「日本トンデモ本大賞2012」レポート。
・タコシェで既刊『唐沢俊一検証本VOL.1』、『唐沢俊一検証本VOL.2』、『トンデモない「昭和ニッポン怪人伝」の世界』、『唐沢俊一検証本VOL.3』、『唐沢俊一検証本VOL.0』、「唐沢俊一検証本VOL.4」の通販を受け付けています。タコシェの店頭でも販売しています。
・初めての方は「唐沢俊一まとめwiki」、「唐沢俊一P&G博覧会」をごらんになることをおすすめします。
・当ブログにコメントされる場合には誹謗中傷および個人を特定しうる情報の掲載はおやめください。守られない場合には厳正に対処する可能性があります。
・1970年代後半に札幌でアニメ関係のサークルに入って活動されていた方、唐沢俊一に関する情報をご存知の方は下のメールアドレスまでご連絡をお願いします。
karasawagasepakuri@yahoo.co.jp
●10月18日に2009年1月29日の記事のコメント欄に寄せられた栃尾ジョーさんのコメントが「誹謗中傷」にあたるものと判断して「承認待ち」の状態にしました。「唐沢俊一検証blog」のコメント欄に寄せられたコメントは原則削除しない方針をとっていますが、コメントに対する苦情が寄せられたことも何度かあるので、コメントされる際にはお気を付け下さい。
●『週刊朝日』10月26日号に掲載された佐野眞一『ハシシタ 奴の本性』第1回に不適切な記述があったとして、発行元の朝日新聞出版が謝罪した(朝日新聞デジタル)。「不適切な記述」というのは橋下徹の父親の出身地に関する記述のことなのだろうが、冒頭の「日本維新の会」のパーティーの描写もだいぶバイアスがかかっていて、「これってアリなんだろうか」と思わされる。「耳が勃起してきそうな」というものすごい表現もある(P.20)。…何を聞かされたらそうなるのか。ミスター・スポックみたいになるのか?
「唐沢俊一検証blog」として興味深いのは、この件に関連して猪瀬直樹がtwitterで佐野の過去の盗用を具体的に指摘していたことで(その1、その2、その3)、面白そうなので今度個人的に調べてみることにする。なお、唐沢俊一は『朝日新聞』の書評で佐野の『甘粕正彦―乱心の曠野』(新潮社)を取り上げているほか(2008年7月15日の記事を参照)、『トンデモ本の世界X』(楽工社)では『東電OL殺人事件』(新潮文庫)を取り上げている(2011年7月4日の記事を参照)。…盗用つながり?
●『トンデモ本の新世界』が11月上旬に文芸社から出るとのこと(唐沢俊一公式サイト)。『トンデモ本の世界』シリーズも出版社を変えながらも長く続くものだ(洋泉社→太田出版→楽工社。アスペクトからは『大世界』が出ている)。唐沢俊一は今回記事を6本書いているそうで、山本弘会長の負担が減るならばいいことだと思う。
●本題。今回は6月9日に開催された「日本トンデモ本大賞2012」のレポートを4カ月遅れで書くことにする。
最初におことわりさせていただきたい。ひとつは、筆者が今年の「トンデモ本大賞」を生で観覧していないことである。どうも芝崎淳氏に顔バレしている様子だし(2011年6月17日の記事を参照)、唐沢俊一の周囲の人間が神経を病んでもいけない。したがって、今回の「トンデモ本大賞」はニコニコ生放送で観覧した次第である。…なのだが、それも生放送で観たわけではなく、後からタイムシフト視聴で観た。何故かと言うと、「トンデモ本大賞」の当日の夜は妹の彼氏と家族ぐるみで会うというイベントがあったからで、「ごめん、ニコ生観るから行けない」とはとても言えなかったのである。というわけなので、今回の自分のレポートにはライブ感覚も何もあったものではないのだが、それでもコメント欄で何度か促されてもいたので(長らくお待たせしました)、「ニーズはあるんだろうか?」と思いつつ書いてみることにする。
なお、「トンデモ本大賞」の候補作に関しては、山本会長の説明をそのまま書いていて、実際にチェックしているわけではないこともあわせておことわりしておく。何か間違いがあればご指摘をお願いします。
ではレポートしていく。
稗田おんまゆらによる恒例の面白いのか何なのかよくわからない前説で始まり、KAWAI『僕はロリコン』とともにオープニング映像が流れた。『宮川賢の誰なんだお前は?!』でこの曲を聴いたことをなつかしく思い出したが、「と学会」=ロリコンというわけではないだろうになあ。今回の司会は瀧川鯉朝師匠。
最初は「と学会エクストラ」の発表。
トップバッターは川口友万氏によるイオンクラフトの実験。アシスタントについた皆神龍太郎氏が「危ない」を連発していたが、本当に火花がバチバチ散っていた。これは会場で観たかった。
続いては男性会員の方(名前よく聞き取れず)による発表だったのだが、ここでカメラトラブルが発生。ニコ生の画面に何も映らなくなってしまった。結局復旧までに15分程度かかったのだが、その間発表者に好みの女性のタイプを聞いたり、ロフトプラスワンの観客の皆さんと乾杯したり、鯉朝師匠は間をもたせるために大奮闘されていた。そんなに頑張ってもノーギャラだというのがせつない。
で、発表の方といえば、藤原青龍『わたしの霊的生活』という本を紹介するもので、藤原氏のサイトも参照してほしいが、剣術・居合を独学で学んだ末に「五郡流気導術」を編み出した藤原氏が、奇妙な体験をしたりエアバッグのついた安全飛行機を発明している、という話だった。「記憶×大予言」でもかなりの言われようである。
次は和智永妙女史による松田有利子『病気にならない体質がある』(ゴマブックス)の紹介。砂糖の摂りすぎを批判し玄米食を奨める内容らしいが、何故か「玄米は心に効く」「砂糖は心に悪い」というある意味おなじみの展開になるとのこと。
最後は新田五郎氏による、きむら勉『はりきり切手大将』の紹介。1981年に『週刊少年チャレンジ』に掲載された読み切りマンガで、主人公・これく太が切手コレクター選手権に挑む姿を熱く描いた意欲作だった。金持ちのイヤミなライバルとか主人公に目をかける謎の老人とか選手権の無理矢理な種目とか、『コロコロコミック』『コミックボンボン』を読んでいた人間にとってはまことになつかしいムードの作品。切手収集だと必殺技が使えないのがウィークポイントのような気がする。なので、『はりきり雑学大将』『はりきりコピペ大将』も作品としては盛り上がりに欠けそう。「コピペ」だけに「貼り切りコピペ大将」の方がいいかな。
「と学会エクストラ」を通しての感想としては、単発で紹介していくとどうしても印象が弱くなってしまうので、毎回ジャンルを決めてまとめて報告した方がいいのでは、という気がする。『わたしの霊的生活』にしろ『病気にならない体質がある』にしろ、「どこかで読んだことがある」と思ってしまったので。古武術系のトンデモなら大槻ケンヂに話を聞いてほしいなあ(お兄さんが亡くなられたのは残念)。
そしていよいよ「トンデモ本大賞」の発表。開田裕治・唐沢俊一・小堤正人・藤倉珊・皆神龍太郎の各氏がパネリストとして登場したのち、「東京都と日本ユニセフの偉い人が嫌い」と紹介を受けて山本弘会長が登場。以下候補作を紹介していく。
■泉パウロ『本当かデマか3・11[人工地震説の根拠]衝撃検証』(ヒカルランド)
東日本大震災は人工地震だった、という疑惑を検証する内容なのだが、その検証の仕方がどうにも妙な一冊。たとえば、震災直後に繰り返し流されたACの「あいさつの魔法」のCMも陰謀なのだという。
CM自体は悪くないけど、いろいろ思い出してしまうなあ。
どのようなメッセージが込められているかというと、
AC=アンチキリスト
ポポポポーン=原発の爆発+ポロニウム
おはよウナギ=(地震を起こした)ナマズ
いただきマウス=食糧難
…なのだという。これだけで「トンデモ本大賞」をあげてもいいと思うのだが、メッセージはまだまだあるという。
・『DASH村』は“Death”と“Ash”の合わさったもの
・気功砲はフリーメーソンのマーク
・『アンパンマン』のあめふりおには気象兵器
・グラグラの実も気象兵器
・「円=コンパス」「谷=三角定規」なので、円谷プロはフリーメーソン
・『ミンキーモモ』の46話が放送されると地震が起こる
…こんなにメッセージがあったんじゃ、アニメもおちおち観てらんないよ! 泉パウロ氏はかなりのテレビっ子のようだが、菅直人の水の飲み方を気にしているあたりはネットっ子でもあるかもしれない。山本会長も「今度は『這いよれ! ニャル子さん』をネタにしてほしい」とリクエストしていたが、それを受けて「這いよれ! パウロさん」というコメントがニコ生にあったのには笑った。(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー! 個人的には『じょしらく』10話の「ピタゴラスイッチ」を観てほしい。あれはどう見てもメッセージ。
■大川隆法『宇宙の守護神とベガの女王』(幸福の科学出版)
大川隆法が娘さんの前世である宇宙の守護神を呼び出し、外見を聞き出すやりとりが延々と続き、地球外生命体とのコミュニケーションの難しさを痛感させられたが、結局「惑星連合とALSOK契約している」「『宇宙戦艦ヤマト』みたいに変身できる」という驚愕の事実(?)が判明する。残念ながら連覇ならず。
■小松正広『UFOと日本人の惑星』(文芸社)
…あっ、この本も文芸社から出ているんだ。「と学会」、ASIOS、そしてUFO本と守備範囲が実に広い。宇宙船に誘拐されたという内容自体は特に目新しいものではないが、何故かそれを五・七・五・七・七で記述するというスタイルが独特すぎ(書籍『UFOと日本人の惑星』を参照)。次は七言絶句で。
■竹本忠雄『秘伝ノストラダムス・コード』(海竜社)
4300円もするので山本会長がボヤいていた。唐沢検証のために資料を買い集めている自分もその気持ちはよくわかります。内容はと言えば、筑波大学名誉教授が何故かタテ読みを駆使してノストラダムスの大予言を解読するという内容とのこと。「大学の先生でもこんな本を書く」などと山本会長は仰っていたが、逆に言えば大学の先生のような「頭のいい人」だからこそ「トンデモ」にハマってしまうこともあって、最近の本ではダン・ガードナー『専門家の予測はサルにも劣る』(飛鳥新社)がそういった問題を考えていた。
なお、候補作にはならなかったものの、会長が注目した本も紹介されていた。
・山浦玄嗣『イエスの言葉 ケセン語訳』(文春新書)
・『エンゾ・早川流ロードバイク秘伝の書』(エイ出版社)
・砂義出雲『寄生彼女サナ』(ガガガ文庫)
エンゾ・早川氏は2010年に続いての登場だが(2010年6月16日の記事を参照)、もはや自転車とは関係のない内容になっているらしくちょっと読んでみたくなった。『寄生彼女サナ』はサナダムシがヒロインのライトノベルで、山本会長は「ラノベもここまで来た!」と驚いていたが、パネリストからは設定の不徹底さを責める声が相次いだ。ンモー、みなさんうるさがたなんだからー。ちなみに、ドラマCDでヒロインのCVを担当しているのは堀江由衣。何故か最近ほっちゃん熱が自分の中で高まりつつある。
さて、問題なのは『イエスの言葉 ケセン語訳』である。聖書をケセン語(岩手県気仙地方の方言)に訳したものなのだが、イベントではケセン語訳された聖書の一節を引用して、「“おらといっしょに ぱらいぞさいくだ!”みたいだ」という風に笑っていた。これに関してTwitterで問題視する人もいて、開田あやさんがフォローしていた(その1、その2)。
トンデモ本というのは、貶したりバカにしたりする呼称ではないのをご理解いただけたらと思います。
という開田あやさんの言葉が「と学会」の総意なのかは気になるところだが、放送を観た限りではただ単に方言を面白がっているように見えかねず、不愉快に思う人がいたとしてもおかしくはない、と個人的には感じた。このあたりは「トンデモ本」という概念が否定的なイメージで捉えられているせいで生じた事態なのだろうが、否定的なイメージが生じたのは「と学会」の長年にわたる活動の結果に他ならない。また、山本会長はコミケで押し掛けてきた人のことを「トンデモさん」と呼んでいたが(会長のブログ)、これなどは「トンデモ」を否定的な意味で使っているのは明らかで、こういった「トンデモ」という言葉の揺れというか曖昧さが自分には気になってしまう。
候補作の発表が終わったあと、ニコ生では「日本トンデモ本大賞2011」ニコ生版製作の舞台裏のドキュメントが放映されたのだが、打ち合わせ中の唐沢俊一に向かって「特に右の男は話を聞いてない」というテロップが出たのには笑った。今回唯一の唐沢ネタはこれ。
大賞を選考する間、場をつなぐために「明木先生の白熱授業」が行われた。明木茂夫先生が鯉朝師匠ときだてたく氏を相手に「教育現場で中国の地名のカタカナ表記がいきすぎている」実態を説明するコーナーである。明木先生によると中国の地名のカタカナ表記はこんな感じになっているらしい。
・天津(テンチン/ティエンチン)
・広東(コワントウ)
・峨眉山(オーメイ山)
・洞庭湖(トンチン湖)
・万里長城(ワンリー長城)
・黄河文明(ホワンホー文明)
…エラいことになってるなあ。明木先生は「トンデモ本大賞」では毎年この問題を追及されているのだが、今回はこのカタカナ表記の動きが昭和20年代の国語審議会から来ているのではないか?という推測まで出てきた。来年も何かあるのだろうか。なお、この件に関しては2009年6月7日の記事およびそのコメント欄も参照のこと。
そして、栄えある「日本トンデモ本大賞2012」受賞作は泉パウロ『本当かデマか3・11[人工地震説の根拠]衝撃検証』に決定した(詳しい投票結果は会長のブログを参照)。やっぱ、ACのCMネタが強すぎた。
「トンデモ本大賞」、私はもう行けないがまた来年も開催されてほしいものだ。
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