唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

俊ちゃんの戯夢人生。

タコシェで既刊『唐沢俊一検証本VOL.1』『唐沢俊一検証本VOL.2』『トンデモない「昭和ニッポン怪人伝」の世界』『唐沢俊一検証本VOL.3』『唐沢俊一検証本VOL.0』「唐沢俊一検証本VOL.4」の通販を受け付けています。タコシェの店頭でも販売しています。
・初めての方は「唐沢俊一まとめwiki」「唐沢俊一P&G博覧会」をごらんになることをおすすめします。
・当ブログにコメントされる場合には誹謗中傷および個人を特定しうる情報の掲載はおやめください。守られない場合には厳正に対処する可能性があります。
・1970年代後半に札幌でアニメ関係のサークルに入って活動されていた方、唐沢俊一に関する情報をご存知の方は下のメールアドレスまでご連絡をお願いします。
karasawagasepakuri@yahoo.co.jp



7月29日11時からTBS系列で放送されたひるおび!内のコーナー「常識クイズ どっちがホント!?」に唐沢俊一が解説役として出演していた。いつもは解説以外あまりしゃべらない唐沢だが、今回は珍しく自分から積極的に発言していた印象。



●現在発売中のビッグコミックオリジナル ゴジラ増刊号』唐沢なをき『がんばれぼくらのメガロゴジ』という短編マンガが掲載されている。『ゴジラ対メガロ』の撮影風景をユーモラスに描いた内容になっているのだが、話の後半に見学にやってきたちびっこ新聞の記者たちが初代『ゴジラ』を持ち上げながら『ゴジラ』シリーズが子供向けになったことについてネチネチとイヤミを言うシーンがあって、ある意味「特撮極道」とでも呼べる作品になっている。
 …で、このちびっこ達の言動が唐沢先生(本物)のお兄さんをモデルにしているのではないか? と思われている方ももしかしたらいらっしゃるかもしれないが、自分としては違うような気がする。何故なら、例の『ぴあ』での「ガンダム論争」で、お兄さんは初代『ゴジラ』を批判しているのだ(2008年11月18日の記事を参照)。森卓也の影響を受けて着ぐるみ否定派だった当時のお兄さんが『ゴジラ』を認められなかったのは必然なのかもしれないが、いずれにしても『がんばれぼくらのメガロゴジ』のちびっこ達とは違っている。描いたものをいちいちお兄さんと結びつけるのは弟さんにも迷惑だろうから、自分としてはその辺は気をつけるようにしている次第。
 『ゴジラ』シリーズが子供向けになったことへの批判なり落胆なりはよく見かける意見であって、現に『ゴジラ増刊号』で浦沢直樹がそのような趣旨のマンガを描いている。あと、当ブログでしばしば取り上げる「オタク座談会」でも岡田斗司夫山本弘がリアルタイムで『ゴジラ』シリーズを追いかけているうちにフラストレーションが溜まっていった旨を語っていた(2011年11月27日の記事を参照)。自分などは物心ついた時点で『ゴジラ』シリーズは既に子供向けになっていたので、彼らの感懐には正直共鳴できないのだが、昔からの特撮ファンがそのように感じるのは無理からぬ部分もあろう、とは思う。
 だから、今回の漫画は唐沢なをきによる自らを含めた特撮ファンへの「自分ツッコミ」と見るのが妥当ではないだろうか。過去にも唐沢なをき『怪獣王』ぶんか社)で、

みたあとは喫茶店で「反省会」。エラそうに何だおまえらは


合成がバレバレだな
あの役者イモだな
いやだからあの作品のいわんとするところは

 というセリフ入りのイラストを描いている(P.41)。唐沢なをきの可愛らしい絵柄と「エラそうに何だおまえらは」という的確なツッコミがよくマッチしていて見るたびに笑ってしまう。温厚に見える唐沢なをきでも毒を吐くことはあって、『月刊少年キャプテン』のイラストコラムでは平成ゴジラを皮肉っていたし(『唐沢商会のマニア蔵』収録)、『怪獣王』でも二代目ゼットンに厳しい態度をとっていた。個人的にはあれはゆるキャラだと思うことにしているのだけど。ヒャッハー! 一兆度火球ブシャー!(初代の技だけど) …それでも、「自分ツッコミ」を入れる余裕があるおかげで見る人に嫌な感じを与えずに済んでいるのではないか? という気がする。ちなみに、『コミックビーム』最新号に掲載されている『まんが家総進撃』は唐沢問題とはあまり関係ないはずだが、読んでいるうちにかなり胃が痛くなる内容だった。



 さて、唐沢先生のお兄さんに話を戻すと、彼はプロになった後で「初代『ゴジラ』は出来の悪い作品だが、御霊信仰を描いていたために日本人に受け入れられた」なる理論を唱えて『ゴジラ』を擁護している。作品への評価そのものを変えずに批判から擁護に転じているのが奇妙でしかないが、その理屈のおかしさは過去にも何度か指摘しているのでここでは繰り返さない。ただ、現在公開中のギャレス・エドワーズ版『ゴジラ』には福島第一原発の事故を想起させるシーンが登場するうえに広島への原爆投下にも言及されている。それから、先日WOWOWで放送されたイギリス・BBCのドキュメンタリー番組『決定版! SF映画年代記』(来週再放送される)の中でも、フィル・ティペットが初代『ゴジラ』について広島・長崎への原爆投下を関連させて語っていた。だから、御霊信仰なんてものをわざわざ持ち出さなくても『ゴジラ』は十分に普遍性を得た作品になっていると思うのだが。ちなみに、番組内では『原子怪獣現る』の後で『ゴジラ』を取り上げる流れになっていた。



●本題。7月14日24時25分からテレビ朝日系列で放送された『言いにくいことをハッキリ言うTV』唐沢俊一が出演していた。前回に続いて「テレビでは言いにくい怪しい新説スペシャル」での出演となったわけだが、唐沢は今回もやはりトンデモサイドの人間として登場していた。唐沢以外のパネリストはベンジャミン・フルフォード、はやし浩司の両氏で、唐沢は前回の飛鳥昭雄氏に続いて「と学会」でネタにされていた人と同じサイドに立つ格好になったわけだ。まあ、ツッコミサイドに川口友万氏がいたおかげで、「と学会」としてはトンデモとはなんとか一線を画せたのかも、と思ったり。
 番組の内容を簡単に紹介すると、まずベンジャミン氏の主張は「あなたのパソコンが感情を持ってしまう!?」というもの。要は性能が良くなりすぎたPCが勝手に動き出す、という昔からよく聞くSFチックな話なのだが、ウォール街も既に人工頭脳に操られていて、そいつがそのうち「利益を上げるのに人間が邪魔だから皆殺しにしよう」と考えるようになる、という話になるのがいかにもベンジャミン氏らしくて笑ってしまった。今回もツッコミサイドにいた伊集院光「ベンジャミンさんはクローンでバグっている」と笑われていたけれども。…というか、話を聞いていてスーパーコンピューターはやっぱり暴走して人類を滅ぼさないとダメだよね!」と心の底からワクワクしてしまいました。トランセンデンスしてナンボ、って感じ。暴走したなら三目並べで止めてやるぜ。…ただ、この場合目覚めるのは「感情」じゃなくて「自我」なんじゃないの? という気はするのだが。ちぃみたいなパソコンはいつできるのか。
 次にはやし氏の主張は「古代彫刻は3Dプリンターで作られた!?」というもの。どうしてそんな話になるのかというと、ミケランジェロが作ったモーゼ像(ウィキペディアを参照)とスミルナで発見されたゼウス像(これもウィキペディアを参照)が似ていて、またリアーチェの2つのブロンズ像(It's All Greek!を参照)が血管や傷痕まで酷似していて、そこまで似せるのは人間には不可能だからといった理由を挙げていた。そして、トール・ホワイトなる巨大な宇宙人が3Dプリンターを使って等身大の自分の像を作った、という結論に達していた。…しかし、モーゼ像とゼウス像に関してはそんなに似ているとは思えないし、ブロンズ像に関しては単に同じ型を使ったんじゃないのか? と思ってしまう。川口氏には「ミケランジェロ3Dプリンターを持っていたの?」と突っ込まれていたし、同じトンデモサイド唐沢俊一にも「小さい彫刻だってある」と突っ込まれていたのも当然である。はやし氏は「常識的に考えればそうなる」と繰り返していたが、それならばもっと穏当な結論にたどりつきそうなものなのだが…。世の中にはいろんな人がいるものだ。
 そして、最後に唐沢俊一が主張したのは「TVゲームが義務教育化される!?」というもの。主張をざっくりまとめてみると、現在の世界では国家間で互いをハッキングし合うヴァーチャルな戦争が行われるようになっていて、そのためにゲームが得意な人間を国が必要とするようになって、現に韓国では大学でTVゲームがカリキュラムとして取り入れられている、とかいう話だった。確かに韓国の大学ではゲーマーを優遇しているようだ(GIZMODOを参照)。…しかし、この手の話は実は昔からよく聞くものだ。「ゲームセンターでハイスコアを記録した人がスカウトされて何処かに姿を消した」とか「シューティング・ゲームには若者を戦闘機のパイロットとして鍛える目的がある」とか「テトリスは資本主義社会の人間を堕落させるために作られた」とか。今だったら「『艦これ』には若者を軍国主義に洗脳するねらいがある」みたいな話になるのかなあ、と思っていたら、『朝日新聞』にこんな投書があったらしい。かつての赤井邦道みたいなネタじゃないのか? と思ったが、もしかすると本気で怒る人もいるのかもしれない。『愛国戦隊大日本』再び、だな(『愛国戦隊大日本』をめぐる騒動については長山靖生『戦後SF事件史』に詳しく書かれている)。
 …ともあれ、唐沢俊一の話は具体性に乏しいのに加えて与太話としても面白みに欠けるものだった、と感じた次第。ベンジャミン氏やはやし氏のようにツッコミを入れられなかった、というのはむしろマイナスなんじゃないかなあ。出てくる人がみんな飛鳥昭雄やはやし浩司みたいにはじけていたら困るから一人くらいおとなしめの人を入れておこう、と番組側が配慮して唐沢をトンデモサイドで起用しているのだろうか。おとなしめでもトンデモはトンデモなんだけど。あと、唐沢本人はTVゲームをかなり軽視しているので(2010年10月12日の記事を参照)、何故このネタを取り上げたのか謎。『ファミ通』で連載を持っている伊集院光は当然として太田光も昔は結構なゲーマーだったと聞くので、ツッコミサイドの方がよっぽどゲームに詳しいのでは。一応書いておくと、川口氏は「音楽を流しながらトマトを育てるとどうなるか」などといったネタを披露して爪痕を残そうと奮戦していた。


  次回は番外編の予定。



宮ちゃんの戯夢人生

宮ちゃんの戯夢人生

怪獣王

怪獣王

GODZILLA ゴジラ OFFICIAL BOOK

GODZILLA ゴジラ OFFICIAL BOOK

子育てストレスが子どもをつぶす―子育てがうまくいく人失敗する人

子育てストレスが子どもをつぶす―子育てがうまくいく人失敗する人

戦後SF事件史---日本的想像力の70年 (河出ブックス)

戦後SF事件史---日本的想像力の70年 (河出ブックス)

あぶない科学実験

あぶない科学実験