザインはよかった」という風に語られると思うのだが、唐沢は『惑星からの侵略』のガジェット(未来カー)をチープだと否定しているので、そこは多少ひっかかる。光線銃から何故か火が出たりするのも「ガジェットの魅力」なんだろうか。…それにしても、『惑星からの侵略』の話ってそんなにウケるのだろうか。確かに味のある映画ではあるんだけど、それほどぶっ飛んだ話でもないしなあ。SF映画には怪作・珍作がたくさんあるからね。


どうして4本腕にしようと思ったのだろう。

マル禁盗作コピペ病

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ブンカザツロン (ファミ通Books)

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映画秘宝 エド・ウッドとサイテー映画の世界

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