唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

炎上し あれがイナゴか 秋の空。

唐沢俊一ソルボンヌK子『カルトの泉』(ミリオン出版)P.72〜73

 日本におけるカルト宗教のムーブメントには波があるが、現在の社会においては、ネット上の発言などで、前述したような、純粋な自分(正義)VS現実(悪)という図式を無意識に作り上げている世代が、ある種パワーを持つまでに肥大していることが容易に見て取れる。
 つまり、現実社会にコミットメントできない社会的弱者が、ネットでの、人格を表に出さないで済む発言に寄りかかり、かつ自分独自の思考を全面に出す勇気がないため、道徳規範をことさらに強調して、これに反していると見なされる企業や個人などを、コメント欄の炎上という形で徹底して叩くことで、純粋な心を自分が持っているという擬似満足感に浸る、という図式である。
 学校裏サイトなどでも、このような匿名性を利用した陰湿な叩きは問題化している。しかし、こういう行き過ぎた感情が支配する集団ヒステリーのような場に、カリスマ性のある人物が、自らを“神”と名乗って現れ、彼らをことごとく洗脳してしまったら……というような状況を悪夢として見るのは、私だけではないだろう。

…なんでそんなにネットを恐がってるんだろう?2000年の時点ではネットを擁護していたのにどうしたんだろうか。

西鉄バスジャック事件以来、マスコミによる2ちゃんねる叩きがはじまりそうな傾向。久米宏なんかも“匿名は卑怯”などと言っているが、世の中、卑怯な発言だってする場所がなきゃいけまい。きのうNくんにも話したことだが、人間のホンネを聞こうと思うなら匿名発言にまさるものはない。実名発言には一種の劇場効果があって、必ずしもホンネが出るとは限らないのである(徳川夢声が五十年前にこのことは指摘している)。人間というのはそもそも卑怯なものだ、という感覚がない奴にジャーナリストはつとまるまい。久米宏はじめとする顔出し人(私のその中に入る)は、これはタレントという特殊な病気なのだから一般人と同一には語れない。

 ネットの普及は馬鹿にも卑怯者にもキチガイにも発言の場を与えた。匿名性などという小さなことを批判するより前に、そもそもこういう奴らに発言権を与えることについて、各マスコミ人はどう思うか、旗色鮮明にしてもらいたいものである。私は当然、卑怯者支持。

盗作をネット上で叩かれたのがこたえたから、ネットで唐沢を批判している人々を「現実社会にコミットメントできない社会的弱者」と決め付けているのだろうか。自分は唐沢に冬コミで「コミットメント」するつもりなのでどうかよろしく。

 まず、ネット=カルトという論法は雑すぎる。カルトは一般社会から隔離された閉鎖された状況に置かれて情報を遮断することによって団結力を強めていくが、ネット上で暴れている人間はネット以外からも情報を得ることが出来る。したがって、ネットにハマってネットを絶対視する人間は実はそんなに多くないはずだし、ネットから離れることはカルトから脱会することよりもはるかにたやすい。もっとも、ネット上でもカルトが成立することは有り得る。たとえば、ネット上に閉鎖的な空間を作り限られたメンバーのみでコミュニケーションをとることによってカルト的な集団を形成することは可能だろう。そう、「会議室」という場に、大して持ち合わせていないカリスマ性があるかのように見せかけた男が、自らを“議長”と名乗って現れ、自分の意見に合わない人間をバッシングするように仕向けたとしたら……、あれ?どこかで聞いたことがある話だな(「過去のいきさつ」を参照)。…昔、自分がやっていたことをスルーしてネット叩きをするなんて何を考えているんだろう。それにしても、「カリスマ性のある人物が、自らを“神”と名乗って現れ、彼らをことごとく洗脳してしまったら……」には本気で笑ってしまった。モンスターエンジンかよ!考えすぎだと思うけどなあ。
 次に「炎上」の分析も雑。ネット上だから何を言っても許されると勘違いしたためにブログなどが「炎上」してしまうことが多いということをどうしてスルーするのか。「道徳規範をことさらに強調して」ということを批判するなら原因を作った側も批判すべきだと思うが。でないと「いい子ぶりやがって」と毒づいているのと変わりがない。なお、ウィキペディアの「炎上」には、「炎上」の原因として、「間違った知識の知ったかぶり」が挙げられている。…「裏モノ日記」にコメント欄がない理由がよーくわかった(当ブログも気をつけます)。でも、その割りには「炎上」の被害者には優しくないんだが。

唐沢 こないだも麻生美由樹っていう、AV女優に転身した元グラビアアイドルが硫化水素自殺したって話題になっていたんだけど、この人はグラビアからAVに向かったことを「裏切りだ」っていうファンから袋叩きにあって、ブログも批判の書き込みで炎上して、追い込まれた末の自殺だったらしい。
村崎 グラビアアイドルがAV女優になったくらいで怒り出す童貞ファンもどうかと思うが(笑)。AVに行ったことで、今までグラビアでは見られなかった部分までちゃんと見られるようになったのなら素直に喜んどきゃいいんじゃないの? ファンの心理は複雑だねえ。
唐沢 もっともこの女も「グラドル時代に芸人50人と寝た」って告白してからAVに転向したんで、そこで名前を明かされたお笑い芸人とそのファンから総スカンを食らっていたらしい。それで2ちゃんねるの批判スレに本人が「死にます」って書き込んできて、「硫化水素をオススメします」ってレスがついたんで、それをそのまま実行したらしい。こういうのはもう放っておけば、って言いたくなる。

 細かいところでは、「純粋な自分(正義)VS現実(悪)という図式を無意識に作り上げている世代」というのは一体何歳くらいの人のことなんだろうか。あと、「世代が、ある種パワーを持つまでに肥大していること」とあるけど「世代」って肥大するものなのか?それから「擬似満足感」ってどんな感覚なんだろう。
 いずれにしても、唐沢俊一はネットについて知識がないわけじゃない(?)んだから、無闇に煽ったりすることは慎んだほうがいいと思う。ネットを毛嫌いしている人種には喜ばれるかもしれないけど。

カルトの泉~オカルトと猟奇事件~

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ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)

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