唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

「唐沢俊一の処分および処分撤回問題」・その5(完結編)。

唐沢俊一検証本Vol.1-盗用編-』
コミックマーケット76 3日目(8月16日/日曜日)
東2ホール M−05a「西理研」にて定価1000円で販売予定。
タコシェで8月下旬より委託予定。
※内容についてはプロフィール欄に詳しい説明があります。


 今回でいよいよ最終回である。まずは問題の結末について説明しておく。

 山本弘会長はわりと早い段階で唐沢俊一への処分を撤回して、唐沢俊一からの活動自粛の提案を受諾した」と表現を変更している。唐沢俊一「と学会に迷惑をかけたくない」と言ったのを受けて、会長が処分案(詳しくはその1を参照)を提案し、唐沢がそれを受け入れたかたちにしたのである。つまり、山本会長が権力を発動させたわけではなく、唐沢俊一が自分の意志で活動を自粛するのなら問題はない、というわけである。会長は「「処分」という言葉は不適当であったと反省しています」と書いているから、「と学会」という団体内で「処分」を行うことはできないと考えたのかもしれない。その一方で会長は

弱音を吐かせてください。
僕はみなさんが考えているほどタフな人間じゃないんです。
プレッシャーに弱いんです。

mixiやニコ動やアニメに逃避していたことを告白している。…しかし、団体のトップに弱音を吐かれたら末端の会員としてはたまったものではない。「処分」をするからには毅然としていてもらわなければ。会長は「処分」をするにあたってどれくらいの覚悟があったのだろうか。

 山本会長がこのように揺らいでいたせいか、「活動自粛」と表現が変更されても会員の間から反対意見が次々と出てきてしまった。たとえば、酒井和彦氏は「唐沢氏の活動自粛によって「と学会」の運営に影響が出ているから直ちに復帰してほしい」と要望を述べている。…まあ、盗用しているのにそれでも運営委員を務めるというのはある意味では懲罰なのかもしれないが。酒井氏は他にもこんなことを言っている。

と学会が身内に甘いなどといっているものは、それこそ認識不足である。
実際、と学会員であった伊藤(バカ)氏により、唐沢・岡田両と学会員は名誉毀損で訴訟を起こされているのである。
会員同士で裁判沙汰を繰り広げる会が、身内に甘いなどというのはアンチが作った幻想にすぎない。
また、そのような事態にあっても、と学会としては直接裁判等には介入しなかったし、会としてなんら処分を下すことも無かった。
伊藤(バカ)氏はあくまで会費未納による退会(一部退会届を出したとの話もあるが)で除名ではない。

 
 伊藤剛さんの裁判に「と学会」が何か関係しているんだろうか。たまたま当事者3人が「と学会」の会員だっただけなんじゃないの? それに「アンチ」の眼に触れないところで「アンチ」に反論したって意味はまったく無いと思うけどなあ。堂々と表に出てきて「アンチが作った幻想」を破壊してほしいところだ。あと、酒井氏が伊藤さんへの侮蔑的な名称をいまだに使っている意図もおうかがいしたいものだ。大内明日香女史のmixi日記をメーリングリストで流出させた一件(詳しくは5月26日の記事を参照)をあわせて考えると、と学会というのは身内でも弱い立場の人間をいじめる集団なのではないか?と邪推してしまうのだけど。確かに「身内に甘い」わけではないんだろうね。

 で、結局、唐沢俊一は自粛を撤回することになる。

会員の皆様のご意見、意思表明、全て心に強く受け止めています。会を混乱させた責任は痛感しておりますが、これ以上、会が紛糾することを見るに忍び得ません。

運営委員の一人として、また会員として、トンデモを愛する者としてと学会に対し、私が行い得る唯一の行為として、活動自粛、退会等、及びその公表意志を一切撤回いたします。
何ごともなかったかのように今後とも活動を続けます。
皆様も、何ごともなかったかのようにおつきあいください。

もちろん、責任については重く考えています。
ただし、そのとりかたについては、さまざまな形があると思います。
皆様と一緒に、それについては考えていきたいと思っています。

 「と学会」のために自粛を撤回することにしたらしい。まあ、山本会長以外はほぼ全員「処分」に反対だったから仕方ないんだろうけど。唐沢は自分へのメールでも「自分はともかくと学会を攻撃するのはどうか」と書いていた(詳しくは8月3日の記事を参照)が、本当に「と学会」のことを考えているのなら「と学会」の名を貶めるような真似をしなければいいのだ。盗用して「と学会」に大ダメージを与えておきながら「自分は「と学会」のことを考えているんだ!」というポーズをされても虚しいだけだ。
 しかし、「責任」を「皆様と一緒に」考えていくといったってなあ。唐沢俊一の「処分」に反対するような大甘な「皆様」に何が期待できるんだろう。それに盗用についての「責任」はあくまで唐沢俊一個人が負うべきものであって、「と学会」のメンバーにはまったく関係のないことだろう。それとも、「と学会」のみなさんは唐沢の盗用に連帯責任を感じているのだろうか。まあ、会員のみなさんは「特に山本会長と唐沢先生におかれましては、一度表明したことを撤回するのは大変なエネルギーのいることだと思います」とか「唐沢先生、ありがとうございます(涙)」とか喜んでいるんだけど。これからも唐沢俊一と一緒に好きなようにやっていってほしい。ふたたび俺が検証するような事態にならないよう祈ってます。


 以下この騒動についての個人的な考えをいろいろ書いておく。

 この騒動において一番興味深い人物はやはり山本弘会長である。事態をほぼ完璧に理解したうえで「処分」を下したにもかかわらず、結局は撤回してしまったのはどうしてなのだろう。たとえ会長であっても、たったひとりでは「処分」を行えないということなのだろうか。「事態をちゃんと理解していたのは良い」と考えるか「わかっていたのに何もしなかった」と考えるかは人によるんだろうけど(山本会長はいつも「有言不実行」だという意見も見られるが)。極端なことを言えば、山本会長は唐沢を「処分」する代わりに、自分から「と学会」をやめてしまってもよかったのかもしれない。「と学会」を離れても「トンデモ本」を検証することはできるだろうし。
 あと、「と学会」が唐沢俊一を擁護する意見がいちいちヘンなのも気になった。たとえば、「「と学会」は趣味の集まりなのだから「処分」はそぐわない」という意見については、むしろ「趣味」や「遊び」でやっている集まりだからこそ、けじめはしっかりつけなくてはいけないのではないか?と思う。「トンデモ」の中には「ガセ」や「パクリ」も含まれるわけで、それをネタにするたびに唐沢俊一も同じ事をやってるじゃん」と外野から突っ込まれてしまうのだが、そういう状況で「トンデモ」をネタにしても楽しいんだろうか? 「処分」をひそかに支持しながらも表立って意見を言えなかった人もいたのだろうか。
 もうひとつ、「と学会」の古参メンバーが揃って唐沢俊一を「処分」すると「と学会」の活動に支障が出る」と言っているのも気になった。「と学会」が「トンデモ本」をネタにすることを主な活動にしている、つまり他人の著作物に依拠していることは確かだが、しかし、それならば逆に「盗用」については厳しく対処する必要があるのではないだろうか。そうでないと、著作権法上で認められた正当な行為でも疑われる羽目になりかねない。要するに古参メンバーのみなさんは真逆のことをやっているのだ。

 この検証をやりながら「組織っていったいなんなんだろう?」としばしば考えた。組織にいるせいで正しい行いができなくなる(例:山本弘会長)、間違った行動をした人が「組織のため」と自己を正当化して生き延びる(例:唐沢俊一)、…こういうおかしなことが起こるのは何故だろう?と思ったのだ。
 もちろん、そんなことは過去にいくらでも行われてきたことで、今でも世界のいたるところで行われていることなのだから、いまさら驚くようなことではない。しかし、企業や軍隊や学校ならともかく、オタクの組織でもそういうことが起こるのがちょっと意外なのだ。しがらみのない「趣味」によって連帯した組織でもそういうことが起きてしまうのかと。…もっとも、唐沢俊一「組織」を利用して今までやってきた人であるのだが。札幌のアニソンサークルに始まり(詳しくは2008年10月28日の記事を参照)、アニドウでは一般のファンを批判し(詳しくは7月10日の記事を参照)、そして「と学会」のメンバーとしてタイトルに「トンデモ」とついた著書を多数出してきた。唐沢にしてみれば「うちの「と学会」」なのだろう(詳しくは5月2日の記事を参照)。「趣味」というのはまず第一に個人で楽しむものだと思っている自分には、唐沢俊一の行動原理がよくわからない(岡田斗司夫も同じか?)。
 それにオタクというのは「趣味」や「遊び」を第一に考える人種だと思っていたのだが、「と学会」の人たちは、「趣味」よりも「仲間と付き合う」方を大事にしているのだから少し不思議である。まあ、人付き合いも大事なんだろうけど…。山本会長なんか唐沢俊一の「処分」のことを考えるのがつらくてアニメに逃避していたもんなあ。「趣味のサークル」に入っているせいで「趣味」を楽しめなくなるってどういうことなのか。
 ただ、「と学会」は純粋な「趣味の集まり」ではない、と考えればこの騒動は理解できなくも無い。つまり、経済的事情がからんでいることでややこしくなっているのではないか。「と学会年鑑」は毎年発売されていて、コミケでは同人誌が売られ、「トンデモ本大賞」では物販が行われているのだ。…そうなると結構なお金が動いているわけで、簡単に退会したりはできないのかも、と思う。大人って大変だ。
 もうひとつ思ったのは、今、「趣味」を楽しむために何らかの組織に入る必要があるのか?ということだ。昔なら同好の士を探すために組織に入る必要があっただろうし、自分の意見を発表するとしてもひとりでそれをやるのは難しかった(大学生時代の唐沢俊一が『ぴあ』やアニドウの同人誌に投稿していたのを連想する)。しかし、今ではネットで同好の士はたやすく見つかるし、2ちゃんやブログで意見を思う存分発表することができる。自分のような集団に属したことの無いオタクにとってはまことにありがたい時代である。「と学会」にも同じ事が言えるわけで、今、「トンデモ」をネタにするとしても「と学会」に入る必要は無いのであって、個人でも十分やれるはずだ。そう考えると、「と学会」というのはある世代・ある年代において限定された集団だったのかもなあ、と思う。その点、「と学会」のメーリングリストの中で、ネットの住人に対する反感を書き連ねている人が少なからずいるのも興味深い。「1999年7の月」で解散していれば…。いやいや、冗談冗談。でも、「と学会」が活動を今後も続けていくのであれば、そういった変化に目を向けていく必要があるのは確かなことだろう。がんばってください。

 
 …いやー、大変だった! 初めて「特殊な資料」を使った検証だったから神経を使って疲れた。「ここまでやるのか」と思われた人もいるかもしれないけど、やるからには徹底的にやりたいので。今後も「特殊な資料」を使うことがあるかもしれないし、唐沢俊一の関係者に話を聞く機会もあるかもしれない。最終的には札幌まで取材に…行くかどうかはまだわからないw もはやブロガーというよりはマスコミみたいになってきた。
 それにしても、よりによってコミケ直前にこのネタをやってしまったというのも我ながらどうなのか。「と学会」のブースに行くつもりだったんだけどなあ。わざとじゃないんだけど、俺は検証にエンターテインメント性を持ち込みすぎだ。これからはもっと地味にやろう。

 とりあえずこれでコミケ前の検証は終わり。金曜にコミケの予定について書きますが、気合が乗ったら「夏休み特別企画」をやるかもしれません。そろそろネタをやりたくてウズウズしているので。