唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

古くさいぞ私の音楽の趣味は。

たまにはスペースシャワーTVを流しっぱなしにして最新の邦楽もチェックしよう。




e-honにある唐沢俊一の新刊『雑学プロファイル・日中韓お笑い不一致』(徳間書店)の著者紹介でもやっぱり、

1982年に同好の士と共に作った読書団体『と学会』で有名になる。


 とある。10年早いんだよ!




神田森莉twitter唐沢俊一の心配をしている。公式サイトの舞台終了報告でもお客さんの入りについては書かれていない。大塚周夫さんが褒めていたのならいい舞台だったんだろうけど。ちなみに、唐沢俊一はかつて『SFマガジン』の連載で『漫画の手帖』をひどく罵ったことがあるのだが、そのきっかけとなったのは『漫画の手帖』の神田森莉特集の中の一文がきっかけだったりする(2011年7月20日の記事を参照)。



●本題。12月15日の記事のコメント欄で汁恭子さんに教えていただいたのだが(どうもありがとうございます)、新潮45』2013年1月号の坪内祐三『昭和の子供だ君たちも』第14回「第一次オタク世代が今の日本文化を先導する」の前半部分が面白かったので紹介することにする。ぶっちゃけ番外編だが、これまで当ブログで取り上げた話題とも関連する話が出てくるので、取り上げることにした次第。
 『昭和の子供だ君たちも』第14回の前半部分は、出だし(同誌P.175)で、

 オタクを売り物に世に出た人は大塚英志岡田斗司夫唐沢俊一をはじめとして私と同じ一九五八年遅生まれ、五九年早生まれの人たちが多い。本当に不思議なくらい多い。
 けれど私自身はオタクではない。
 私の世代のオタクにとって熟知していなければならない三つの分野がある。


 として、「第一次オタク世代」にとって重要な事柄を挙げつつ、坪内自身はオタクではないと否定する内容になっている。中盤以降は『ユリイカ』の「平成ライダー」「永野護」特集を引用して感想を述べるのがメインになっていてあまり面白くないので省略する。引用文の多さが坪内のオタク文化に対する関心の薄さをかえって示しているように思うが、連載全体を通して見ればまた別の感想が浮かぶかもしれない。まあ、坪内は唐沢や岡田の現状を知っているのかな?と少し気になりはした。


 坪内が今回のコラムの中で「自分はオタクではない」と執拗に否定しているのを見て、かつて『SPA!』の福田和也との連載対談の中で「唐沢俊一が俺をオタクと呼ぶけど、俺はオタクじゃないから」と憤っていたのを思い出したが、それ自体は坪内と唐沢の「オタク」の定義の違いから生じる齟齬なのだろう。…そう、問題なのは「オタク」という存在をどのように定義するか、なのであって、今回のコラムの面白さも坪内による「第一次オタク世代」の定義の面白さによるものなのである。


 坪内は「私の世代のオタクにとって熟知していなければならない三つの分野がある」と書いているが、その後さらに2つの分野も追加していて、最終的に「第一次オタク世代」にとって「重要な五項目」があるとしている。なにやらスペインの宗教裁判みたいな話になってしまっているが、この条件が面白いので以下順に挙げていく。


 まず最初に挙げられているのは「少女マンガ」。いわゆる「24年組」のマンガとのことだが、この時点で唐沢俊一は脱落なので笑ってしまった。大塚英志はもちろんセーフだが岡田斗司夫はどうだろうか。
 その後は「特撮物」「アニメ」「SF小説と列挙されているが、これはオタクの好むジャンルとして一般的に理解されていると思う。そして、坪内が最後に挙げているオタク第一世代の条件とは、音楽の趣味についてである。『新潮45』P.176より。

 しかしどうやら、第一次オタク世代の人たちの好きな音楽はプログレッシブ・ロックのようなのだ。あるいはグラムロック。いずれにせよブリティッシュロックなのだ(後略)


 はい、これで岡田斗司夫山本弘会長も脱落。大塚英志の音楽の好みはわからないのでなんとも言えないが…。
 ただ、「オタク第一世代はプログレ好き」というのは、満更間違いではないのかもしれない。坪内が紹介している『ユリイカ』で特集を組まれている永野護がそうだし、1965年生まれでいわゆる「オタク第二世代」の樋口真嗣は『平清盛』で『タルカス』オーケストラ・ヴァージョンが使われて喜んでいた(twitter)。

「タルカス」っぽいなと思ってたらどう聞いても「タルカス」じゃないか? そういえば昔『梟の城』の予告で「移民の歌」そっくりの曲が使われたけど、結局劇中では使われてなかった。アレ使ってたらあの映画の印象が激変してたのに悔やまれるけど。あのリフは「タルカス」だよね。。プログレバンザイ。


 梟の城の予告編の「なんちゃって移民の歌」が本編で使われていなかったのには、みうらじゅんも怒っていたっけ。個人的にはスパイ・ゾルゲの予告編で使われていたストラトヴァリウス『インフィニティ』がやたらカッコよかったので劇場に行ったら本編では使われていなかったのが思い出深い。どっちも篠田正浩の映画だと今気づいた。…しょうがない、奥さんに免じて許そう。



 ちなみに、上で(後略)とした部分のあとはこのように書かれている。

イーグルスやドゥービーブラザーズの好きなオタクはいないと思う)。


 決めつけが激しくて笑ってしまった。…いや、そんなこともないんじゃないでしょうか。俺個人としては『ならず者』を聴いてシンミリしたり、“Long Train Running”と“Trampled Under Foot”と『BAD COMMUNICATION』が似ているのが気になったりしている(『ホテル・カリフォルニア』と『星空のディスタンス』のサビも似ているが)。



何度聴いても“Hey Hey Gimme Your Body”がそのまんますぎて笑ってしまう。



 思ったのは、坪内の言っている「第一次オタク世代」の定義は「東京のオタク」にのみあてはまるのではないか、ということである。つまり、唐沢俊一岡田斗司夫山本弘のような東京出身でないオタク第一世代は何らかの理由でブリティッシュロックを好まなかったのではないか?とも考えてみたのだが、永野護も山本会長と同じ京都出身なので理由としては弱い。結局のところ、岡田斗司夫と山本会長のケースにも言えることだが(8月10日11月6日の記事をそれぞれ参照)、音楽の趣味でオタクとそうでない人間を分けるのは無理があるのかもしれない。坪内の「第一次オタク世代はブリティッシュロック好き」というのは、全くの間違いではないにせよ、それをもってオタク第一世代という総体を定義できるものではないのではないか。坪内自身がプログレに興味がないとコラムの中で書いているので、「自分はオタクではない」ということを主張したいがために「オタクはプログレ好き」ということにしたかった、という面もあるように思う。どうしてそんなに「自分はオタクではない」と否定するのか、そちらも興味深いところではある。




 
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