『怪体新書』の小ネタいろいろ。
とりあえず、現在までに見つけたものを挙げておく。
唐沢商会『怪体新書』(光文社)P.48より。
正しくは『酉陽雑俎』(ゆうようざっそ)。…唐沢俊一は題名をちゃんと読めるのだろうか。
P.64。
そうかと思うとイギリスはロンドン、トテナム・コートのユニバーシティ・カレッジの創設者ジュレミー・ベンサム氏のように(引用者註 遺体に)つめものをされて大学の廊下に展示されてるものもある。
ジェレミー・ベンサム(Jeremy Bentham)はユニバーシティ・カレッジ(UCL)の創設者ではない。UCLの公式サイトではベンサムはUCLの直接の創設者ではないが、創設にあたって大きな影響を与えた人物であると説明されている(だから「建学の父」とでも呼ぶべきなのだろうか)。
功利主義者であったベンサムは自らの死体を標本にして人々の役に立てるよう遺言をしていたため、現在でもミイラが学内に展示されているのである(これが実物。「オート・アイコン」と呼ばれている)。ちなみに、ベンサムのミイラの頭部は損傷が激しいため現在は別の場所で保管されている(展示されている頭部は蝋で作られたもの)、というのは『怪体新書』でも説明されているが、学生のイタズラから守るために保管を決めたということも書いておけばよかったと思う。…折田先生みたいな目に遭っていたのだろうか。なお、ベンサムはミシェル・フーコー『監獄の誕生』に登場する「パノプティコン」(一望監視施設)の考案者としても知られている。個人的にはエマーソン・レイク・アンド・パーマーを連想してしまうのだが(それは『ジェレミー・ベンダー』)。…余談の方が長くなってしまった。
P.67。
「手塚治虫のマンガにあったね、なんかくらーいの」
「『ガラスの城の記憶』な」
正しくは『ガラスの城の記録』。
P.87。
『ワンダとダイヤと優しい奴ら』には『モンティ・パイソン』のメンバーであるジョン・クリーズ(脚本も担当)とマイケル・ペイリンが出演しているが、『モンティ・パイソン』の作品に含まれるとは考えられていない。
P.100。
銭湯といえば思い出すのがあの内外薬品の頭痛薬「ケロリン」の広告の入ったプラスチックの桶だ。
他の薬でなく「ケロリン」オンリーだったのが不思議だったが
あれは陸和商事という会社がPRのために銭湯に安く桶を納入していたのだそうだ
正しくは「睦和商事」。なお、唐沢俊一はこれと同じ間違いを『薬局通』でもしている(詳しくは2008年8月16日の記事を参照)。
※追記 『キッチュワールド案内』(早川書房)P.47では『酉陽雑俎』と正しいタイトルが書かれている。ただし、ここでも老子の人相の話をしているので、ネタの使い回しをしていることになる。『酉陽雑俎』を読んでいれば他にもネタはありそうなものなのだが。
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