唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

唐沢俊一『と学会誌』掲載リスト。

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「つぶやき日記」1月16日分より。

大島渚訃報ニュース、テレビで流れる。大島監督はいい映画もたくさん撮っているが、私が今まで観て一番つまらんと思った(つまらなさ過ぎていたたまれなくなった)映画『天草四郎時貞』(62)も撮っている。実際、入りも酷すぎて松竹を辞めざるを得なくなったわけだが。


 大島渚が松竹を退社したのは『日本の夜と霧』の公開中止が原因なのでは。それに『天草四郎時貞』は東映の映画である。


●本題。と学会が発行している同人誌『と学会誌』のバックナンバーが収録されたCD-ROM(Amazonで購入可能)をチェックして、唐沢俊一が『と学会誌』の中で取り上げた「トンデモ本」のリストを作ってみた。なお、『と学会誌』で発表された後に単行本に収録された文章もあるので、それについては付記を加えておいた。



1.『と学会連絡誌第2号』(1993年5月発行):『JUNE』の歴史小説について
2.『と学会誌第1号』(1993年11月発行):『科学画報』について
3.『第2号』(1994年8月発行):B級貸本漫画について
4.『第3号』(1995年8月発行):ヤコブス・デ・ウォラギネ『黄金伝説』(平凡社ライブラリー
                    佐藤有文『地底魔人ドグマ』→『トンデモ本の逆襲』に収録
                    大沢祥二『釈迦の霊泉』(星雲社*1
5.『第4号』(1996年12月発行):『The Big Book of Death』
                     小池一夫『小説版乾いて候』(小池書院)→『唐沢俊一のB級裏モノ探偵団』(『笑う雑学』)に収録 
6.『と学会連絡誌1997年夏』(1997年8月発行):徳川夢声と橋本凝胤の「地動説論争」を紹介
7.『と学会誌第6号』(1998年8月発行):『不思議な雑誌』→『唐沢俊一のB級裏モノ探偵団』(『笑う雑学』)に収録
8.『第7号』(1999年8月発行):ビル・クリントンのスキャンダルに関連した本とグッズを紹介 
9.『第8号』(2000年8月発行):Gilles Poitras『The Anime Companion』
10.『第9号』(2001年8月発行):黒岩涙香『弊風一斑・蓄妾の実例』→『トンデモ本 男の世界』に収録
11.『第10号』(2002年7月発行):三遊亭圓朝『英国女王イリザベス傳』
                      松平龍樹『美少女 幼な奴隷の拡張検査』(二見書房マドンナメイト文庫)→『愛のトンデモ本』に収録
12.『と学会誌2002冬の増刊号』(2002年12月発行):免出至範『今、宇宙連合SE(シークレットアイ)が明かすアセンションへの道標』(星の友舎)→『トンデモ本の世界S』に収録
13.『と学会誌第11号』(2003年6月発行):前田誠孝『性的誘惑の種々相とその対策』(南海書院)*2
                           あおそらるか『るか、デブッチョ宇宙人おばちゃんと出会う』(角川書店
14.『第12号』(2003年12月発行):『It's a Man's World』
15.『第13号』(2004年8月発行):カール・フォン・リンネ『神罰』(法政大学出版局→『トンデモ本の世界V』に収録
16.『第14号』(2004年12月発行):Garry Gliffin『The Vacuum Pumper's Handbook』
17.『第19号』(2007年8月発行):ビル・ムーミィのエピソードを紹介
18.『第20号』(2007年12月発行):黒澤明の奇行を紹介
19.『第22号』(2008年12月発行):太田典礼『日本産児調節百年史』(出版科学総合研究所)


以下、気になったところを指摘していく。


(1) 唐沢俊一が『と学会誌』で書いた文章がその後単行本に収録されたケースがいくつかあることは既に書いたが、『と学会誌』に寄稿した文章をかつて『フィギュア王』で連載されていた唐沢俊一のトンデモクロペディア』に使いまわしているケースもある。現時点で発見したのは以下のふたつ。


・『と学会誌第11号』(2003年6月発行)の文章→『フィギュア王』№87(2005年4月発行)掲載の『トンデモクロペディア』第1回
・『と学会誌第13号』(2004年8月発行)の文章→『フィギュア王』№91(2005年8月発行)掲載の『トンデモクロペディア』第5回


 『第13号』の文章はその後『トンデモ本の世界V』にも収録されている。同人誌で書いた文章を雑誌の連載に使いまわすのはセーフなのかどうかは知らない。


(2) 『と学会誌』の唐沢俊一の文章には妙にトゲのあるものが少なくない。たとえば、『と学会連絡誌第2号』に掲載された文章では、ある「女流作家」が江戸時代を理想化しすぎていると批判したり、『JUNE』の「小説道場」出身のやはり女流作家の小説にケチをつけたりしている。…江戸時代を理想化している「女流作家」というのはおそらく杉浦日向子なんだろうなあ(2011年6月26日の記事を参照)。『読売新聞』の大原まり子の書評への執拗な批判にも言えることだが、どうも唐沢俊一には女性に対して攻撃性をとりわけ強く発揮する傾向があるように思われてならない。
 また、大御所に対する文章にも妙にトゲがある。『と学会誌第4号』に掲載された小池一夫『小説版乾いて候』を取り上げた文章では、小池の独特な文体について

 この、奇矯としか見えないセリフ回しや人物描写には、作者の小池氏の、既存の時代小説に対する怨念が込められているようにも見える。

などと書いている(同誌P.29)。ちなみに、『笑う雑学』(廣済堂文庫)P.136によると、唐沢の『小説版乾いて候』評を読んだ小池一夫から「次作もどうかよろしく」という手紙が届いたとのこと。辻真先先生のケースでもそうだったが、怒られなくてよかった。


 もうひとつ、『第20号』では、田草川弘黒澤明vsハリウッド』(文春文庫)を読んだ感想として、

(前略)黒澤の甘えには、日本人特有の幼稚な精神構造が浮き彫りになっていて、
(中略)
昭和生まれ独特の心理かも知れないが、
「同じ日本人として恥ずかしい」
とさえ思ってしまう。

と書いている(同誌P.69)。俺も「昭和生まれ」だけど、『黒澤明vsハリウッド』を読んで全然そうは思わなかったけどなあ。しかし、唐沢はこの後当時の黒澤の精神状態に問題があったことを延々と書いているので、黒澤の行動に「日本人特有の幼稚な精神構造」を見てとるのは妙な話ではある。…っていうか、『黒澤明vsハリウッド』は「トンデモ本」じゃないし。
 ついでに書いておくと、『と学会誌第2号』に寄稿した文章では、『森由岐子の世界』(白夜書房)の売れ行きが良くないと嘆いた後で、

とがしやすたかみたいなバカの描いたものの方がよく売れているというのだから世も末である。

と書いている(同誌P.12)。…何故とがしやすたか 
 結局のところ、商業出版ではセーブされている攻撃性が同人誌では存分に発揮される、という面もあるのではないだろうか。


(3) 小ネタ。『第7号』に掲載された文章では、「大統領」となるべき箇所がすべて「大続領」になっていたので笑ってしまった。これは編集上のミスなのだろうが、ケネディといいワシントンといい、大統領がらみのミスが多い人である。



(4) 『第16号』(2005年8月発行)には気楽院氏が『汝、隣人の著作権をむさぼるなかれ』という文章を書いていて、マーガレット・F・パワーズの『あしあと』という詩が著作権関係でトラブルになった話を紹介している。…まあ、こーゆーのを見ると思うところがないわけではない。



(5) 『トンデモ本の世界』(洋泉社)の中で第2回「日本トンデモ本大賞」を受賞した三上晃氏から山本弘会長あてに礼状が届いた話が紹介されている。単行本版P.53より。

付記:トンデモ本大賞の賞状を三上氏に発送したところ、丁重な礼状が返ってきた。たいへんな達筆で、人柄のうかがえる文章である。

として、続けて礼状の全文が紹介されている。

このような権威ある会の賞を頂き、
(中略)
大いにファイトがわきました。

 と書いている三上氏は本当にいい人なのだな、と思うばかりなのだが、実は『と学会誌第2号』P.84でも同様に三上氏の礼状が紹介されている。ただ、『トンデモ本の世界』と違う点がふたつあって、ひとつは三上氏から届いた礼状のコピーがそのまま掲載されていること。…いや、それってアリなんだろうか。確かに三上氏が達筆なのはよくわかるけれども。
 そして、三上氏の礼状について説明する文章の様子が『トンデモ本の世界』の付記とは違っている。

 何と、トンデモ本大賞を受賞した三上氏から礼状が届いたのです!
 ものすごい達筆で判読しにくい文章なんだけど、何とか読んでいただきたい。三上氏の喜びようが伝わってくるようではありませんか。

 権威ある会の賞ねえ(笑)。……うーん、どうもトンデモ本の概念を理解しておられないような気がしますが。
 しかし、返事がもらえるとは思っていなかったので、まったくビックリ。何の反応もなかった川尻氏(引用者註 「日本トンデモ本大賞」第1回を受賞した川尻徹)とはえらい違いです。


 この文章を書いたのは誰なのかは記名がないのでわからないが、三上氏から手紙を受け取っているうえに、この同人誌の編集を担当している(奥付で確認した)山本会長である可能性が高い。まあ、決めつけはしないが。
 …それにしても、トンデモ本の概念を理解しておられない」というのはどういう意味なのだろう。礼状の文面を読む限り、三上氏はただただ受賞を素直に喜んでいるだけなので、「トンデモ本の概念」なるものを理解していたらそんな風には喜べないはずだ、とでもこの文章を書いた人は考えたのだろうか。前々から気になっていたことだが、やはりトンデモ本」として紹介されること自体にネガティブな意味合いがあるのでは?と思われてしまう。唐沢俊一とは直接関係のない話だが、考えさせられたので紹介した次第。「と学会」については、いずれ出す唐沢俊一検証まとめ本の中で「オカルトやUFOにそんなに興味がない人間にとっての“と学会”」というテーマで「長文」を書く予定なので、それまでに「と学会誌」のバックナンバーをもう少し読み込んでおくことにしたい。



次回予告&次々回予告。
 以前コミケにサークル参加したときにおまけとして配布した「カラサワマン」と「カラサワセブン」の全エピソードガイドを2回に分けてアップします。前から検証が終わる直前にブログに上げようと思っていましたが、今度こそようやく終われそうなのでやってみることにしました。
 内容の方は「ウルトラP&G」と同じようなしょうもない悪ふざけなのですが、すでに風化した時事ネタを改変する等無意味にこだわったため、コミケで配布したものに若干変更を加えています。その点はどうぞご了承ください。



※ タイトル変更しました。

と学会誌バックナンバーDISC

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あしあと

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植物は警告する―バイオ・コンピュータの驚異

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*1:『トンデモ怪書録』(光文社文庫)でもネタにしている

*2:唐沢は本の題名を『種々層』と誤記している