唐沢俊一検証blog

唐沢俊一氏の検証をしてきたブログ(更新は終了しました)

唐沢俊一のネタの使い回し・M資金よりLチキ編。

 ファミチキもおいしいよ。


 今回は唐沢俊一ヘビーな使い回しを紹介する。フィギュア王』№107(2006年12月発売)掲載の唐沢俊一のトンデモクロペディア』第20回「Mの亡霊」は、週刊アサヒ芸能』2005年11月24日号掲載の『唐沢俊一のこんなニュースに誰がした!』第33回「母に舞い込んだM資金の思い出」の使い回しである。…っていうか、『トンデモクロペディア』は第19回、第20回と2回連続で使い回しだわ(第19回については9月6日の記事を参照)。
 2つのコラムはどちらも、唐沢俊一の御母上にいわゆる「M資金」の話が持ち込まれた、という内容で、オリジナルの『こんなニュースに誰がした!』が2245字、『トンデモクロペディア』が2213字、両者のうち完全に重複している文字が1391字と、6割以上カブっている。


 両者の文章の流れをまとめる。まずは『こんニュー』。


(1)唐沢俊一の母親は「10億円あげる」と言われたことがある
 
(2)たまたまその場に居合わせた唐沢俊一の目撃談
 
(3)「10億円」の話を持ち込んだ人物の素性
 
(4)「M資金」の説明
 
(5)日本の暗黒面は案外身近にあった
 
(6)北海道某所に隠された「M資金」の謎
 
(7)「M資金」にハマる理由を考える
 
(8)「10億円もらったらどうする?」と母に訊かれて…


 次に『トンデモクロペディア』。

(一)唐沢俊一の母親は「10億円あげる」と言われたことがある
 
(二)「10億円」の正体は「M資金」である
 
(三)「M資金」の説明
 
(四)スケールの大きいホラに人はひっかかってしまう
 
(五)日本の暗黒面は案外身近にあった
 
(六)「10億円」の話を持ち込んだ人物の素性
 
(七)北海道某所に隠された「M資金」の謎
 
(八)「M資金」にハマる理由を考える
 
(九)「10億円もらったらどうする?」と母に訊かれて…


 終盤は全体的にカブっている。ただ、『トンデモクロペディア』で新たに書かれた部分にもヘンなところがあるのでついでに指摘しておく。


 まずは出だしの比較。オリジナルの『こんニュー』。

「10億円あげる」
 と言われたことがおありだろうか。面と向かって、である。普通、人間そう赤の他人にダイレクトにオカネアゲル、とは言わない。ましてや10億などという金を、だ。私の母親は、この経験がある。


 続いて『トンデモクロペディア』。

「10億円あげる」
 といわれたことがおありだろうか。
 面と向かって、である。普通、人間そう赤の他人にダイレクトにオカネアゲル、とは言わない。ましてや10億などという金を、だ。私は、人が、他人にこう、実に気軽な感じで言うのを聞いたことがある。それも、言われた人間というのが、私の母なのである。


 「M資金」の説明もだいたい同じである。『こんニュー』。

 そのある話とは、M資金である。M資金のMとは、GHQ(戦後の一時期、日本を占領下においた連合国軍総司令部)の経済科学局長だったマーカット少佐の頭文字で、要するに、敗戦後にGHQが皇室の財産や、日本の財閥などの多額の海外資産を凍結させ保管した、その資金のことだ。


 『トンデモクロペディア』。

 M資金のMとは、GHQ(戦後の一時期、日本を占領下においた連合国軍総司令部)の経済科学局長だったマーカット少佐の頭文字で、要するに、敗戦後にGHQが皇室の財産や、日本の財閥などの多額の海外資産を凍結させ保管した、その金のことだ。これらの資産は、昭和26年の日米講和条約締結後もなぜか持ち主に返還されることなく、日本国家の管理下におかれ、一定の条件の下に秘密組織により適切と判断した個人または団体に移譲され、保有資金が最大限有効に活用され今日に至っている……のだそうだ。


 『トンデモクロペディア』の後半部分が書き足されているが、文末の「……のだそうだ」が気になる。一体どこからの伝聞情報なんだ?と思ったが、わかってみれば簡単な話で、ウィキペディアからのコピペだった。

その巨額の資金(1950年代で800億円、現在では数十兆円ともされる)は、1951年の講和成立(サンフランシスコ条約の締結)により、その一部が日本側に返還され、一定の条件の下に秘密組織により適切と判断した個人とその団体に委譲され、保有資金が最大限有効に活用され今日に至っている。

 あと、気になるのは「日米講和条約で、サンフランシスコ平和条約日本と連合国との間に締結された条約である。そこもコピペしとけばよかったのに。



  両者の比較に戻る。『こんニュー』。

GHQが日本から引き上げたあと、その資金の管理は日本の皇室に近いある人物にまかされていると言われ、ときおり、その資金をひそかに運用すると言って、財界や政界、また芸能界などの人物に口がかかったりする。その総額は数兆とも数十兆とも言われているが、なにしろ本当にそんな資金が実在するのか、一切オモテには知られていないのでわからない。


 『トンデモクロペディア』。

 現在、その資金の管理は日本の皇室に近いある人物が仕切っていると言われ、ときおり、その資金をひそかに運用すると言って、財界や政界、また芸能界などの人物に口がかかったりする。その総額は数兆とも数十兆とも言われているが、一切オモテには知られていないのでわからない(後略)


 『こんニュー』。

どう考えてもアヤシゲな話である。アヤシゲの親玉と言ってもいい。ところが、このM資金のうわさは戦後すぐの頃から現在にいたるまで、幽霊のように日本の裏で現れては消え、日本のトップに立つ経営者や政治家までがこのM資金がらみの詐欺に巻き込まれてはスキャンダルを起こし、失脚していった。ロッキード事件の裏にもM資金がらみの話があったし、俳優・田宮二郎の自殺も、躁鬱の気質の激しかった彼がM資金の儲け話に手を出したからだ、と言われている。


 『トンデモクロペディア』。

 どう考えてもアヤシゲな話である。アヤシゲの親玉と言ってもいい。ところが、このM資金のうわさは戦後すぐの頃から現在にいたるまで、幽霊のように日本の裏で現れては消え、日本のトップに立つ経営者や政治家までがこのM資金がらみの詐欺に巻き込まれてはスキャンダルを起こし、失脚していった。全日空東急電鉄、TBSなどもこれにダマされたというし、ロッキード事件の裏にもM資金がらみの話があった。俳優・田宮二郎の自殺も、躁鬱の気質の激しかった彼がM資金の儲け話に手を出したからだ、と言われている。


 後者は途中に書き足した部分がある。



 『こんニュー』。

 いかにも松本清張あたりが書きそうな話で、私もそういう裏話が好きだから、何冊か関連した本を読んで、日本の現代史のウラを覗き込んだ気になって満足していた。あにはからんや、政財界の大物どころか、ウチの実家のお得意さんに、M資金話をする人物がいたとは。日本の暗黒面は、案外間近にあったのだ。


 『トンデモクロペディア』。

 で、このM資金詐欺、いかにも松本清張あたりが書きそうな話で私もそういう裏ばなしが好きだから、何冊かそれに関連した本を読んで、日本の現代史のウラをのぞきこんだ気になって満足していた。あにはからんや、政財界の大物どころか、私の母親にM資金話をする人物がいたとは。日本の暗黒面は、案外間近にあったのである。


 『こんニュー』。

 ・・・・あとで聞くと、その人物は実家の薬局のお客さんで、処方を待つうちに母と雑談を取り交わし、仲良くなった人物ということだった。やはり思った通り、いい家の出だったが家が落ちぶれ、会社勤めをするようになって、その間に、持ちかけられたある話に、すっかりハマってしまい、やがてそれを常に口にするようになったのだった。


 『トンデモクロペディア』

 ……あとで聞くと、その人物は実家の薬局のお客さんで、処方を待つ内に母と雑談をとりかわし、仲良くなった人物ということだった。いい家の出だったが家が落ちぶれ、会社づとめをするようになったとき、持ちかけられたM資金話にすっかりハマってしまったらしい。


 この後の(6)と(七)の部分は漢数字とアラビア数字の違いを除いて完全に同じなので省略。


 『こんニュー』。

「でも、今度こそは大丈夫。彼も用心深く、次は汽車で来るそうですから」
 と言って彼はおかしそうにクックッ、と笑った。その口調は淡々としていて、ちょっと聞いたところではまっとうな話に聞こえるのだが、よく見ると目が空を泳いでいる。しかも、そんな莫大な資金がなぜ、自分のような人間に渡されるのか、その点については茫漠として、よくわからない。聞いてもはぐらかされてしまう。いい家に生まれた故に、その後屈辱の人生を歩んできた彼にとり、その幻想に浸ることが唯一、現実から逃避できる瞬間であり、その夢物語をバカにせずに聞いてくれたウチの母は、彼にとって恩人なのだろう。それで、その感謝の念が10億という金額になって現れたというわけだ。
 つい先日、“皇室の隠し財産がある”というM資金話を中小企業の社長らに持ちかけ、3億円の現金をだまし取ったとして、2人の男が逮捕された。戦後60年、いまなおM資金の亡霊が徘徊していると知って、驚くとともに、いやに懐かしく、あの“10億円あげる”のおじさんを思い出してしまった。


 『トンデモクロペディア』。

「でも、今度こそは大丈夫。彼も用心深く、次は汽車で来るそうですから」
 と言って彼はおかしそうにクックッ、と笑った。その口調は淡々としていて、ちょっと聞いたところではまっとうな話に聞こえるのだが、よく見ると目が空を泳いでいて、しかも、そんな莫大な資金がなぜ、自分のような人間に渡されるのか、その点については茫漠として、よくわからない。聞いてもはぐらかされてしまう。いい家に生まれた故に、その後屈辱の人生を歩んできた彼にとり、その幻想にひたることが唯一、現実から逃避できる瞬間であり、その夢物語をバカにせずに聞いてくれたウチの母は、彼にとって恩人なのだろう。それで、その感謝の念が10億という金額になって現れたというわけだ。戦後60年、いまなおM資金の亡霊が徘徊しているのである。

 コピペするときに文章が若干カットされている。


 『こんニュー』。

彼が帰ったあと、母がニヤニヤしながら、
「10億もらったらナニしてほしい?」
 と言うので、息子一同、
「寿司をおごれ!」
と要求したのだが、当然、まだ履行されてはいない。


 『トンデモクロペディア』。

ちなみに、彼が帰ったあと、母がニヤニヤしながら、
「10億もらったらナニしてほしい?」
 と言うので、われわれ息子一同、
「寿司をおごれ!」
 と要求したのだが、当然、まだ履行されてはいない。残念!


 『トンデモクロペディア』の方に波田陽区が降臨している。



 実は、今回一番ひっかかったのは『こんなニュースに誰がした!』のコピペされていない部分で、唐沢俊一は「M資金」話を持ち込んだ人物を次のように描写している。『アサヒ芸能』P.60より。

薄汚れたカーディガンを羽織った、黒縁メガネの40男である。顔はちょっと上品ぽくいいところのお坊ちゃんという感じなのだが、全体からはなんとなく、人生の負け犬的な、マイナスのオーラが漂っている。職業はどこかの会社の事務係(ただし契約社員)だと聞いた。


 温かみのない見方だなあ、と溜め息が出てしまった。「人生の負け犬」なんてあまりにモロな言葉まで使っているし、先に引用した部分でも「屈辱の人生を歩んできた」などと決めつけている。唐沢さんだって他人に勝手に人生の勝ち負けを判定されたくはないだろうにね。


 ちなみに、「裏モノ日記」2001年9月23日2002年1月6日に、2つのコラムのモトネタらしき話が出てくるが、そこでは唐沢俊一の母上は「2億あげる」と言われたことになっている。…盛った?




タコシェで既刊『唐沢俊一検証本VOL.1』『唐沢俊一検証本VOL.2』『トンデモない「昭和ニッポン怪人伝」の世界』『唐沢俊一検証本VOL.3』『唐沢俊一検証本VOL.0』「唐沢俊一検証本VOL.4」の通販を受け付けています。タコシェの店頭でも販売しています。
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