唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

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●今回の『電脳なをさん』に出てくる不思議の国のアリスがとても可愛らしかった。怖がらないで、僕のアリス。


『幽』VOL.16掲載の唐沢俊一『漫画についての怪談(アヤシイハナシ)』第16回は、陽気幽平『恐怖の爪』を取り上げていた。『恐怖の爪』については「イヌノキュウカクPOP!」を参照してほしい。唐沢はこの作品を「粗雑系精密描写」などと褒めてるのか貶してるのかよくわからないワードを交えつつ紹介しているのだが、そのうえで戦争と怪談の関連性について論じている。『幽』P.341より。

 この『恐怖の爪』を現在の目で見たときに、非常に興味深い要素のひとつは、この主人公・松山の狂気が、そのまま、戦後の日本の狂気になぞらえられることである。つまり、南方進出に失敗して日本に無一文で逃げ帰り、やがてそこで成功を収めるが、次第に高度経済成長という名の狂気に取り憑かれていく。それは、かつての侵略戦争のときに受けた“呪い”の結果と呼ぶべきものである……と読めるのである(侵略史観については昭和三十年代に最も流布していた通説である、と理解していただきたい)。

 日本の怪談は基本的に因果応報譚であるが、この思想は敗戦後の日本人に、その戦後の生活がいかに苦しくとも、
「まあ、あれだけのことを戦時中にしたのだから、今苦しくても仕方がない」
 と自らを納得させ、敗戦の屈辱と悲哀を心理的にやわらげる効果を与えた。進駐軍が、最初はかなりの抵抗を予想していた日本人の、あまりの従順さに拍子抜けした、というのも、この因果応報思想が関係していると言えるだろう。

 「侵略史観」についてわざわざ言い訳しているのが可笑しい。『恐怖の爪』の主人公は同じ日本人を死に追いやって自分だけ生き残ろうとしたのだが、それを踏まえると、唐沢の言う「呪い」「あれだけのこと」というのは、「外国を侵略したこと」よりも「同胞を犠牲にして生き延びたこと」の方に重点が置かれたものなのだろうか?と少し考えてしまった。
 …しかし、本当に考えさせられたのは、この文章の続きである。同じくP.341より。

そう思うと、戦後と怪談はなお密接に関係していると言えよう。ただし戦後六十五年を閲して、いままた壊滅の危機に瀕している日本人が、その壊滅のとき、松山のように喜んで死ねるか、いささか疑問ではあるものの。

 …えーと。現時点で日本人が「壊滅の危機に瀕している」とは自分は思わないんだけど、いったい何が「壊滅」しようとしているのか。東日本大震災のさらなる余震が起こるというのか、福島第一原発の事故がより深刻化するというのか、はたまた日本経済が破綻するというのか、自分なりにいろいろとクライシス的状況を考えたものの、どうもピンとこない。唐沢俊一は何か根拠があってこーゆー話をしているのだろうか。
 もちろん、そのはずである、というか、そうでなくてはならない。来月『トンデモ非常時デマ情報レスキュー』というタイトルの本を出す人が根拠もなしに日本人の「壊滅の危機」を唱えたりはしないだろう。それに唐沢は風評被害を恐れて、「時には沈黙を」と呼びかけていた人でもあるのだ。
 おそらく新刊の中では日本人の「壊滅の危機」について具体的に語られていることだろう。ぜひとも詳しく教えていただきたい。


●おまけ。『幽』VOL.16の唐沢俊一のプロフィール欄で、

『スゴ怖スポット』

という間違いを発見したり。

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