唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

題名を覚えない盗作家。

 『社会派くんがゆく!』vol.81で、唐沢俊一村崎百郎間瀬元朗イキガミ』(小学館)の盗作疑惑について触れている。まずこの2人が盗作について触れている時点で噴飯物である。唐沢の『新・UFO入門』盗用事件について『社会派くん』ではまったく触れられなかった。どうやら諸般の事情でカットされたらしく、村崎は「必ず公開する」と言っていたが、いまだに公開される様子は無い。まあ、それも無理は無い。唐沢なをき『まんが極道』2巻(エンターブレイン)を絶賛しているくせに、何故か一番の問題作である「パクリ!」(盗作した人間の弟が盗作をテーマに漫画を描いてるんだから凄い)について全く触れなかった村崎百郎からしょうがないのかもしれない(この件については9月8日の記事を参照)。これが「鬼畜」「電波」とは聞いて呆れるが、内容自体もどうしようもないものなのである

村崎 訴えてるっていやあ、今度映画にもなる漫画『イキガミ』の内容が星新一の小説の内容に酷似しているって、星さんの娘が抗議しているって話もあったよな(★19)。

唐沢 「生命維持省」だっけ。オレも好きな作品で、『イキガミ』読んだときに確かに元ネタはこれだなとは思ったけど、かなり底に潜り込んであるアイデアなんで、これが真似だっていうんだったら、こういう国家による人民管理の怖さを描いたディストピアSFは、今後もう書けなくなっちゃうよ。

村崎 オレも星さんの愛読者だったけど、星さんのその手の話なら「白い服の男」とか、火星の死刑囚がいつ爆発するか分からない銀の玉を持たされて放置される話の方が好きだな。ていうか、それ以前にこの『イキガミ』って漫画、オレには全然面白くもなんともなくてさ(笑)、単行本のオビに読者の感想として「泣きました」とか書いてんの見て「はああああ? こんな漫画のいったいどこで泣けばいいのぉ?」って一瞬真剣に悩んだよ。あんなに先が読める企画書みたいに退屈な漫画のどこでどうやって泣くの?

唐沢 まあ、今の人たちは何にでも泣きたがりますから(笑)。

村崎 だから、つまんなくて映画にしてもヒットしようもない内容だから、星新一の遺族まで巻き込んで話題作りをしようとしてるんじゃないかとか、いらん想像までしちゃったよ。だいたい星さんの面白いショート・ショートと、こんなつまんねえ漫画を一緒にされること自体、不愉快だから、娘さんもどうでもいい抗議なんかしないでほしいよなあ。ついでに言うと、同じ荒唐無稽で「命の大切さが云々〜」を問題にした漫画なら、同じ小学館の「月刊IKKI」に連載中の鬼頭莫宏の『ぼくらの』の方が、説教臭さが鼻につくのを差っ引いても数段上ではるかに面白いから、そっち読んだ方がいいぞ。なんにしてもこの問題は『イキガミ』のつまらなさだけが目立って、星さんの娘さんが気にしすぎって気もする。

唐沢 亡くなった人気作家の版権管理でいちばんうるさいのは娘だっていうからね(笑)。父を神のごとく尊敬しているから、父の名誉を汚すものは許さない、みたいなね。

村崎 それも世襲制的なものの弊害かねえ……でも世襲っていえば、星さんの場合は読者も世襲っていうか、たとえばウチなんか田舎の実家に置いてきた星新一さんの文庫本を、遊びに来た中学生の甥や姪たちが読んでハマって、ほとんど持ち帰って全巻読破しっちゃったみたいで、名作ってのは本さえ残しておけば時代を超えて読み継がれるものなんだよねえ。ま、『イキガミ』もそんなふうに読み継がれていくなら本物なんだろうけど、どうだろうねえ(笑)? (後略)

唐沢俊一は本当にどうかしている。今回盗作されたのではないか?と問題になっている星新一の小説は『生活維持省』である。タイトルを間違えてるってどういうことだ作者と主人公の名前を間違えていたライ麦畑でつかまえて』の紹介をある意味超えたのかも(詳しくは10月11日の記事を参照)。しかも「オレも好きな作品」ときた。好きな作品のタイトルを間違えるか?「『イキガミ』読んだときに確かに元ネタはこれだなとは思ったけど」って本当か?タイトルすら間違えて覚えているのに?
…まあ、これに関してはうっかりミスということも考えられる(しかし、『社会派くんがゆく!』は後々書籍化されるのだから「うっかりミス」だって許されないと思うが)。問題はむしろこの後の「これが真似だっていうんだったら、こういう国家による人民管理の怖さを描いたディストピアSFは、今後もう書けなくなっちゃうよ」という発言なのかも知れない。…どうしてこういう風に煽るようなことを書くんだろう?イキガミ』と『生活維持省』が具体的にどの程度似ているかということが問題なのであって、一般論(それもかなり的外れな)を言ったってしょうがないではないか。唐沢は月刊「ラジオライフ」11月号掲載のコラムでの盗用が指摘されたときも「元になる事件が同一である場合に、ニュース紹介サイトと類似の表現等が出てくることは避けられない場合があると思います。」という一般論でごまかそうとしていたが、もっとちゃんと問題を調べてみろと言いたい。少なくともアイディアが単純に似ているだけの問題とは言い切れないのだ。まあ、盗用した人間としては、疑惑をかけられた側をかばいたいのはわかるけれども。あと、星新一のお嬢さんのこともバカにするような言動をしているのも問題だろう。
 それから、またしても殺害された子供についてネタにしている(前科については唐沢俊一まとめwiki参照)。

村崎 それから別に親による子殺しじゃないんだが、子供が殺された事件ってことで話題なのが、千葉県東金市で保育園の女の子が全裸で殺されていた事件(★9)。この子の名前が「幸満」ちゃんで“ゆきまろ”って読むんだけど、どうしても“コーマン”って読んじゃうんだよな〜(笑)。

唐沢 “まろ”ってのは「麿」「麻呂」からとっているんだろうけど、これも実は語源は“摩羅(男性器)”から来てるんだからね(笑)。こう言っちゃナンだけど、少しは子供の名前をつけるの、考えてほしいよなあ。

村崎 いや、気持ちはわかるんだよ、“幸せに満ちた”人生を送ってほしいってことなんだろうけど、客観的にはどう見ても“ゆきまろ”って読めないで、音読みで“コーマン”なんだよ(笑)。おそらくネットでは“コーマン”って書かれまくりだろうし、殺されたことよりもむしろ、こっちの方が可哀想で同情しちゃったよ。それにしてもこれ、性的な暴行をされた形跡もないし、この手の事件では珍しく、ロリ犯罪の匂いがしないのもポイントだよな。ただ単に殺してから服を脱がせて、路上に放置しただけみたいだもの。

唐沢 なんだろう、単に服が欲しくて殺したのかね(笑)。

村崎 ところがその服も、コンビニの袋に入った状態で投げ捨てられていたらしい。続報もいろいろ出てくるんだけど、いまだに謎めいているよね。時期が時期だけに家族関係が疑われたらしいけど、お母さんはごく普通の看護師だし、これは子殺しやロリ犯罪とは関係ない、怨恨関係か、あるいは自分の犯罪を世に誇りたいだけの目立ちたがりの犯行なんじゃないかと。

唐沢 どうもシリアルキラー系の犯罪っぽいよね。でも、しつこいようだけど、犯罪内容云々より、この「幸満」って名前だけで、他のディテールはどうでもよくなっちゃった、個人的には(笑)。

 唐沢は殺害された子供の名前について「裏モノ日記」9月22日でもネタにしている。

福岡の男児誘拐殺害事件が母親の犯行、というニュースに
引き続き千葉県で女児が遺体で発見というニュース。
憎むべき、あってはならない事件である、と胸をいためる
一方で、女児の名前が幸満、というところが脳の別の部分で
ひっかかる。しかも読みが“ゆきまろ”(まあ、直の音読みで
ないだけマシだが)。
まろというのは“麿”“麻呂”から来ているのだと思うが
こういうことを言うのも何だが、“まろ”は“まら(摩羅。男性器)”
が語源であり、男児を表す呼称である。
子供の名前に関してはもう少し気をつかってほしいと
つくづく思うんである。

 これについては「ふりだしにもどる」さんが怒っておられる。

痛ましい事件に『憎むべき、あってはならない事件である、と胸をいためる』とした直後に、被害者の女の子の名前がおかしいといちゃもん&雑学(正しいのか?)披露。これでよくも『胸をいためる』などと言えたものである。きっと同じ事を『社会派くん』で言うに違いない。以前にも殺された幼児について無茶苦茶な暴言を吐いていた(鬼畜という設定なら何を言ってもいいのか?)だけにその確率は高いかと思うとうんざりしてくる。

お願いだから、殺された子供をネタにするのはやめてくれ。

 本当にどうして被害者をネタにするんだろう。「犯罪内容云々より、この「幸満」って名前だけで、他のディテールはどうでもよくなっちゃった、個人的には(笑)」って…。しかも、これは雑学としても間違っている。「摩羅」というのは仏教に関係した言葉だが、「まろ」という言葉は仏教伝来以前からあったのだから。以下は『古事記』中つ巻「応神天皇」にある「国主歌」(くずうた)の一節である。

白檮の生に 横臼を作り
横臼に 醸みし大御酒
うまらに 聞こしもちをせ
まろが父

 この場合の「まろ」とは一人称であり、「まろが父」とは天皇のことである。このことについては「トンデモない一行知識」さんも取り上げているので参考にして欲しいが、雑学を間違えたうえに人としてどうかと思われる言動をとっているとは救いようが無い
 そして、母親の子殺しについて発言しているところもヘンである。

唐沢 これ、冗談じゃなくてさ、自分に課せられた生物としての使命、というものを簡単に捨てられるような日本人が、異様に増えてきちゃったってことなんだよ。何べんもこの連載では言ってることだけど、「自分がいちばん大事」という個性尊重教育を植えつけられた親に、子育てなんてできるわけがないの。今までは日本人全体が「家庭を守れ」というスローガンを信奉していたからこそ、子供が育つことができたんだ。もともと人間って、他の動物とは比べ物にならないほど、子供を育てるのに時間と手間がかかる生物で、生まれてしばらくの間は自分で排泄の処理もできない動物なんて他にいないよ。これは将来、脳を発達させていくために、あえて未熟児の形で生まれてくるってことでしょ。生まれたままの人間ってのは人間でも何でもない、単なる生き物、でね。親がしっかり育てて初めて人間になれるんだ。

村崎 サルはどうなの? あれも親がいないと子供はエサも手に入らないし、排泄もできないよね。

唐沢 でも、サルの子供は産まれたときからもう首が座っていて、自分で母の胸の毛にしがみついて、乳を自分で吸う。母親の方で赤ん坊に乳を与えてやらないと飢え死にする動物なんて人間だけだよ。だからいかに親が心身の病気を抱えていようと、それと子育ては別問題、生まれてきた子供を育てるってのは、もう生物としての人間に課せられている義務だと考えたほうがいい。

 唐沢が適当なことを言って、村崎百郎に突っ込まれてあわてて弁解しているのが笑える。しかし、たかだか「個性尊重教育」を受けたくらいで「生物としての人間に課せられている義務」が無くなるものだろうか?唐沢がいつもバカにしている出来の悪い保守派の論客みたいな言い草だ(もちろんちゃんとした保守派の人はそんな雑なことは言わない)。というより、保守とかリベラルとか鬼畜とかオタクとか、そういう区分け以前に、頭が悪いというのはどうしようもないということなのかもしれない

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