唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

むーじゅんむーじゅん。

オールバックにスーツの男
『博覧強記の仕事術』を読んだら
頭にあーかいはなさいた


…そういえば、魔夜峰央『ゼロ星』のオチは『スキャナーズ』そっくりだったなあ。スキャナーズ・パークリー?


 久々に唐沢俊一『博覧強記の仕事術』(アスペクト)第2章の検証。
 P.94には「情報はアナログで管理しろ」とある。デジタルで情報を管理していても、メディアの進歩によって情報を読み出せなくなるおそれがあるというのだ。P.96より。

 しかし、紙の情報は少なくとも数百年はもつ。それよりもつのが羊の皮(羊皮紙)に書いたもの、そして最も保存性に優れるのが石に刻んだ情報である。不思議なことにアナログであればあるほど、保存性は高くなるのだ。

 紙はそんなにもつものだろうか。

 で、気になる情報はアナログでどんどん取り入れていくべきだ、としている。書き写してもいいし、コピーをとってもいいという。P.97より。

 『知的生活の方法』で渡部昇一氏も「書き写す暇があったら、コピーして貼り付けておいた方が絶対いい」と言っている。「何が何でも手書きでなければならない」というのも、おかしなこだわりなのだ。要は、「アナログの利点である一覧性を確保しつつ、必要な情報を抜き出す」ということができればよい。抜き書きはノートでもいいし、付箋に書いて貼り付けておいてもいい。

 しかし、P.72にはこのように書いてあった。

もし、一字一句間違わずに覚えておきたい、と思うのなら、労をいとわずに筆写することである。これが一番、頭に入る。パソコンにデータとして打ち込んでおけば、後で検索するにも便利だろう。

 それなら「筆写」と「コピー」では話が違ってくるだろう。「コピー」では頭に入らないではないか。
さらに続けてP.97より。

 しかし、本人のポリシーとしてならともかく、実際の知的生活には特殊なノウハウなど必要ない。
 要は「書き写したい」「線を引きたい」「付箋を貼りたい」ような本に出会えるかどうか、ということだ。素晴らしい内容の本に出会ったときは、あなたの好きなやり方で、その感動や知識を保存しておけばいい。

 いやいやいや。P.70で「付箋は貼るな、ページを折るな、アンダーラインも引くな」って書いていたじゃないか。「あなたの好きなやり方で、その感動や知識を保存しておけばいい」なら付箋もアンダーラインもOKになってしまう。「実際の知的生活には特殊なノウハウなど必要ない」というのもなんだかなあ。じゃあ、『博覧強記の仕事術』は一体何を書いている本なのか。
 それから付箋の話になったから付け加えておくと、唐沢俊一『カルトな本棚』(同文書院)には、山本弘会長の本棚の写真が載っているのだが、収納された本にはどれも付箋がびっしりと貼り付けられていて、「日本一の付箋消費者(?)」というキャプションもついている。したがって、『博覧強記の仕事術』P.71の

彼(引用者註 山本会長)の自宅の書棚を見せてもらったことがあるが、付箋はほとんどなかった。第一、そんなものを貼っていては、書棚におさめにくくなる。

というくだりは、まったくのウソだったことになる(詳しくは7月4日の記事を参照)。


 さて、唐沢俊一は情報を保存するのはアナログが適しているとしているが、一方で情報を整理するのはデジタルが適している、と書いている。P.96より。

 実は、現代では情報を整理する必要はない。そう、ネットを活用すればよいのだ。

としたうえで、P.98では「ネットは「インデックス」として利用しろ」としている。俺の中では

堕天使メイド>レールガン>インデックス

なのだが、それはともかくP.98より。

 情報を溜め込みすぎると、必要なときに取り出せなくなる。本でもDVDでも増えすぎると、どこにしまったかわからなくなる。これは人間の脳も同じである。
 だから、必要なときに必要な情報を取り出せるようにする。これが「情報化社会」というものである。
 そして、その情報化社会の象徴が「インターネット」というものである。今、インターネットさえあれば、本は自宅にいながらにして探すことができるし、映像はユーチューブで観ることができる。こういう時代であるのだから、頻繁に使う情報はともかく、「たまに使う」程度の情報であれば、何でもかんでも記憶しておく必要はない。必要なときに出てくればいいので、本のタイトルや目次を頭に入れておけば充分なのだ。

…これって「わからないことがあったらネットで検索すればいい」と言っているのと同じなのではないだろうか。っていうか、アナログで保存していた情報はどうやって整理すればいいのか。書きっぱなし、コピーしっぱなしじゃ困るよ。あと「情報化社会」についてgoo辞書を引いておく。

情報化社会 【じょうほうかしゃかい】

社会的に大量の情報が生み出され,それを加工・処理・操作するための機構が巨大化し,人々の意思決定や行動に大きな影響を与えるに至った社会。情報社会。

「必要なときに必要な情報を取り出せるようにする」というのはどうなんだろう。

 その後、唐沢俊一は蔵書を整理した話をしている。ネットが発達したことによって、欲しい本はネット上ですぐに買い求めることが出来るのだから、手元には必要最低限の本を置いておけばいい、というのである。P.99には、

蔵書量をみだりに誇る人間を私はあまり信用しないことにしている。

という素晴らしいお言葉があって感動のあまり大笑いしてしまった。P.100、P.102より。

 若いうちは、実際に書店を回り、その棚を見、本の価値を、先にも言ったが、その装丁、活字組、重さなど、肌で実感できるよう、体験することが何よりも大事である。それは、内容以上の、本の持つ魅力をあなたの五感に染み渡らせてくれるはずだ。しかし三〇年以上、常人から見れば、“異常なまでの”本の買い方をしていたその結果が、自分でも管理できないまでの蔵書の肥大だとしたら、これはその贅肉をそぎ落とすべきだ。
 “目的と手段の取り違え”ということをよく言う。本は読み、自分の思考や創作の血肉とするためにある、というのが本分のはずなのに、いつの間にか、本を集め、コレクションするという“収集”の方にその目的が移ってしまう。もちろん、コレクションも人生の趣味としては素晴らしいものがあるが、やはり、私は本は読むものであり、その内容から何かを得たいと思っている。
 コレクターは、はっきり言えば本が手に入りさえすれば、読まなくても満足する。しかし、博覧強記人というのは、あくまでその本から得る内容が大事と思う。こういう人に取り、時間は有限である。若いうちは読書の時間が自分には無限に与えられていると思っているかもしれないが五〇を過ぎると、本当に読書時間、いや、今後読める冊数までが勘定できるようになってくるのだ。
 そうなると、本との付き合い方もおのずと変わってくるというものである。

 まず、既に何度か書いているはずなのだが、『博覧強記の仕事術』という本はどのような人を対象としているのかよくわからない。仮に一般的な社会人を対象としているのなら、唐沢が蔵書を整理した言い訳を長々と聞かされてもしょうがないだろう。しかし、「それは、内容以上の、本の持つ魅力をあなたの五感に染み渡らせてくれる」(悪文だなあ)って、本と味覚に何か関係があるだろうか。セブンセンシズが目覚めちゃったりして。
 次に、結局のところ、唐沢俊一は「古本マニア」になれなかった、ということである。唐沢俊一『古本マニア雑学ノート』(幻冬舎文庫)P.58〜59より。

 ところで、そんなにたくさん本を買って、いつ読むのだ、とよく聞かれる。こういう愚問を発するのは古書マニアでない人間である。切手収集マニアに、そんなに切手を買って、いつ手紙を出すのかと訊くようなものではないか。古書は集めるためにあるものである。読むものではない!
 とはいえ、僕は全集モノのまとめ買いなどは別として、買った本は極力読むようにこころがけている。それだから、いつまでたっても古書マニアの中では青っちろい小僧扱いなのだと説教されたことがある。そう、本を読む、などというのは古書収集にとってはどうも邪道であるらしいのであった。嗚呼、奥深い奥深い。

 結局、「古本マニア」としては「青っちろい小僧」のままだったということか。唐沢も古本をテーマとして扱ってきた人だから、さすがに気にして「もちろん、コレクションも人生の趣味としては素晴らしいものがある」とフォローしているが、自分が「古本マニア」になりきれなかったことを認めているのと同じである。それに「古本マニア」でありながら「博覧強記人」であることも可能なのではないか?とも思うのだが。「自分は「博覧強記人」だから蔵書を整理した」というのは言い訳なのではないか? …しかし、今の唐沢の言動を見ていると、『古本マニア雑学ノート』って一体何なんだろう、と思ってしまう(続編もあるのに)。なお、この件に関しては1月27日の記事も参照してほしい。


唐沢俊一は博覧強記人ではない。もっとおぞましい何かだ」


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