瞑眩・ベッケナーはラーディッシュの艦長。
「トンデモない一行知識の世界」で唐沢俊一が『カルト王』(幻冬舎文庫)で漢方の「瞑眩」(めんけん・めんげん)が「副作用にあたる」とガセを書いてあることが取り上げられている(それにしても『カルト王』のカバーは今見るとキツいな)。実は同じことが『薬局通』にも書かれている。『薬局通』P.246〜247
副作用とはあくまで、その薬が体に作用する段階で副次的に出てくるものにすぎない(その、作用と比較した場合の大きさが問題にされるわけである。キノホルムのように、下痢は止まったがスモン病になった、というのは本末転倒であるから問題になるのだ)。したがって、軽い副作用なら、むしろその薬が体に作用しているという信号だと思えばいい。漢方では、そういう副作用を瞑眩と呼び、これがないような薬は効かない、とまで言う漢方医もいるくらいだ。まあ、それは言い過ぎにしても、副作用に妙に気を使うのはやめた方がいい。抗ヒスタミン剤から、眠くなるという副作用をとったら、効かなくなってしまうのだ。
まず「瞑眩」は漢方における体が治っていく過程で一時的に生じる症状であり、漢方以外の分野では好転反応と呼ばれている。「副作用」は薬品本来の効果とは異なる作用が起こることである。…全然別の話じゃないか。にもかかわらず、唐沢は「瞑眩」と「副作用」を同じようなものとして扱っているのだからどうしようもない。「軽い副作用なら、むしろその薬が体に作用しているという信号だと思えばいい」って副作用が出ないに越したことは無いに決まっている。実家が漢方薬を扱う薬局をやっていて、大学で薬学も学んだ人がどうして「瞑眩」も「副作用」もきちんと理解していないのか不思議で仕方ない。
実は「瞑眩」と「副作用」について誤った知識を持っていると大変なことになりかねない。悪徳商法で薬を買わされた人が服用しているうちに副作用が出てきたのでクレームをつけたら「それは好転反応ですよ」とごまかされてしまうことがあるというのだ。一時的なもので後から良くなると言われて金銭的な損失と健康上の被害が大きくなってしまうこともあるらしい。薬や医療について間違った情報を書く罪はきわめて大きい。
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