唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

ばくの採点表。

唐沢俊一の「夢日記」はいつも長いので、もっとわかりやすく星で評価してみてはどうか。


・リンク集に「唐沢俊一検証イベント準備ブログ」を追加しました。


※追記 その後閉鎖されたのでリンク集から削除しました(2011年4月6日記)。


 「裏モノ日記」1月15日双葉十三郎の訃報が取り上げられている。

映画評論家・双葉十三郎氏旧臘12日死去の報。
99歳。ヒッチコックとは11歳違い、ビリー・ワイルダーとは
4つ違いの同時代人。映画黄金時代を肌で感じて生きてこられた
幸運な人。膨大な数の映画をわかりやすく評価した『ぼくの採点評』(原文ママ
(1〜5巻、別巻1.トパーズ・プレス)は映画マニアのバイブルだが、
ここにおける批評の基本型は、きちんと論理的にその映画の善し悪しを
説明した映画評の後に、一行か二行、
「主役がイモじゃいくら脚本がよくてもネ」
「ヒロインの曲線美さえ見てれば満足、満足」
などという寸評があり、これが実に的を射た金言で、私はもっぱら
そっちの方で、観るべき映画かどうかを判断していた。本文の
方でクサしているのにこっちの一言で褒めていたり、またその逆、
というのもあったからである。映画ファンというのは、教科書的
ないい映画ばかりを好むものではなく、B級C級の安っぽさもまた
愛する。昨今のB級C級マニア評論家のように泥沼の中に首まで
ひたるということなく、A級はA級として別格とし、それを批評の
基準とした上でBC級の面白さもちゃんと理解し評価するといった、
オトナの鑑識眼が何とも頼もしかった。
もうこういう映画評論家は出てこないだろう。
何も今の若い世代の評論家をクサしているわけではない。
映画の黄金時代が過ぎ去ってしまったからである。
その最後の香りを感じさせてくれる人だった。
黙祷。

 『ブラジルから来た少年』についてヘンな感想を書いていた人に言われてもなあ、と思うのだが、この文章を読んで思わずハタと膝を叩いてしまった(唐沢俊一風表現)。唐沢俊一双葉十三郎のマネをしていたのだ、とわかったのである。

 唐沢商会唐沢商会のマニア蔵』(スタジオDNA)には、唐沢商会がかつて『少年キャプテン』で連載していた『シネマもろとも』という映画評が抄録されているのだが、その中に気になる部分があった。たとえばP.147より。

 日本映画では鈴木清順の『夢二』☆☆☆がいい。いいのだが、あまりに映像の美学を優先させてしまっている映画作りに多少のギモンも感じてしまう。毬谷知子(原文ママ)のヌードショットを挿入するタイミングのよさとか、長谷川和彦演じる殺人鬼などの演出に、かつての日活アクション監督としての腕のサエの片鱗がみえるものだからよけいそう感じてしまうのかも知れないが。役者では麿赤児の刑事がやはりいい。沢田研二はイモですわ、アレハ。

 そもそも映画を星で評価するのが『ぼくの採点表』のマネなのだが、俳優を「イモ」と評するのも双葉十三郎のマネだったのでは。あと、『昭和ニッポン怪人伝』での沢田研二への評価を思い出したり。「映像の美学」と「日活アクション監督としての腕のサエ」というのもどう違うんだろう。

 もうひとつ。P.150より。

これにくらべると、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の『キンダーガートン・コップ』やチェビー・チェイス&デミ・ムーアという強力コンビの『絶叫屋敷へいらっしゃい!』などは、もうスターの顔ぶれだけである程度の客は呼べるだろう、って安心しちゃったのか、演出・脚本ともに手抜きが目立つんです。……僕個人の趣味としてはデミお姉ちゃんの太モモが大変オイシソーだったんですが。

 この文章を読んだ時に若干違和感をおぼえた。これ以外に唐沢俊一が女性の脚に執着を見せていたという記憶が無いのだ。本当にそういう「趣味」があるのなら、その片鱗はどこかにのぞかせているはずなのに…、と不思議でならなかったのだが、今回の「裏モノ日記」を読んで、もしかするとこれも双葉十三郎のマネなんじゃないか?という気がしてきた。つまり、双葉十三郎が女優の曲線美(脚線美?)をホメていたから、それをマネして自分もホメておいたのではないかと。とはいえ、文体をマネるのはまだわかるけど、「好み」までマネたってしょうがないと思うのだが。『シネマもろとも』の文章は全体的にイヤミな感じが出ていて、『ぼくの採点表』のマネが上手く行っているのかどうかは疑問である。


 同じく『裏モノ日記』1月15日には田の中勇の訃報も取り上げられている。唐沢俊一昨年7月田の中勇にインタビューしていて、もしかするとこれが生前最後のインタビューなのかもしれない。本として出すならしっかりまとめてほしい(どうも青二プロの声優さん達にインタビューしているようだ)。

お話の中で見えてきたことで、敢て訊かなかったこともある。
『問答有用』で、徳川夢声が“あえて距離を置くことも
インタビューには必要”と言っていたことを履行したまでで、
それは後悔していない。今はただ、ご自分では大した仕事とは
思っておられなかった声優のお仕事における、その“唯一無二の声”
がどれほどわれわれの子供時代を豊かにしてくれたか、そのこと
を生前にお伝えできたことだけを慰めとしたい。
ご冥福をお祈りする。

 こんなことを書いているから不安になってしまうのだが。「敢て訊かなかった」なら書かないでおこうよ。


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