唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

ほっとけないブックレビュー。

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 先週発売の『週刊新潮』で、唐沢俊一釘宮理恵について見当違いなことを言っていた件については既に取り上げたが、「毎日迷走」を見ると、どうも「ツンデレ」自体を理解しているかどうかも怪しいような。「ツンデレ」を「萌えのある程度対極にある概念」と定義しているし。

 さて、今週発売の『週刊新潮』2月25日号にも唐沢俊一は登場している。P.108の「私のブックレビュー」末木文美士『日本仏教史―思想史としてのアプローチ―』(新潮文庫)を紹介しているのであった。しかし、「私のブックレビュー」では過去(2006年3月9日号)にも島田裕巳が『日本仏教史』を取り上げているんだけど、テーマがカブってもいいんだろうか? まあ、『週刊新潮』らしいおおらかさではある。

 先日、若くして亡くなった芝居仲間の葬儀に静岡へ劇団連中と出かけた。彼の家は臨済宗らしく、お坊さんが
「故人はこれで現世での修行を終えられ、次の修行へと旅立たれました」
 と語ったのだが、そのとき脇にいた女優が私の耳元で
臨済宗って大変なんですねえ、死んでも修行ですか。うちは浄土宗なので死んだら極楽でのんびりできるなあ」
 とつぶやいて、不謹慎ながら吹き出しそうになった。

 「若くして亡くなった芝居仲間」というのは「劇団あぁルナティックシアター」のNC赤英氏のこと。彼の葬儀での唐沢俊一の振る舞いについては藤岡真さんのブログを参照されたい。
 しかし、「裏モノ日記」1月9日には次のようにある。

赤堀家は臨済宗であるらしい。一休さんの宗派である。
そう言えばNCはやまぐちさん製作のCGアニメ『一休さん』に
出演していたのであった。奇縁。まあ、一休ではなく将軍役であったが。

臨済宗では死というのは、現世での(仏になるための)修業が終り、
次のステージでの修業に旅立つということにあたる。
誰もが平等に仏になれるという素晴らしい教えではあるが、
死んでからもまだ修業なのかよ、と私のようなナマケモノは思ってしまう。

 …あれ? それは女優がつぶやいたことなんじゃないの? 不謹慎だと思って書かなかったのだろうか。でも、週刊誌で書いてしまったら意味がないと思うけど。ただ、同じ日記の中には次のような記述もある。

焼場で窯に棺が入るとき、お父さんが大きな声で
「清秀! しっかり次の世でも修業するんだぞ! 聞いてるか!」
と叫んだのにちょっとウッとくる。お母様は逆縁ということも
あり参列していなかったが、これは母親には堪えられる
光景ではないと思う。

 それで「次の修行」に吹き出すのはどうかなあ。


 再び「私のブックレビュー」に戻る。

 この本(引用者註 『日本仏教史』)は複雑な、日本におけるその発展史を、仏教の本としては奇跡的(と表現すると何か仏教ぽくないが)なまでに明晰な文章で解き明かしてくれている。十年前に初めて読んで感動し、それから繰り返し読んできたこの本を、私はその晩もホテルのベッドで読み返し、このような流れの末に今日の葬儀があったのだなあ、と、改めて仏教史の上から、無名な一役者であった友の死を悼んだのである。

 まず、「仏教の本としては奇跡的なまでに明晰な文章」って、仏教の本ってみんなそんなに難しいものなのだろうか。「奇跡的」って…。単に唐沢俊一が仏教の本をあまり読んでないから「仏教の本は難しい」という先入観を持っているだけなのでは。
 次に、唐沢俊一は「その晩もホテルのベッドで」『日本仏教史』を読み返したというのだが、唐沢はNC赤英氏の葬儀のために1泊2日で静岡を訪れているので、お坊さんから「次の修行」の話を聞き、女優のつぶやきに吹き出して、その後ホテルで『日本仏教史』を読んでいるとすれば、それはすべて1月8日の出来事のはずなのだが、既に書いたように「裏モノ日記」に「次の修行」の説明があるのは1月9日である(唐沢はその日のうちに帰京している)。…どうも不自然だけど、「裏モノ日記」は事実がそのまま書かれているわけではなく、読者の便宜を図るためにある程度の改変がされている、と考えればいいのだろうか。

 それにしても、結びの「改めて仏教史の上から、無名な一役者であった友の死を悼んだのである」というのを読むと、このブックレビューはある意味で「追討文」のような気がする。親しい友人が亡くなった時に「仏教史の上」から追悼をするものだろうか?と首をひねってしまう。

日本仏教史―思想史としてのアプローチ (新潮文庫)

日本仏教史―思想史としてのアプローチ (新潮文庫)