忘恩アイデンティティー。
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・藤岡真さんのブログの1月13日のエントリーを読んで笑ってしまった。コントかよ! お互い健康には気をつけましょう。
では本題。唐沢俊一・村崎百郎『社会派くんがゆく! 疾風編』(アスペクト)P.100に唐沢俊一の「オバマへの恩を忘れた鳩山首相」というコラムが載っている。
オバマの人気は宗教的である。だって何の具体性もない“チェンジ”のひと言で、六割の得票率、七割の支持率を勝ち取ったのだ。人間の人間たる所以は未来への楽観的希望だけで生きていけることだと聞くが、楽観的もここまで来ると感心せざるを得ない。選挙期間中、具体的なオバマの政策に対する批判を展開した連中は、「“チェンジ”に反対する、アメリカから未来を奪う奴ら」というイメージを抱かされて敗退していった。
「楽観的希望」があるのなら「悲観的希望」もあるのだろうか?と思うが、それにしてもオバマの勝因をもう少し具体的に分析してほしいところだ。なぜオバマの「チェンジ」という言葉に人々が説得力を感じたのか、それが大事だと思う。
そして、このオバマ人気の余慶を最もこうむったのが、日本の民主党である。名前が同じ民主党で、自民党政治からの政権交代(チェンジ)、ということだけ云い続けて、ついに政権を奪取した。実力や実績の成果ではない。オバマのイメージに丸ごと乗っての大勝利であった。
まあ、オバマの勝利が日本の政権交代に全く影響がなかったとは言えないんだろうけど、「オバマのイメージに丸ごと乗っての大勝利」とまでは言えないだろう。鳩山由紀夫とオバマは全然キャラクターが違うし、単純に考えても、アメリカ大統領選挙(2008年11月4日)と衆議院議員選挙(2009年8月30日)とでは間が空きすぎ。あと、「オバマ人気の余慶を最もこうむった」のはデンジャラスのノッチではないかと。次点は福井県小浜市。
……私は何も、イメージ選挙を悪く言うつもりはない。小泉だってイメージ選挙を見事に利用した。あれだけの先達がいながら、その手法を継承できず、民主党のイメージ戦略にむざむざやられた自民党議員に頭が足りなかったというだけの話である。だが、しかし。私がどうしても民主党及び鳩山総理を支持できないのは、その忘恩の挙に理由がある。オバマのおかげで勝たせてもらっていながら、今の対米政策は何事ぞ。普天間基地の問題はじめ、脱アメリカなどと言って、肝心のオバマが来日した時だって、ホイホイと彼をおいてきぼりにしてAPECに出かけてしまった。おまえ、少しは勝たせてもらった恩を考えろよ、という気がしたものである。
そもそも民主党は「オバマのおかげで勝たせてもらっ」たわけでもないのだから、鳩山首相がオバマ大統領に恩義を感じるはずもないと思う。…っていうか、自称「鬼畜」が首相を「恩知らず」と言うのか、とビックリしてしまう。「鬼畜」も義理堅いものなんだろうか。それに、外国に「恩義」を感じてその国に追従する政治家がいたとしたら国民としては正直困りものだ。
「裏モノ日記」や『社会派くんがゆく!』を読んでいると、唐沢俊一がいわゆる「反米」「嫌米」という立場に対して批判的であることがわかる。と言っても、唐沢自身は「親米」というわけでもないので、「反・反米」というのが正確なところなのだろう。「今の日本がアメリカから離れてやっていけると思うのか?」くらいの見方。だから、今回のコラムも「反米」的な鳩山政権の姿勢を批判しようとして「オバマに対して恩知らずだ」と書いたのではないだろうか。…まあ、批判するにしても、もっとマシな理由があるのでは?と思うし、せめて自称「鬼畜」というキャラクター設定だけは守ってほしいと思うのだけど。
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