唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

『知泉PART2元祖「ヘェ〜」939連発』と唐沢俊一のネタの重複について。

 雑学庫知泉の主宰者である杉村喜光氏の著書『知泉元祖「ヘェ〜」716連発』(二見書房)と唐沢俊一の著書の間に重複したネタが多いということは、8月2日の記事と、8月6日の記事で紹介したが、今回は続編である『知泉PART2元祖「ヘェ〜」939連発』(二見書房)と唐沢の著書で重複しているネタを紹介することにする。なお、くりかえしになるが、これは「ネタの重複」の指摘であって「ネタのパクリ」の指摘ではないということに注意していただきたい。文中、『知泉PART2』の文章は青字で、唐沢の文章は赤字で表記している。なお、『トンデモ一行知識の世界』『トンデモ一行知識の逆襲』はちくま文庫版に依拠している。



「四つ葉のクローバーを持つと幸せになる」というのは黒魔術。(『知泉PART2』P.9)
四つ葉のクローバーは本来黒魔術に使うもので、他人に見せて「お前の不幸と引き換えに自分は幸福を得る」という意味がある。(『唐沢先生の雑学授業』P.61)
※『知泉PART2』では、「四つ葉のクローバーを他人に見せると相手の幸福を奪い取って自分のものにできる」と説明されている。なお、『唐沢先生の雑学授業』では、この後クローバーに関するガセビアが披露されている。詳しくは『トンデモない一行知識の世界』を参照。


AVのタイトルで「女子高生」はダメだが、「女子校生」はOK。(P.20)
ビデ倫日本ビデオ倫理協会)の規制で、アダルトビデオのタイトルには「女子高生」を使ってはいけない。
そのため、代わりに「女子校生」を使う
。(『史上最強のムダ知識』P.76)


推理小説などで、青酸カリの臭いを「アーモンドの香り」というが、この香りは一般的な炒ったアーモンド種の香りではなく、果肉の香りなので普通の人にかぎ分けることは難しい。(P.35)
唐沢●(前略)推理小説ではもう、“被害者の死体からは青酸カリを飲まされた者特有の、甘いアーモンドの香りがプンとした”なんて表現が定番だし。
おぐり●あ、あれ読むたびに、“おいしそう”と思っちゃって。アーモンドチョコ、食べたいな。
(『雑学授業』P.33)
青酸カレー事件というのが話題になったが、青酸カリの仕込み場所の二大定番がこのカレーとチョコレートだという。理由は、青酸カリという薬品にはかなり強烈な刺激臭 (よくアーモンドの匂いに例えられる) があり、普通の食べ物に混ぜ込んでも、すぐに匂いでばれてしまうからだという。カレーはその刺激臭を香辛料でごまかすことができるのでよく利用されるのだ。 一方、チョコの方は、アーモンドが中に入っているのが普通なので……。(『裏モノの神様』P.74)
※これは『知泉』が正しく、唐沢が間違っている。詳しくは『トンデモない一行知識の世界』の「青酸な殺人現場?」「青酸カリーというメニューのある食べ物屋もあるそうだが……」を参照。


ロイシーサリバンという人は生涯7回落雷にあい生き延びた不死身の人だった。その人は落雷で死なず失恋で自殺した。(P.38)
かと思うと、ニューヨークの公園管理人ロイ・サリバンという人は、勤務中に7回も雷の直撃を受けた経験を持つが、軽いやけどを負った程度でけろりとして生きている。(『唐沢俊一の怪コラム 知らなきゃ良かった!』第六回「なかなか死ねない話」より )
※このネタについては『トンデモない一行知識の世界』を参照。


宝塚少女歌劇の第1回公演の演目は、桃太郎が原作の「ドンブラコ」。(P.42)
宝塚少女歌劇の第一回公演は『桃太郎』を原作にした『ドンブラコ』だった。(『トンデモ一行知識の世界』P.67)


クマの語源は「クマッ」と鳴くことからという説がある。興奮したクマはそんな風に鳴くらしい。(P.56)
クマは「クマッ」と鳴くからクマという名前になった。(『雑学授業』P.11)
※『雑学授業』での説明。「ところがな、クマというのは興奮するとカン高い鳴き声になる。山の中でいきなりクマと遭遇すると、人間は驚くが、クマもやっぱり驚く。そういうときの声はトーンが高くて、聞きようによってはクマア、と聞こえる。それでクマと呼ばれるようになったというんだな。」


医学的定義では便秘とは3日以上排便がないこと。つまり2日目までは便秘ではない。(P.73)
現代医学では五日以上便通がないことを便秘という。(『トンデモ一行知識の逆襲』 P.128)
※これは『知泉』が正しく、唐沢が間違っている。詳しくは『トンデモない一行知識の世界』を参照。


パラグアイの国旗は表と裏の絵柄が違う。表は星、裏はライオン。(P.97)
普通、国旗には「裏面」というのはないが、サウジアラビアの国旗には「裏面」がある。(『逆襲』P.182)
※またしても『知泉』が正しく、唐沢が間違っている。しかも、唐沢は間違ったネタを使いまわしている。詳しくは『トンデモない一行知識の世界』の
「国旗ネタを克己心なしで扱うと……」「セルフ劣化コピーの国旗ネタ」を参照。


新潟県の県名は相撲の勝敗で決められた。(P.121)
旧「新潟県」と「柏崎県」が統一されて現在の新潟県になるとき、どちらの名前を残すかでもめて、結局、両県知事が相撲をとって決めた。(『トンデモ一行知識の世界』P.21)
※これについては『トンデモない一行知識の世界』を参照。


トンネルにも入り口と出口がある。鉄道の場合は下り電車が入っていくほうが入り口。(P.133)
トンネルにもちゃんと入口と出口があること知ってる?
あれはねえ下り電車がはいっていく方が入口なんだよ
つまりすべてのトンネルは東京から周りに向かってのびていくわけだね
(『脳天気教養図鑑』P.8〜9)
※追記。『トンデモない一行知識の世界』で書かれているように、東京を起点にしていない路線もあるのだから、唐沢が言うように「すべてのトンネルは東京から周りに向かってのびていくわけ」ではない。


時代劇で火打ち石を打ちつけて無事を祈るシーンがあるが、この儀式が考え出されたのは明治時代。(P.167)
時代劇でおなじみ「切り火」の習慣は、実は明治時代に広まったもの。(『ムダ知識』P.178)
※このトリビアに続く「マッチの普及で売り上げが落ちた火打石業者が考え出した習慣」「明治20年以降に広まった」という説明も重複。



 …とりあえず現時点で発見できているのは以上。気がつくのは最初の『知泉』に比べると重複したネタが少なくなっていること。10個程度のネタの重複なら有り得るかも知れないと思うが、やはり、最初の『知泉』と唐沢の著書との間に30個以上のネタの重複があるのは奇妙である。そして、『知泉』の方のガセが少なくなっている(唐沢は相変わらずだが)。
 ちなみに、杉村氏は現在単行本を準備中とのこと。楽しみにして待ちたい。

知泉〈PART2〉―元祖「ヘェー」939連発

知泉〈PART2〉―元祖「ヘェー」939連発