唐沢なをき検証blog13.
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5月29日の記事のコメント欄で「普段はROMオンリー 」さんから以下のような情報を頂いた。どうもありがとうございます。
既にバックナンバーとなってしまいますが、コミックビーム13年5月号(4月12日発売)のまんが極道は十分「実録・唐沢兄弟」だと思いますが。なにしろ親に結婚しろとうるさく言われるのを避けるためにわざと××の様に振る舞う話ですから。一度ご確認を
「しまった、そういえば先月号をチェックし忘れてた」と慌ててバックナンバーをチェックしてみたところ、確かにいろいろと思い当たるフシがあったので、今回は『コミックビーム』5月号に掲載された唐沢なをき『まんが極道』第85話「ララァ 故郷に帰る」を紹介してみる。
『まんが極道』の名物キャラクター、夢脳ララァはいろいろあって(本当にいろいろありすぎるので詳しくは『まん極』1〜7巻をチェックしよう)にっちもさっちもいかなくなって実家へと戻ってくる。娘を心配した母親は見合い話をいくつも勧めるのだが、漫画家になる夢を捨てきれない彼女がそれを断ると、
好きなことだけして
生きていくつもり
なのか知らないけどね
世の中はそんなに
甘くないんだよ
と叱りつける(『コミックビーム』5月号P.256より)。
その後、ララァは弟とその友達を呼び出すなりこんなことを言い出す。同誌P.257より。
私は
これから
クズ人間を装って
親を失望させようと思う
人の道にはずれたクズを装うことで
この娘には何言っても無駄なのだ ということを
わからせるのだ
そして、ララァは実家で暴れまわって両親に自分が「クズ人間」であるとわからせようとするのだが…。オチはいつも通り壮絶。
さて、「ララァ 故郷に帰る」のあらすじを紹介したところで、『AERA』1998年9月21日号の巻頭記事「親の介護とイエ」の一部を紹介してみる(2009年2月19日の記事を参照)。
ある時は「おどおどした人格」になりすまし、ある時は癇癪を起こし、金切り声をあげる。親と口喧嘩を絶やさない。
最新刊に『トンデモ一行知識の世界』がある評論家、唐沢俊一さん(40)は二十代半ば、いかに薬剤師として役にたたないか、薬局経営に向いていないかということを親に示すために、徹底してダメ人間を装っていた。幸いなことに、人格を演じ分けるのは学生時代にイッセー尾形さんの芝居に取り組んでいたから、おてのものだ。母(65)はそんな息子の姿に大泣きし、大雪の中、外へ飛び出したこともあった。
大学にも行かないので、「とりあえず家の手伝いをしろ」と札幌に呼び戻された。
パソコンを導入して、処方箋の整理などで薬局を手伝った。
薬局にいれば、居心地はいい。従業員も「俊ちゃん」と可愛がってくれる。つい安住しそうになる。しかし、ここで踏ん切らないと中途半端になる。
安住を断ち切るために、自分をその場に居づらくするよう考えた。それで、思いついたのが「ダメ人間」演技だった。「こいつは薬局を継がせられない」と親に思わせる。ここまでやれば親も引き留めないだろうという限りを二年間続けた。結婚する相手が当時米国にいたので、毎日のようにエアメールを送ってもらい、「彼女がいないと生きていけない」とも力説した。
…というわけで、唐沢先生(本物)のお兄さんも「クズ人間を装って親を失望させよう」としたことがあった、とのことである。それにしても何度読んでもヒドい話である。「親の介護とイエ」を考えるにしてもこの話はあまりに特異すぎるんじゃないか? 記事にした『AERA』もどうかと思う。
「ララァ 故郷に帰る」には他にも興味深い点があって、ララァさんの弟が姉のことを
すげえウソつきなのよ
この姉ちゃん
と言っていたり(『コミックビーム』P.251)、ララァさんの「クズ人間」計画を聞いた弟の友達が、
親と完全に縁切りしよう とかは考えないんだな
卑怯
まさにクズ
と言っているのも(P.258)、上に引用した『AERA』の記事を考えると心に沁みるものがある。…そうなんだよなあ、二年間も「ダメ人間」の演技を続けるくらいならさっさと家を飛び出せばよかったんじゃないの?とどうしても思っちゃうんだよなあ。お兄さんの気持ちがよくわからない。もちろん、お兄さんはプロとして長年やっていた人なのだから、ララァさんよりはだいぶマシだし、「夢破れて実家に帰ってきた子供が演技をして親を困らせる」のがカブっているからといっても事実を元にしているわけではないと思う。『まんが極道』はれっきとしたフィクションだしね。
どうかお母さんを大切にしてあげてください。
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