唐沢なをき検証blog2。
唐沢俊一の実弟である唐沢なをきが、かつて『まんが極道』で盗用をテーマにした話(第22話『パクリ!!』)を描いたことについて「兄の事件と関係があるのか?」と一部で物議をかもしたことは記憶に新しい(ついでに村崎百郎の不自然なスルーっぷりも面白がられた。詳しくは2008年9月8日の記事を参照)。で、『まんが極道』の最新刊である3巻でも、同じように盗用をテーマにした話があって、腹が痛くなるほど笑ってしまった。というわけで今回は『まんが極道』第34話『トレース!!』の紹介をしてみようと思う。
「マイナーな漫画」から絵をトレースしてついでに話もパクった作品が漫画の新人賞を受賞するところからこの話は始まる。
…なあーんだ
チョロいもんだな この業界
考えてみれば編集者は別に漫画のことなんでも知ってるわけじゃないんだし
あの程度のトレースなら全然OKだったのだ
あービクビクして損しちゃったあ
新人賞を受賞した男はこのようにカンチガイしてしまう。…このモノローグと同じようなことを誰かさんも考えてたのかもなあ。
プロとしてデビューを果たした男だったが、絵のバラつきを指摘され、実力不足をごまかすために「徹底的に」「今ウケてる漫画」からトレースをするようになる。完全に悪循環である。しかし、そういうことをしていれば当然バレるわけで、パクられた側の漫画家が盗用に気づいてしまう。「クレームをつけましょう」とアシスタントに言われた漫画家本人は
確かに俺の漫画だなあ これ
でもクレームとなるといろいろ面倒がなあ
と渋る。唐沢なをきがエラいのは「盗用に対してクレームをつけても苦労するばかりで得るところが少ないのでクレームをつけにくい」というパクられた側の事情もちゃんとわかっていることだ。だからこそ唐沢俊一はいまだにライターをやっていられるわけだ。
そこへ「あの男」がやってきて滔々と自説を語り出す。
オリジナリティーをそこまでよってたかって主張しあって 何が生まれえようか
大局的に見て漫画文化を殺す行為でしかないのだよそれは
漫画というものはね
もともと模倣やコラージュ作業抜きには なりたたないものなのだ
かの王塚ゴライ虫もその昔―
『まんが極道』の読者ならもうおわかりですね。『パクリ!!』で盗用を擁護していた人である。今回もやっぱり
うるせえ
うるせえ
なんか不愉快だぞこの野郎
と袋叩きにされてしまうのであった。爽快爽快(byバカリズム)。
盗用しているにもかかわらず男の作品は大ヒットとなるのだが、ある日編集者が駆け込んでくる。
ネットでトド子ちゃんトレース疑惑とかいって 検証サイトできてるんだけど
あれ本当のことなの?
マネッコしたの あの漫画っ
はははははは!
…いやー、「唐沢俊一検証blog」をやってて良かったとこれほど思ったことは今までに無いね。面白すぎる。弟さんがうちのブログを読んでたりしたら最高なんだけど、まあさすがにそれはありえないか。しかし、ネットで検証されて盗用に気づく編集者は気の毒というか自業自得というか。
しかし、男はあくまでシラを切る。
偶然ですよ 偶然
確率的に無いとはいえないでしょ?
赤蟲社の法務部強いんですよねぇ
大企業だから
問題大きくなる前に もみ消してくださいよー
…ここまで来ると唐沢なをきはわかっててやってるだろ?と思ってしまう。だって、『新・UFO入門』事件の時の唐沢俊一と幻冬舎の対応にそっくりなんだもの(詳しくは漫棚通信さんを参照)。
結局、編集者もそれ以上は追及せずに問題はウヤムヤになってしまう。プロの作品からパクるのはマズいと考えた男は今度は同人誌からパクることにしたのだが…。もちろん「同人誌」を「個人のサイト」に脳内変換してしまうわけだが。
なお、この続きを知りたい方は実際に『まんが極道』3巻を手にとって読んでいただきたい。かなりいいオチがついているので、紹介しないほうが未読の人のためになると考えたので悪しからず。唐沢俊一ウォッチャーにとって最高のご褒美だな、この話。
…いやー、それにしても唐沢なをきは凄い。『パクリ!!』でも相当なものだと思ったけど、2度もやるのかと。実の兄が盗用がバレて大変なことになっているのにそのうえでネタにしているんだから頭が下がる。唐沢兄弟は仲がいいはずなので、お兄さんが気分を害することはもちろんないだろう。村崎百郎も今度こそスルーしないでね。
『まんが極道』3巻は、この他にも笑えて「アイタタタ」となってしまう話がたくさん収録されているが、個人的によかったのは第30話『僕は漫画家(うそ)』。ネットで漫画家のフリをして書き込みをしていた男が「ウソなんじゃないのー?」とからかわれて
俺が漫画家じゃないって証拠があるのかよ!!
証拠みせろよ!!
くやしかったら
何か言ってみろよ!!
とキレてしまうシーンで「唐沢俊一スレッド@2ちゃんねる一般書籍板でよく見る光景だなあ」としみじみしてしまった。荒らしくんがこの話の主人公みたいにならないように祈る。
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