唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

近頃の若い者は・その1。

 岡田斗司夫唐沢俊一眠田直オタクアミーゴスの逆襲』(楽工社)が発売された。
 当ブログの検証対象である唐沢俊一が相変わらず

われわれには『宇宙戦艦ヤマト』という低視聴率で打ち切られたアニメを、アニメブームにまで押し上げた実績があるんですから(笑)

とP.21で言ってたり(唐沢と『ヤマト』については2008年10月28日の記事を参照)、案の定山本寛監督のことを知らなかったりする(P.29)のが面白いが(つまり涼宮ハルヒの憂鬱』も『らき☆すた』も知らないってことだ)、今回は単行本語り下ろしの「オタアミ鼎談」を取り上げてみようと思う。ここでの3人組の若者への批判が物凄いのだ。特に岡田斗司夫

岡田 僕がこの1年ぐらいで大きく感じたのは、初めてオタクの人と話が合わなくなってきたということ。今までもあったような世代の問題じゃなくて、オタク同士も話が通じてない。もういわゆるバベルの塔問題で、神がみんなの言葉をバラバラにした状態で。本当にお互いが何を言っているのかみんなわからない。

…えーと、「オタク同士」ということは、岡田斗司夫個人の問題じゃなくて、オタク全体で「話が合わなくなってきた」ってこと?…いや、自分はまったくもってそんなことは感じないけどなあ。当ブログでもオタク関係のコメントのやりとりをよくしているし。なんで「みんな」になるんだ?岡田斗司夫には「岡田個人の問題にすぎないことをオタク全体の問題にすりかえる」悪癖があるけど、今回もそれなんじゃないか?まあ、岡田は

ところが今の若いオタクのお兄さんお姉さんたちは、話が噛み合わないこと自体に気がつかないんだよね。

と言っているので、「本人たちはコミュニケーションが成立していると思っているようだが、俺にはそうは見えない!」と言われればどうしようもないけれど。

岡田 どの話も適当に通じるんだけどね。みんな物わかりがよすぎてつまんない。わかる部分はさっとわかってくれるんだけど、そこから先にいかないから。子供相手にグルメを語ってるみたいな気がする。「お寿司美味しいよね」って子供は言うんだけど、まあ君らのわかってる寿司ってこのへんだろう、みたいな。

ただ、それでも「俺は」「私は」っていう自意識だけは強いの。「俺はなんでこんなにヘンなんだ。だって俺、こんなの好きなんだ」っていうヘンさ加減は減ったんだけれども、「俺はなんでみんなにこんなにわかってもらえないんだ」というアイデンティティのあがきだけは特濃なの。あがきが特濃だからそんなに悩んでるのかと思って話を聞いてみると、「お前、普通じゃん」と思って。

 「自意識だけは強い」「アイデンティティのあがき」って岡田斗司夫本人の話のような。…それにしても大学で学生に嫌がらせでもされたのか?と心配になる余裕の無さだ。傍から見れば普通なのに「自分はヘンだ」って思い込んでしまうのって若い人にはよくある話なんだけどねえ。「大丈夫だよ、君と同じような人はたくさんいるから」でなくて「お前、普通じゃん」となってしまうのが岡田氏らしいな。

唐沢 われわれの場合は認めてもらうために自分を濃くしようとか、何か得意分野を見つけようとしたんだけどもね。前にも「唐沢さん、ちょっとウチの若いやつに会ってやってよ」と同世代の事業家に言われて、とある若い人に会ったことがあるんです。岡田さんが言われたように、とにかく自慢するんですよ。「僕たちの世代はすごいんですよ」とか「必ず世界を変えてみせます。変える自信がありますから」とか。ところが具体的にはなんの分野でどのように変えるのか、ひとつも具体性がない。ああ、これは大変だと思ったな。

 これも言ったことが本人にそのまま跳ね返っていくパターン唐沢俊一だって「僕たちの世代はすごいんですよ」ってさんざん言ってたじゃん。「オタク第一世代」の功罪は今後も検証していく必要があるだろうけど、今まで検証した限りでは少なくとも唐沢俊一個人が何か功績を残したのかというと…。

岡田 アイデンティティだけが膨れ上がってるというのはちょっと抽象的な言い方だな。なんだろう、「俺様意識」とか「私なんかどうせ」とか、いろいろこんがらがった感じだね。


唐沢 あと、マイペースもあるんだよね。ラジオとかでいろいろ仕事をしている関係で、アメリカに留学して向こうでDJをやりたい、でもラジオ関係にはそれこそ本当に何の経験もないというような人が、何人かのつながりを経て私のところに来たの。それでいろいろアドバイスをしたり、ラジオをやっている時のスタジオに呼んでやったりしたのね。自分がもし逆の立場だったら、その人間に何がなんでも食らいついていくし、それこそ「一杯飲みに行くぞ」って言われたら「ハイ!」ってついていって、何がどこかでもって自分の仕事につなげられないかみたいな野心があるけど、それがまったくないのね。「飯は食ってきました」とか「お酒は飲みませんから」とか言って。そういうのがあって、もうオシマイになっちゃった。

 唐沢俊一が毎晩のように飲み歩いている理由がなんとなくわかったような。いろいろと大変なんだろうなあ。金子達仁が中村俊輔を信用しなくなった話を思い出してしまった。サラリーマンだとよくある話だと思うけど、オタクもスポーツ業界も同じなんだろうか。ここは大沢親分並みに俊輔を応援したいところだな。

岡田 ここで単なる酒飲みオヤジの話みたいなのをすると、みんな将来の話をすると不機嫌になって面白いよ(笑)。将来が見えてないというか、縦方向の時間軸が嫌いでしょうがない。横方向のつながりの話は大好きなの。「この人は知ってる」とか「これは見たことがある」とか。ただ、縦方向の時間軸の話をした瞬間に、将来のために何も積み上げてないことも明らかになっちゃうし、中学や高校の時に何も頑張ってないのが明らかになっちゃうというのがある。うちの娘だってそうだもん。縦方向の話をしたら嫌がる。

岡田 未来像って言っちゃうとすごい大上段だけれども、「こんなことしていたら、大学卒業した時にどうすんの?」とか「就職どうすんの?」というレベルですら不機嫌な顔される(笑)


唐沢 そうだよな。私も劇団とかやってるけど、その劇団の来年や再来年の計画というのは、やっぱり40代以上の座長だとか看板俳優クラスが考えて、その下の人間からはあまり出てこない。たとえば劇団に入ったからテレビの仕事を取るような営業をするのかというと、そういうこともしない。


岡田 そういう話をして不機嫌になる人はまだ態度に出してくれてるんだけれど、たまにそんな話の何が面白いのかみたいに唖然とされたりするよね。人間の特徴は動物と違って将来を予想することだとすると、今の若い人は動物化がすごいんだよ(笑)。だから仕事もすぐに辞めちゃうし。


唐沢 でも、30過ぎると考えるようになる。だいたい今の連中が「これはなんとかしないといけない」とか将来のことを考えるようになるのは30過ぎてからなんだよ。ようやくうちの劇団の看板女優も、30過ぎてからオーディションをいろいろ受けるようになって、こないだナベプロの試験に合格したよ。


眠田 もったいないね。もっと若い時に受けておけば(笑)。

…自分は世代論というものに興味が無くて、どの世代が良いとも悪いとも考えてないのだが、オタクアミーゴスの話を聞いてると「オタク第一世代」が確実に嫌いになってくるw 一体どうして若い人のことをこんなに悪し様に言えるんだろう。オタクアミーゴスの3人は若い頃はさぞかし立派だったんだろうけどね。
 だいたい、今の若い人が「縦方向の時間軸」について語りたがらないのは現在の不況下ではあまり展望を持てないからであって、それは仕方のないことなのではないか(さすがに眠田直氏が「今はあんまり未来像がないもんね」とフォローしている)。「オタク第一世代」の若い頃とは状況が違うのだし、唐沢俊一は20代の頃に挫折をしているのだから、若い人に対して寛容になってもいいのではないかと思うけれど。あと、岡田氏には「わざと人を困らせる」「人が答えにくい話を仕掛ける」癖があるように思う。これについては後々取り上げていきたい。まあ、3人とも他人のことより自分たちの「縦方向の時間軸」を気にしたほうがいいと思うけど。若い人たちだって将来のことはちゃんと考えてるって。


…『オタクアミーゴスの逆襲』には「オタアミ鼎談」が「その5」まで収録されているので、当ブログで順次紹介していくことにする。今回は「その1」だけを取り上げたけど、この後もなかなか凄い内容なのでお楽しみに。…読んでいるとイライラしてしょうがないんだけどねw

                       (つづく)

オタクアミーゴスの逆襲

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