ローゼン名言。
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新年あけましておめでとうございます。
水木しげるが「今年亡くなった」としているのはさておき、注目すべきなのは、
そして、せっつかれている書き下ろしも予定が二冊……。
出版ラッシュキタワァ。まあ、2014年11月にも「複数の企画が進行中」とあったわけだけど(2014年11月8日の記事を参照)。今度こそ!
初仕事(取材)一時間。寿司文化について。関西の押し寿司文化が江戸に入り、気の早い江戸っ子に合わせて握り寿司になった、とグルメ本に書いてあるが、これは眉唾。白身魚を好む関西に対し、ヒスチジンの多い赤身魚を好む江戸では、傷まないうちに出来るだけ早く食べる必要性があったということでは。
で、SMAP解散騒動をスクープした『週刊新潮』1月21日号P.108〜109に掲載された『東京情報』第150回のテーマは「寿司と手袋」であった。…もう隠さなくてもいいんじゃないかなあ。連載3年目なんだし。今回の記事の締めは以下のようになっていた。
寿司は伝統芸能である。その価値がわからないアメリカ人から見れば、「寿司なんて白米に刺身を載せただけ」と見えるのかもしれない。
もっとも日本にもそれに近い「高級寿司屋」があり、一部でもて囃されているのは事実である。
もはや、精神を含め、日本はアメリカの属国になっているのではないか。
デンマンさんは初笑いにもってこいだな。極論大好き!
●今回は唐沢俊一が冬コミで頒布した同人誌『演技名言集(以下略)』を紹介する。タイトルを略したのは正式なのがやたら長ったらしいからである。公式サイト、とらのあな、COMIC ZINで入手できるので、興味のある方はどうぞ。
内容は、演技にまつわる名言を演劇人向けと一般人向けの解説を付して紹介するものになっている。P.2のまえがきによると、
幸い、以前から役者や演出家の書いたものを読むことは好きだった。そういうものや、ネットなどから、演技の参考になる言葉、演出の指針になるような言葉を抜き出してメモしておいたものに、幾ばくかの私なりの考察をつけてまとめたのが本書である。
とのこと。それなら、出典を明記してほしかったところだが、残念ながらない。
以前にも書いたことだが、唐沢俊一は以前『ダメな人のための名言集』(幻冬舎文庫)を出しているので、今回の同人誌も商業出版まで持っていけばよかったのに、と思う。もしくは名言つき日めくりカレンダーにすればよかったのでは。『まいにち、修造!』『ほめくり、修造!』(ともにPHP研究所)がヒットしているというから。毎朝トイレに入るたびにカレンダーの名言を見てなんとなくいい気分になるというのは悪くない。
…個人的には名言というのはその程度の効能があればいい、と思っている。言葉は受け手の態度でいくらでも変わるもので、素晴らしい名言が耳の前でUターンしてしまったり(入ってきさえしない)、ありふれた文句が響いてしまったりする。名言を紹介するのはいいとしても、紹介している人間がそれに見合うだけのふるまいができていないと説得力に欠ける、というのも確かだろう。『演技名言集(以下略)』の中で唐沢は最近の若者の自己承認欲求の強さを論じているが、当の唐沢自身が自己承認欲求の強い人なので妙な気分になる。
さて、『演技名言集(以下略)』の表紙には、シェイクスピアの「人生は舞台、人はみな役者」という名言(ちなみに出典は『お気に召すまま』)とともに、唐沢俊一の「生きている限り、人は自分を演じ続けなければならない」という名言も載っている。劇聖と称される人物と並んじゃうあたりお茶目さんというかナイス度胸だが、自分は唐沢さんは演じるのをやめてもっと素を出していったほうがいいと思っている。「雑学王」「鬼畜」といった実像に合わないキャラを演じているから無理が出るのであって、それを取っ払ったらみんなに愛される愉快なおじさんになれると思う。あと、シェイクスピアの名言になぞらえるならば、人は役者であると同時に観客でもあって、みんな大根役者のくさい芝居なんか見たくもないのである。演技しないほうがマシ、ということだって有り得るのではないか。
唐沢俊一の本に誤字はつきもので、残念ながら今回もいくつか見受けられた。その中からひとつだけ紹介しておく。P.19より。
(前略)実際、彼女がその半生を綴った自伝はベストセラーになった。日記スキャンダル当時、社会の敵のように非難された頃に比べ、自伝の段階ではそれも含めて賞賛・あこがれへと変化する。(後略)
「日記スキャンダル当時」ってなんなんだろ。
今回の同人誌で一番面白かったのは、P.2のまえがきで演劇に携わるようになったいきさつを書いた部分である。
芝居の世界に飛び込んだのは、『トリビアの泉』が有名になって(それはたいへんにありがたいことだが)、来る仕事来る仕事がどれもこれも雑学関係になり、他の記述がまったく出来なくなってしまったことが理由のひとつである。創作とか評論とか、もっとやってみたいと思っている分や(原文ママ)は山ほどあったのだが、どこにどんな企画を持っていっても、「とはいえ、まずカラサワセンセイには雑学ものを一冊書いていただいて」となる。レナード・ニモイがミスター・スポックという当たり役を得て、その後他の役がやりたくてもできなくなり、ヤケで自伝のタイトルを『私はスポックではない(I Am Not Spock)』としたのもよく理解できるような状況であった。
当分、文筆業ではこの大いなる看板を外すことは出来ないとさとって、「なら、もうひとつ別な看板を掲げてしまおう」と思い、学生時代から好きだった舞台の世界に飛び込んだのである。
本当に『トリビアの泉』のヒットが運命の分かれ道だったんだなあ。「『トリビアの泉』がなかったら唐沢さんは今でもライターをやってたんじゃないか?」と以前妄想をたくましくしたことがある。あれで知名度が上がっちゃったから検証もそれなりに注目されてしまったわけで。もしくは、雑学一本でやっていこうと決心していたらまた現在とは違うありようだったかもしれない。
ただし、雑学の仕事しかできなくなってしまった、というのは疑問で、雑学しかできないというのなら例の『新・UFO入門』だって出せていないはずである。『猟奇の社怪史』(ミリオン出版)のような鬼畜本も出している。まあ、今なら自由もきくはずなので創作や評論を手がけてほしいと思っている。唐沢さんは嫌かもしれないが演劇関係のトリビア本も書いてみたらどうだろう。
その続き。
最初は役者のまねごとから始めたが、40代も半ばになってからでは基礎が出来ていない。個性だけはあったと見え、幸い声をかけていただいて特別出演という形で10本以上の舞台に出、他の劇団から誘われての客演も何度かしたが、やはり演じていてもどかしい。きっぱりと役者はあきらめ、自分のユニットを立ち上げての演出へと転じた。もちろん、こっちも独学である。
この部分を読んでいて疑問に感じたのは、「舞台の演出ってそんなに簡単に出来るものだろうか?」ということ。自分は舞台に詳しくないが、演出をするにしてもそれなりの修業が必要だと思うのだが、独学でどの程度やれるものだろうか。役者の基礎は出来ていないけど演出の基礎は出来ていた、ということだろうか。過去に上演中に怪我人が出ていることを考えても不安にならざるを得ない(旧公式サイト)。
ちなみに、唐沢俊一はこんなツイートをしている。
昨日、稽古場見学の人にキャスティングを褒められて意を強くする。演劇人としての私は、脚本・演出は未熟だが、キャスティングに関しては当代で五本の指に入ると自負しているのである(笑)。
「当代」というのはすごい。演劇関係者は唐沢さんにキャスティングを依頼すべし。
『演技名言集(以下略)』は続編を予定しているらしいので、それは商業出版で見たいものである。
あと、今日から唐沢俊一ユニットの新しい舞台があるので興味のある方は行ってみよう(公式サイト)。
やっぱ『聖少女領域』だな。
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