唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

市橋(イッチー)ブラックモアズ・レインボー。

唐沢俊一P&Gは治療不可でアイ・サレンダー。


 お知らせ。ご心配をかけてしまったかもしれませんが、唐沢俊一検証イベント(仮称)」は引き続き開催する方向で現在企画が進行中です。イベントについて知りたい人はリンク集から「唐沢俊一検証イベント準備ブログ」、または「唐沢俊一検証イベント準備トゥギャッター」をのぞいてみてください。「と学会」の交渉担当って眠田直氏だったんだ…。自分からはイベントの内容がある程度固まった段階で説明させていただきたいと考えています。


  では本題。『熱写ボーイ』2月号に掲載された唐沢俊一『世界ヘンタイ人列伝』第11回のテーマは「市橋&正田&バンディ-犯罪者とアイドル性の世界-」である。…本当に市橋達也が好きだなあ。

 最近のニュースの有為転変は激しい。ついこのあいだまでのりピー一色だったワイドショーだが、その判決が出たのと入れ替わりという感じで世間を、いや、ひょっとしたら世界をも騒がす騒動に発展するかもしれないのが市橋達也容疑者の逮捕と、その後の彼である。

 このエントリーを書いている現在、市橋の事件についてニュースで取り上げられることはほとんどなくなってしまった。唐沢俊一の熱の入れようを見ていると気の毒になってくる。細かいことを指摘しておくと、「有為転変」は「世の中の移り変わりが激しい」という意味なので、「有為転変」に「激しい」をくっつけるのは余計なのでは。

(まあ、ご存知ない方もいらっしゃらないとは思うが 説明しておくと、当時22歳だった英国人の語学教師、リンゼイ・アン・ホーカーさんを平成19年3月殺害し、マンションのベランダの浴槽にその死体を遺棄して2年数ヶ月にわたり逃亡していた容疑)

 「思うが」と「説明しておくと」の間の空白は原文ママ。市橋は死体遺棄の容疑で指名手配されていたのであって、指名手配の段階で殺人や逃走の容疑はかけられていない。殺人はともかく、刑法の「逃走の罪」の要件を理解していないような気が。

(前略)整形報道がなされた直後、11月10日に逮捕され、護送された時の報道写真、さらには翌日、拘置所から拘置用パーカーを着用して顔の上半分が隠れた状態で撮影されたその顔が、見ようによっては凄まじいイケメンに見え、180センチという長身、学生時代のスポーツと逃走中の肉体労働によって鍛えられたがっしりした肉体から発散するオーラも手伝って、全国の女性たちに異様な興奮を巻き起こした。

 市橋が騒がれるきっかけになった写真は、行徳警察署から送検のために護送されるときに撮られたもの。どうして容疑者が逮捕された翌日に拘置所にいるんだろう。「拘置用パーカー」というのもよくわからない。拘束衣みたいなものか? 

 さっそくSNSサイト“ミクシィ”には、“市橋容疑者ファンコミュ”というコミュニティが作られ、喪女(もてない女、の冒頭のもの字を喪と書いて略したもの)と自称する女性たちがキャアキャア騒ぎ始めたため、今度はそれを不謹慎だ、とするグループが騒ぎだし、ミクシィ全体が一種の緊張・興奮状態に包まれることになった。さっそく中国や韓国のネットニュースはそのことを面白おかしく書き立て、またリンゼイさんの実家があるイギリスでもそのことが報道されるなど、まさに世界に発信される騒動にまで広がった。

 「冒頭」というのは少しヘン。「最初の一文字」がいいかな。あと、「さっそくSNSサイト〜」「さっそく中国や韓国の〜」と「さっそく」を連続して使っているのも気になる。まあ、文章について指摘していたらキリがないんだけど。

 この市橋容疑者の行動に、何を考えているのかいまいちよくわからぬ不透明な部分があり、そこがミステリアスととらえられて、女性たちの本能をくすぐるのだろう。
 この喪女たちの騒動を不愉快に思い感情を爆発させる人も多い。その中に、「昔と比べて、日本は堕落した。ダメな国になった」「日本がこういう国だと思われると、海外での日本の評判が下がる」
 という意見がある。……これはしかし、大丈夫である。犯罪者(市橋の場合はまだ容疑者であるが)に惚れ込んでファンになりあまつさえファンレターを出したり獄中結婚したりする実は、日本の過去にも、また海外にも、山ほどあるのである。今更市橋一人で評判が悪くなったりはしないのだ。

 …『熱写ボーイ』の編集者は唐沢の文章を読んでいないんだろうなあ。「獄中結婚したりする実は」じゃ意味が通っていないのにスルーしちゃってる。「日本の過去」も「過去の日本」だろうし。唐沢俊一はガセや文章の乱れに気づかない(気づけない)んだから周囲の人間がしっかりしないと。
 そしてこの後、正田昭の話になる。市橋と正田を関係させて語るのは『裏モノ日記』『社会派くんがゆく!』に続き3回目である。…もうその話飽きたよ! 

 昭和28年7月27日、東京都港区のバー『メッカ』の天井裏で毛布に包まれた男の死体が発見された。縛られた上に鈍器で全身をめった打ちにされての殺人だった。被害者は証券ブローカーで、所持していた40数万円の金を奪われていた。容疑者として被害者の知り合いだった元証券会社社員の正田昭が逮捕、逃亡先の京都で逮捕された。

 この部分は「無限回廊」を下敷にしている。唐沢は過去にも「無限回廊」の文章をパクっている。

 1953年(昭和28年)7月27日、東京都港区新橋のバー「メッカ」で、客がビールを飲んでいると、天井からポタポタと血がしたたり落ちてきた。驚いたマスターが、物置になっている天井裏を覗き込むと、軍隊毛布に包まれた男の死体が横たわっていた。首と両足を電気コードで縛られ、鈍器でメッタ打ちにされてできた傷が全身にあり、辺りは血の海だった。
 被害者の身元は、所持品から証券ブローカーの博多周(当時40歳)と判明した。容疑者として(中略)被害者の知合いで、元証券会社社員の正田昭(当時24歳)(中略)が全国に指名手配された。
(中略)
主犯の正田が潜伏先の京都で、麻雀仲間の通報で逮捕された。

 それにしても、「正田昭が逮捕、逃亡先の京都で逮捕された」という部分には、なんで「逮捕」って2回も書いているんだ?と笑ってしまった。「ボンド。ジェームズ・ボンド」みたいだ。コピペしてると文章が乱れるんだろうね。

彼は慶応大学出身で、一流企業に卒業後就職しようとしたが、肺浸潤でハネられ、二流の証券会社マンになったが、そのときに遊蕩を覚え、金に困って被害者の命を奪ったものであった。

 これも「無限回廊」を参照してほしいが、正田は「中堅」の証券会社に就職しているのに、それを「二流」と変換するのはどうかと思う。「証券会社マン」というのもどうかな、「証券マン」なのでは。それから、正田は大学時代に遊びを覚えたらしい。

 ところが、この逮捕時の写真が新聞に載ると、当時の女性たちはいっせいに色めき立ったんですね。なにしろ彼は若くて細身のいい男、服装のセンスなども、昭和20年代としては格段にアカ抜けていた。それも道理、彼は父親(当時すでに死亡)が弁護士で、母親が女子大の体育教師、自身も慶応に出て藤沢に家をかまえているというセレブな家の坊っちゃんだったのだ。

 「セレブリティ」は「有名人」を意味する言葉なので、「金持ち」という意味で使うのは誤用。まあ、これは唐沢に限らずよくある誤用ではあるんだけど。


 いかに唐沢俊一といえど、何度も何度も市橋達也と正田昭を関係づけるのはマズいと考えたのだろうか、『世界ヘンタイ人列伝』ではさらにもう一人、テッド・バンディを持ち出している。幸い今回は『マジソンズ博覧会』からはパクっていないのだが、残念ながら問題のある内容である(言うまでもないが『マジソンズ』の方が断然濃い)。

 バンディは高校時代は熱心なクリスチャンで、政治活動も熱心にやっていたという。大学生になって、婚約もした。しかし、この婚約は、彼女がセレブのお嬢さんで、生活がつりあわないと認識したバンディにより破棄されるに至る。

 また「セレブ」の誤用。それから、この婚約破棄の件は実はもっと深い話なので「マジソンズ」を参照していただきたい。

 1974年、ワシントン大学の女子学生を就寝中に襲って犯した(バールのようなもの、ではなく正真正銘のバールで殴られて失神したところをやられた。死亡こそしなかったが意識は正常には一生戻らなかった)。

 ウィキペディア

1974年1月4日の夜半過ぎ、ワシントン大学に通う18歳の女子生徒の地下寝室に忍び込み、眠っている彼女をバールにて殴打、ベッドの鉄棒を引っこ抜き、それを使って彼女に性的な暴行を行った。翌朝、彼女は自身の血の海の中、昏睡状態で横たわっている所を見つかる。一命は取り留めたものの、永久的な脳障害を負った。

 Wikipedia

Shortly after midnight on January 4, 1974, Bundy entered the basement bedroom of 18-year-old "Joni Lenz" (a pseudonym), a dancer and student at UW. Bundy bludgeoned her with a metal rod from her bed frame while she slept and sexually assaulted her with a speculum.[35] Lenz was found the next morning by her roommates lying in a pool of her own blood. She was in a coma for ten days, but she survived the attack.

 ウィキペディアではバールで殴ったことになっているけど、Wikipediaだとベッドのフレームから引き抜いた棒で殴ったことになっている。いろいろ調べたものの、どっちが正しいのかはわからなかった。ただ、ウィキペディアWikipediaの記述を比較しても「意識は正常には一生戻らなかった」というのはガセなのではないかと。
※追記 アン・ルール『テッド・バンディ』(原書房)では、「ベッドからもぎ取った金属のフレーム」が凶器で、被害者は10日ほどで意識を回復した、とあるので、wikipediaの出典はこの本だ思われる。

 バンディがこう易々と殺人を犯せたのは、彼が女性にモテたからである。彼は個性には乏しいが、大変な二枚目であった。加えて大学出のインテリゆえに、会話も巧みだった。誘った女性はほぼ誰もが、ホイホイと危険も感じ取らずに彼の後をついていった。

 「大変な二枚目」というのは「個性」じゃないのだろうか。それにしても、テッド・バンディが被害者の女性を誘拐した方法を説明してないのは解せない。バンディは腕にギブスをはめて怪我をしたフリをして「荷物を運ぶのを手伝ってほしい」と女性を誘い出していたのだが、羊たちの沈黙』のバッファロー・ビルも同じ方法で誘拐をしていて、つまり、バンディの犯行がヒントになっているわけである。…どうしてこういういいネタをスルーしちゃうのかなあ。

こんなにモテるのなら、何も殺人鬼にならずともいいではないかと思う。いい家のお嬢さんをひっかけて、その逆玉で安閑な暮しが出来たはずではないか。

 もてないから殺人鬼になるというのもどうかと思うが、「その逆玉で」もヘンだなあ。「逆玉の輿に乗って〜」かな。

 しかし、残念ながら、彼には向上心があった。法律家になるべく(結局なれなかったが)勉強し、自分を高みへ高みへと向上させていこう、という気高い精神があった。
 それだからこそ、挫折感が強く、いったん挫折をしてしまうと取り返しがつかなくなるのである。
 ここで話を市橋達也に戻してみよう。彼は努力家である。医者になるべく勉強し、殺人を犯すに至ったそもそもの原因も、被害者のホーカーさんに語学の個人レッスンを頼んだのがキッカケであった。指名手配後の逃亡生活においても、この不況下に何の保証も受けられない逃亡者の身分で、ちゃんと勤め口を探し、2年数ヶ月で100万の貯金をしている。彼を殺人者といくらののしっても、努力家であることは否定できないだろう。
 また、メッカ殺人の正田昭も、片親の家庭に育っていながら慶応大学に入り、また逮捕後は翻訳のアルバイトで金を稼ぎ差し入れに頼らないなど、非常な努力家であった。カソリックに改宗した彼の態度を、彼に死刑までつきそった教戒師は絶賛している。
 しかし、こういう努力家こそ、実は一回、挫折をしてしまうと弱いのである。一回の挫折で、もう全てがダメだ、と絶望し、人生を、自暴自棄にしかとらえられなくなる。
 市橋の医者、正田昭の就職、そしてテッド・バンディの弁護士。もし彼らが、そこで挫折せず、それぞれの望む職業にスッとついていたら、こんな犯罪は犯さなかっただろう。また、もっとノンシャランな性格だったら、二度や三度の挫折にも鼻歌でも歌いながらやり過ごせたろう。犯罪者になる性格には、奇妙にクソまじめな性格の持ち主が多いのだ。

 一言で言えば「共通点を強引に探しすぎ」。まあ、「打たれ弱さ」というのはあるかもしれないが、それが「努力家だから」というのはおかしな話だ。本当の努力家なら一度や二度の失敗にもめげずに努力を続けるはずなのであって。それに市橋達也は逃亡と整形手術をするための資金をためていたのだから、それをもって「努力家」と言えるかというと疑問である。唐沢は「強盗などせずに地道に仕事をして金を貯めたのがエラい」とか思っているのだろうか。そして、正田昭について「片親の家庭に育っていながら」と書いているのもひっかかるが、唐沢は正田のことを「セレブな家の坊っちゃん」と前に自分で書いていたのを忘れているのだろうか? 「カソリックに改宗」というのも「入信」にした方がいいんじゃないかな。宗教心に目覚める死刑囚は珍しくないんだけど。また、正田は大学時代に遊びを覚えたというし、バンディは思春期に覗き行為をしていたというから、「挫折」によって犯罪に走ったという唐沢の説はきわめて疑わしいものと言わざるを得ない。

 ……で、バンディであるが、逮捕された刑務所を脱走、逃亡を続けるなどというルパン顔負けのドラマを演じ(このときも、彼に惚れた女性が何人も彼をかくまったりしたらしい)、揚げ句にまた逮捕されて、死刑を宣告された。彼は獄中でプロポーズしてきた女性と結婚、なんとその女性はバンディの子供を妊娠、出産までしている。市橋の追っかけギャルなんて、甘いあまい。

 「逮捕された刑務所」というのは「収監されていた刑務所」ということか? ルパンが怪盗紳士の方なのか三世の方なのかも気になる。あと、「市橋ギャル」について唐沢俊一はかつて『社会派くんがゆく!』で次のように発言していた。

唐沢 逮捕直後の市橋の姿を見てキャーキャー言ってる市橋ファンクラブの女どもがけしからん、みたいな意見をよく見かけるんだけどさ、オレ、ネット上をかなり探し回ったんだが、話題になったミクシィのコミュ以外に、「市橋クン、ステキ」とか書いてる女、見たことねえぞ(笑)。ただひたすら、「市橋萌えしてる女は許せん」って怒ってる人のコメントばっかが延々あるだけで、これは(たった数人除いて)ありもしない「市橋ファン女」という存在が、都市伝説として一人歩きしているだけなんじゃないかと。

 …じゃあ、このコラムの前半で「市橋ファンの女性のおかげで大変な騒動になっている!」と書いていたのは一体なんだったのか。同じ文章の中ですら矛盾があるんだから、別のところでの発言と矛盾していても驚くにはあたらないのかもしれないけれど。


 …というわけで、ガセありパクリあり悪文ありで、今回も惨憺たるものだった。チェックも満足にされてないしなあ。「唐沢俊一検証イベント(仮称)」に唐沢俊一と担当の編集者を呼んで「どうしてこうなった?」と聞こうかな。


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燃えるなあ。

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羊たちの沈黙 (新潮文庫)

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